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一年生
断章 レオン
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勝ち負けにこだわったことはなかった。
勝てば嬉しいし、負ければ悔しいと思うことは当然あったが、正々堂々と闘った結果がどうであれ、自分自身を誇れるのならばそれでいいと思っていたんだ。
セツカ、君に告白されるまでは。
一年前のグランプリで僕がサイードに負けたとき、僕は満足していた。
そしてカイ君に負けたときも、頼りになる後輩ができて嬉しいと思うくらいだった。
だけど……だけど今は!
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ギィィィン!
上段から振り下ろした僕の剣をサイードが受け止めた。
僕は勝ちたい!
「勝利を熱望する気迫!この気迫は以前のような光輝なる騎士ではないな!」
ギリギリ……
剣に全力を込め、押し込もうとするがサイードもそうはさせまいと押し返してくる。
そんな極限の状況だというのに、黒兜の奥に光るサイードの目が嬉しそうに輝いている。
まるで笑っているみたいに。
「だったら、なんだって言うんだ?」
「ふっ、そのようなことは決まっている……貪欲にただ勝利を求めるもの!人はそれを勇者と呼ぶ!ならば!」
ぐぐっ!
「私は喜んで魔王となろう!」
サイードの押し返す力が強くなる。
「……相変わらず君の感性にはついていけない、な!」
それに対応するように僕も剣に力を込めた。
今まで全力だと思っていたのに、さらに湧き上がってくるように感じる。
「ふはははははは!勇者と魔王は相容れない存在!だからこそ……惹かれ合う!認め合うライバルとしてな!」
ギィン!
ガッ!
ギィィィィィィ!
お互いに離れようともせずに剣と剣がぶつかり合う。
そのたびに僕の剣の光の粒子とサイードの剣の闇の霧がお互いを消し去り、どんどんと薄れていく。
もう少しでシャインプリベントの効果が切れるな……
去年の僕ならこのまま全力を出し切り、力尽きたとしても後悔はしなかったと思う。
「レオン!もう少しだ!頑張れ!」
だが、今は違う!
「コーリー!もう一度だ!」
キィィィィィィ!
僕たちの闘いを見守るように上空を飛んでいたコーリーが、力強く鳴いた。
すると僕の身体に再び温もりが宿っていく。
それは僕の背の後ろでスカルドラゴンと闘ってくれているリシャールも同じことだろう。
エインヘリャルのリシャール。
マスターには手出しはさせません。
存分に目の前へ集中なさってください。
コウノトリのコーリー。
頑張ってマスター!
二人の想いが僕に力をくれる。
この展開にまで持ち込めたのは、君たちのおかげだ。
「くぅっ!闇の加護が切れる!」
ギリギリで保たれていた均衡が、今崩れようとしている。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
光の粒子を纏った剣を両手で握り直し、渾身の想いを込めて右から振りぬいた。
「ぬぉぉぉぉぉぉ!」
キィィィィィィン……
その一撃を受け止めたサイードの剣は、真っ二つに折れた。
シュルルル……ガッ!カランカラン……
空に舞い上がった刀身の半分が石畳の上に落ちて転がっていき、やがてその動きを止める。
「ふっ……まだまだやれると言いたいところだが、潔く負けを認めよう」
「まったく君ってやつは……最後までふてぶてしいな?」
「魔王とはそういうものだろう?レオン」
「そうだな、サイード」
「サイード選手のギブアップ宣言により、勝者!レオン選手!」
試合終了の宣言を聞いた僕たちは、お互いに召喚を解くと握手を交わした。
その瞬間、身体の中に張り詰めていた力がふっと抜けていく。
ガシャン。
僕はその場で尻もちをついてしまった。
「いたたた……」
「おいおい、勝者が腰を抜かしていたんじゃ恰好がつかないぞ」
「ははは、手厳しいことを言ってくれるな……」
「レオン!」
背後からセツカの心配そうな声が聞こえてきた。
その声を聞いてすぐに立ち上がると、親指を上げて笑う。
すると、セツカも笑顔で返してくれた。
その笑顔を僕は見たかったんだ。
「ははは!俺の負けた理由が分かったよ!」
「えっ?」
「勇者様には愛し合うお姫様がいるものだよな?」
「か、からかうなよ……」
「ははは!そう照れるなって!」
そう笑うとサイードは兜を脱いだ。
さらりと流れていく長い銀髪が黒の鎧を彩りづけていく。
相変わらず美しいとも思えるほどの美男子ぶりだ。
「これで一勝一敗、来年は負けないからな?」
「当たるかどうか分からないだろ?」
「我らは闘う運命なのだ……勇者よ……」
「それはもういいって……」
僕たちは笑みを交わし、互いに背を向けると歩き出す。
「レオン!おめでとう!」
「ありがとう、セツカ」
僕の帰りを待ってくれる人の場所まで。
ギリギリ……
マスター?歯が砕けますよ?
セツカ先輩に抱きしめられやがってぇぇぇ……
それになんだよ!対戦相手までめちゃくちゃイケメンじゃないか!
女性客はきゃぁきゃぁ!言ってるしよぉぉぉ!
はぁ……素直に祝福できないのですか?
できん!
あんな物語の主人公みたいに神様に祝福されたやつをこれ以上祝福してたまるか!
マスターも十分神様に祝福されていますよ?
えっ!?本当か!?
ええ、私がいますからね♪
……ソウダネェ。
なんですかその態度は!
そもそもマスターは私のことをもっと労わるべきです!
さて、次の試合は、と……
聞いてますか!?
俺はファーナの戯言を無視し、次の試合に備えるのだった。
勝てば嬉しいし、負ければ悔しいと思うことは当然あったが、正々堂々と闘った結果がどうであれ、自分自身を誇れるのならばそれでいいと思っていたんだ。
セツカ、君に告白されるまでは。
一年前のグランプリで僕がサイードに負けたとき、僕は満足していた。
そしてカイ君に負けたときも、頼りになる後輩ができて嬉しいと思うくらいだった。
だけど……だけど今は!
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ギィィィン!
上段から振り下ろした僕の剣をサイードが受け止めた。
僕は勝ちたい!
「勝利を熱望する気迫!この気迫は以前のような光輝なる騎士ではないな!」
ギリギリ……
剣に全力を込め、押し込もうとするがサイードもそうはさせまいと押し返してくる。
そんな極限の状況だというのに、黒兜の奥に光るサイードの目が嬉しそうに輝いている。
まるで笑っているみたいに。
「だったら、なんだって言うんだ?」
「ふっ、そのようなことは決まっている……貪欲にただ勝利を求めるもの!人はそれを勇者と呼ぶ!ならば!」
ぐぐっ!
「私は喜んで魔王となろう!」
サイードの押し返す力が強くなる。
「……相変わらず君の感性にはついていけない、な!」
それに対応するように僕も剣に力を込めた。
今まで全力だと思っていたのに、さらに湧き上がってくるように感じる。
「ふはははははは!勇者と魔王は相容れない存在!だからこそ……惹かれ合う!認め合うライバルとしてな!」
ギィン!
ガッ!
ギィィィィィィ!
お互いに離れようともせずに剣と剣がぶつかり合う。
そのたびに僕の剣の光の粒子とサイードの剣の闇の霧がお互いを消し去り、どんどんと薄れていく。
もう少しでシャインプリベントの効果が切れるな……
去年の僕ならこのまま全力を出し切り、力尽きたとしても後悔はしなかったと思う。
「レオン!もう少しだ!頑張れ!」
だが、今は違う!
「コーリー!もう一度だ!」
キィィィィィィ!
僕たちの闘いを見守るように上空を飛んでいたコーリーが、力強く鳴いた。
すると僕の身体に再び温もりが宿っていく。
それは僕の背の後ろでスカルドラゴンと闘ってくれているリシャールも同じことだろう。
エインヘリャルのリシャール。
マスターには手出しはさせません。
存分に目の前へ集中なさってください。
コウノトリのコーリー。
頑張ってマスター!
二人の想いが僕に力をくれる。
この展開にまで持ち込めたのは、君たちのおかげだ。
「くぅっ!闇の加護が切れる!」
ギリギリで保たれていた均衡が、今崩れようとしている。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
光の粒子を纏った剣を両手で握り直し、渾身の想いを込めて右から振りぬいた。
「ぬぉぉぉぉぉぉ!」
キィィィィィィン……
その一撃を受け止めたサイードの剣は、真っ二つに折れた。
シュルルル……ガッ!カランカラン……
空に舞い上がった刀身の半分が石畳の上に落ちて転がっていき、やがてその動きを止める。
「ふっ……まだまだやれると言いたいところだが、潔く負けを認めよう」
「まったく君ってやつは……最後までふてぶてしいな?」
「魔王とはそういうものだろう?レオン」
「そうだな、サイード」
「サイード選手のギブアップ宣言により、勝者!レオン選手!」
試合終了の宣言を聞いた僕たちは、お互いに召喚を解くと握手を交わした。
その瞬間、身体の中に張り詰めていた力がふっと抜けていく。
ガシャン。
僕はその場で尻もちをついてしまった。
「いたたた……」
「おいおい、勝者が腰を抜かしていたんじゃ恰好がつかないぞ」
「ははは、手厳しいことを言ってくれるな……」
「レオン!」
背後からセツカの心配そうな声が聞こえてきた。
その声を聞いてすぐに立ち上がると、親指を上げて笑う。
すると、セツカも笑顔で返してくれた。
その笑顔を僕は見たかったんだ。
「ははは!俺の負けた理由が分かったよ!」
「えっ?」
「勇者様には愛し合うお姫様がいるものだよな?」
「か、からかうなよ……」
「ははは!そう照れるなって!」
そう笑うとサイードは兜を脱いだ。
さらりと流れていく長い銀髪が黒の鎧を彩りづけていく。
相変わらず美しいとも思えるほどの美男子ぶりだ。
「これで一勝一敗、来年は負けないからな?」
「当たるかどうか分からないだろ?」
「我らは闘う運命なのだ……勇者よ……」
「それはもういいって……」
僕たちは笑みを交わし、互いに背を向けると歩き出す。
「レオン!おめでとう!」
「ありがとう、セツカ」
僕の帰りを待ってくれる人の場所まで。
ギリギリ……
マスター?歯が砕けますよ?
セツカ先輩に抱きしめられやがってぇぇぇ……
それになんだよ!対戦相手までめちゃくちゃイケメンじゃないか!
女性客はきゃぁきゃぁ!言ってるしよぉぉぉ!
はぁ……素直に祝福できないのですか?
できん!
あんな物語の主人公みたいに神様に祝福されたやつをこれ以上祝福してたまるか!
マスターも十分神様に祝福されていますよ?
えっ!?本当か!?
ええ、私がいますからね♪
……ソウダネェ。
なんですかその態度は!
そもそもマスターは私のことをもっと労わるべきです!
さて、次の試合は、と……
聞いてますか!?
俺はファーナの戯言を無視し、次の試合に備えるのだった。
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