召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

カップル誕生です?

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俺が待ち合わせ場所に向かうと、すでにレオン先輩がグラウンドの中央付近で待っていた。
グラウンドは学園の端にあり、二辺を壁に覆われている。
もう二辺も近い場所には遮蔽物がない見通しの良い場所だ。
ただ、少し離れた場所に芝生や樹々が植えられている中庭のような場所があるが、そこからでは会話は聞こえないだろう。
えらい用心深いものだ。

だが、そこに隠れて会話の内容を聞こうとしているものがあった。
四人の少女だ。

(カイが来たぞ)

(わかった)

小声で話すフレアはグラウンド内の状況をサリアへと伝えると、植物の垣根の陰に頭を伏せた。
その隣で横になっているサリアは頭から狼の耳を生やすと、その耳へと神経を集中させいく。

(うぅ……モフモフを我慢するのが辛いです……)

(か、可愛らしい……いや、今は気を取られてはいけないわ)

サリアの変化を初めて見るセツカは興味深そうに見つめていたが、すぐにレオンの方へと目を向ける。

「やあ、カイ君」

「すいません。遅れましたか?」

「いや、僕が少し早く来ただけだ。気にしないでいい」

カイとレオンの挨拶の声がサリアのケモ耳に届いていく。

(……カイ)

(すい……遅れま……)

(いや……?気にしないで……)

(ごめん、あんまりちゃんと使いこなせてないから、これが限界)

だが、本物の狼のように完璧にその声を聞くことはできなかった。

(大丈夫だ。少し不完全だが会話の内容は大体分かる)

(ええ。恐らくですが、お待たせ、待った?ううん、今来たとこ。という会話でしょう)

(合ってるでしょうけど、言い方に違和感があるわね……)

「それでお話しって何ですか?」

「……ああ、単刀直入に言おう。僕の騎士が君の騎士のことを好きになった」

「……本気で言ってます?」

「冗談でこんなことを言えないだろう?」

「えっ……えぇぇぇ!?」

はぁぁぁぁぁぁ!?

カイの驚きの声がグラウンドに響いたとき、不完全な会話内容がサリアたちの方にも届いていた。

(……単刀直入……僕が、君の、ことを好きになった)

(……本気で)

(冗談……言えない……)

(えっ……ええぇぇぇ!?これは、間違いないかも……)

その驚きの内容に衝撃を受ける四人。

(やはり告白だったか!)

(ど、どうしますか!?)

(……)

慌てふためく三人だったが、セツカはぎゅっと唇を噛むと、茂みから立ち上がり駆け出して行く。
グラウンドの中央へと。

((セツカ先輩!?))
(行っちゃった)

「レオン!」

「セツカ先輩?」

「セツカ?どうして君がここに?」

レオンとセツカが正面から見つめ合う中、カイはその様子を訳が分からないまま見守ることしかできないでいた。

「私……私は、あなたのことが好き!」

「えっ……?」

セツカの告白に、端正なレオンの顔が驚きの表情へと変わっていく。

(ふぬぅぅぅぅぅぅ!)

声を出すのを我慢しましたね、偉いですよマスター。

カイの平凡な顔は怒りへと変わっていった。

「あなたに負けて、あなたに挑み続けていく中で、私の中でとっても大きな存在になっていった!こんなときに言うのはおかしいと思うけど……私はあなたが好き……例えあなたがカイ君のことを好きだとしても!負けないから!」

(セツカ先輩……素晴らしいです……)
(ええ……勇気ある人ですね……)
(がんばった)

息を切らしながら全てを打ち明けたセツカは、カイのことを涙目で見つめる。

なんか俺が泣かせたみたいになってない!?
ていうか状況がよく分からないんだが!?

「……君が僕のことをそんな風に思っていてくれているなんて知らなかったよ。そ、その……僕も真面目で一生懸命な君が好きだ」

「えっ……?」

「僕たちはライバルだけど、パートナーとして傍にいて欲しい」

「レオン、わたし……ごめんなさい……」

セツカはレオンの胸に飛び込むと、涙を流した。

「ど、どうしたんだ?」

すると、戸惑いながらもレオンはセツカを受け入れ、抱きしめる。

ギリギリギリギリ……

俺は何を見せつけられているんだ……

こういうときは素直に祝福してあげましょう。

「おめでとうございます!セツカ先輩!」

「恋が叶いましたことに感謝いたします……」

「おめでと、やったね」

「てっ、みんなどこから!?」

急に現れた三人に驚くカイ。

「す、すまん……どうしても気になってしまい、話を聞いてしまったんだ」

「本当にごめんなさい……」

「ゆるして」

「いや、俺はいいけど……」

「もう、泣き止んでくれないか……」

「う、うん……」

カイはレオンを見ると、セツカと二人でいまだにラブシーンを演じていた。

「いい加減にせんかぁぁぁ!」

「あいたぁぁぁ!?」

「レオン!?」

我慢の限界を迎えたカイは、レオンの側頭部に渾身の手刀をぶち込んだ。

「こちとら休日に呼びつけられて意味が分からんことを言われるは目の前でイチャイチャされるわで限界なんじゃ!さっさと一から事情を話せぇぇぇ!」

「わ、分かった!だから落ち着いていくれ!」

「これが落ち着いて……!」

はい、静かにしましょうね。

ゴスッ!

「ぐはぁ!?」

カイがファーナによって強制的に静かにさせられたことで全てを話し始めた。

「僕の召喚獣がカイ君の召喚獣を好きになったんだ。それで改めて紹介してほしいって言われて、カイ君に声をかけた、というわけだよ」

「なるほど、聞こえなかった部分はそこだったんだ」

「てっきりレオン先輩が、カイのことを好きになって告白したんだと勘違いしてしまいました」

「いろいろと騒がせてしまって申し訳ありません……」

「いや、いいんだ。そのおかげでセツカと心を通わせることができたんだから」

「もう……恥ずかしいこと言わないで……」

「いいじゃないか、本当のことなんだから」

二人は身体を寄せ合うと、再び二人の世界に入ろうとしていた。

「お、おお……」
「大人……」
「サリアちゃんは見ちゃいけません!」

「はい、そこまで!それじゃあファーナを召喚しますんでレオン先輩も召喚してください!後は当人の話でしょう!」

「そ、そうだな」

ふぅ……モテるというのも困ったものですね……

さっさと断って帰ろうぜ。

断るとは限りませんよ?
お相手次第ですから。

ほ、本気か!?

ええ、私にもこれで初彼氏ができるかもしれません……♪

そんなウキウキのファーナの前に、レオンの召喚獣エインヘリャルが現れた。
そして豪華な装飾の鎧が跪くと、ファーナへと手を差し伸べる。

「……貴殿に敗北してからというもの、我は貴殿に恋焦がれてしまった」

「ま、まあ……」

なんだか兜の頬辺りが赤くなってる気がするんだが……

「このような思いは生きていたときもしたことがなかった。お願いだ!我のことを……なぶってくれ!」

「は……今、なんと?」

うっかり了承の返事を返そうとしたファーナだったが、ギリギリで我に返った。

「我をなぶってほしい!女性に虐げられることはなんと甘美な快感だろうか!」

「……この変態がぁぁぁ!」

「あぁぁぁ!気持ちぃぃぃ!」

ファーナは思いっきり兜を蹴り上げると、変態騎士は気持ちよさそうに後ろへと転がっていった。

さっさと帰りますよ!時間の無駄でした!

「……お断りのようですので、帰りますね?」

「ああ、ありがとうカイ君」

「レオンの悩みを聞いてくれて、本当にありがとう」

微笑みを浮かべたレオンとセツカは、初々しく軽く手を繋いでいた。

けっ!やってられないよな!?

ええ!こっちはいい迷惑です!

カイとファーナは意見を合わせると寮へと帰っていく。

ザッザッ!
ガチャンガチャン!

その後ろ姿は完全に主人公に敗北した雑魚キャラのようだった。
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