召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

出発します!

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「明日から初の長期休暇となりますが、みなさん注意事項を守って過ごしてください。他の街では召喚獣を呼び出すことが違法となる場合もありますからね」

これは授業でも習ったことだが、召喚獣は危険物として扱われることもある。
無闇に呼び出すことは、抜き身のナイフを持って出歩くことに近い。

まったく、ひどい扱いですね。

仕方ない。
やっぱり盗みを働いたり、怪我をさせたりとそういった犯罪や事故があるからな。

そんな曲者のせいで私たちの暮らしやすさが無くなっているなんて!
激おこです!

……また変な言葉を覚えたな?

ふふっ……こういうのがナウいんでしょう?

いや、ナウいってなんだ?

はぁ!?流行の最先端を意味する言葉ですよ!
トレンドです!

初めて聞いたわ。
ていうか激おこって結構古いぞ?

はぁ……流行の移り変わりが早すぎて追いつけません……

大丈夫。
俺も一緒だから。

「それでは良い休暇をお過ごしください。これにて今期の授業は終わりになります」

「「「ありがとうございました!!!」」」

こうして俺たちは長い休暇に入ることになった。
依頼を請け負って寮に残る生徒や、実家へと帰る生徒など過ごし方は様々だが、晴れ晴れとした表情だ。
入学して半年も経っていないが、キツイ訓練から解放されたという想いがそうさせるのだろう。

「カイも元気でな!」

「そっちこそ!」

その日の夕食は一層騒がしいものとなり、クラスメイトたちと一時の別れを惜しんでいた。
最初のころは憎まれていたものだが、今では結構仲良くやっている。

「……ただ、ひと夏の経験なんかしやがったら俺たちは許さねぇからな?」

「「「うむ」」」

「わ、分かってるよ……」

「男同士の約束だぞ?破ったら……」

「破ったら……?」

「ちょん切る」

「何を!?」

「言わせんなよ……バカ……」

「頬を赤らめて恥ずかしそうにすんな!」

「ははは、冗談だよ。冗談」

そう言って笑うクラスメイトたちの目は、まったく笑っていなかった。

「カイも男子たちと仲良くなったな」

「なんだか険悪でしたからよかったです!」

「なかよしが一番」

「……そうかなぁ?」

それにだいたいの不仲の原因は君たちにあるんだけどなぁ……

そんなことを思ったルースだが、そっと胸にしまうことにした。


ちゃんと準備はしましたか?
忘れ物のないようにしてくださいね?
せっかくお土産も買ったのですから。

ベッドで横になった俺へ、母親のようにファーナが口を挟んでくる。

一週間前からしてるって。
ファーナも横で見てたじゃないか。

最終チェックは大事ですよ。
あと、剣は持っていくのですよね?

あんな重いもの持って行きません!

そんな!?私のプリンセシオンを置いていくつもりですか!?
プリンセシオンが可哀想でしょう!?

……フレアの実家には騎士の家系らしく、剣がいっぱいあるそうだぞ?

プリンセシオン、お留守番は任せましたよ!

あっという間の変わり身である。
だがそれもファーナらしいな。
そう心の中で笑いながら、俺は眠りについた。

翌日の早朝。
結構な数の生徒たちが、郊外にある乗り合い馬車乗り場に来ていた。
一年生だけでなく上級生の姿もあり、街の人の姿もあった。

学園が休みになると、学園関係の仕事は少なくなる。
そういった人たちが休暇を取り、観光地へと出かけるようだ。

「俺たちの乗る馬車は……あっこれかな?」

「うむ、間違いないな」

「おっきい馬車ですね!」

「馬もかっこいい」

「これならそんなに揺れそうにないね」

チケットに記載された馬車の名前と同じものが、鉄製の車体に書かれている。

ケルベロス。

三頭の馬が引いているからそうつけたのだろうが、旅の馬車に冥府の番犬の名は縁起悪くないか?

旅の安全を守ってくれるという意味があるのでは?

なるほど、そういう捉え方もあるのか。

「おっ!学園の生徒さんだな!今日はよろしく頼むぜ!俺がこの馬車の運転手、アダルってんだ!」

「カイです。こちらこそよろしくお願いします」

「いいってことよ!運賃の代わりに護衛してくれるんだからな!」

俺たちのチケットを見たアダルさんが気さくに話しかけてくれる。
日に焼けたたくましい身体に気さくな笑顔の男性だ。
三十代くらいかな?

この時期は生徒たちが帰省することもあり、馬車の護衛が依頼にあった。
それに申し込み、運賃を無料にしてもらった訳だ。
普段なら警備会社に依頼し、元召喚師や戦闘職の護衛を雇う。
だが、報酬も高くなるので帰省の学園生に依頼をする方がお得らしい。
無論、数人で取り組むことや先生が認めてからでないと受けられないといった安全対策は十分に講じている。

「まあそんなに危険な道じゃないが、盗賊団や野獣といった危険に遭遇しないという確証はない。信頼してるぞ」

この信頼は学園に向けられての信頼だ。
絶対に失う訳にはいかない。

「はい、終点まで俺たちが責任を持って護衛します」

全員が真剣な顔でうなずく。

「おう!いい返事だ!それじゃあ乗った乗った!」

その言葉を聞いたアダルさんは再びニカッと笑い、搭乗口へと案内してくれる。

そうは言っても、何もないことが一番だよな。

あっそれ知ってます!フラグって言うんでしょ!?

不吉なことを言うんじゃありません!

「それでは発車します。皆様、快適な旅路をお楽しみくださいませ」

全員が座ったのを確認した案内のお姉さんがそう言うと、俺たちを乗せた馬車がフレアの実家がある街へと進み出すのだった。
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