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第三章 女の子の事情
バールフィドル侯爵邸へ
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ユニカと話した数日後、ロレーヌはアルフレッドに会いに出かけた。会ってもらえないかもしれないと心配したけれどそれはなく、訪問の伺いを立てるとすぐに返事がきた。
アルフレッドは城下に小さな家を借りていた。ロレーヌは彼の家に行くのはもちろん初めてだった。こじんまりした二階建ての家は、デノーリュ公爵邸に比べたらおもちゃみたいだったけれど、狭いながらも庭は綺麗に整えられ、中の装飾も上品で、素敵な家だった。
玄関を開けてくれた執事は、ロレーヌの顔を見て深く頭を下げた。
「ご無沙汰しております。ロレーヌお嬢様」
「あら、あなた、前にバールフィドル侯爵邸にいた方?」
老年の執事は、確かに知ってる顔だった。彼はしわを深めて微笑む。
「ええ。お嬢様がわたくしどもを気にかけてくださったそうで、どうもありがとうございます」
「いいえ。私は何もしていないわ」
ロレーヌは首を振る。
「それよりも、またアルフレッドの元に戻ってきてくれたのね? うれしいわ」
執事は何も言わなかったけれど、その微笑みから、彼の方こそ、アルフレッドの元に戻れたことを喜んでいるとわかる。
「さあ、ご案内いたします。旦那様がお待ちですよ」
ロレーヌが隠した緊張など知らない執事は、こんな喜ばしいことはないといった様子で促した。
アルフレッドは城下に小さな家を借りていた。ロレーヌは彼の家に行くのはもちろん初めてだった。こじんまりした二階建ての家は、デノーリュ公爵邸に比べたらおもちゃみたいだったけれど、狭いながらも庭は綺麗に整えられ、中の装飾も上品で、素敵な家だった。
玄関を開けてくれた執事は、ロレーヌの顔を見て深く頭を下げた。
「ご無沙汰しております。ロレーヌお嬢様」
「あら、あなた、前にバールフィドル侯爵邸にいた方?」
老年の執事は、確かに知ってる顔だった。彼はしわを深めて微笑む。
「ええ。お嬢様がわたくしどもを気にかけてくださったそうで、どうもありがとうございます」
「いいえ。私は何もしていないわ」
ロレーヌは首を振る。
「それよりも、またアルフレッドの元に戻ってきてくれたのね? うれしいわ」
執事は何も言わなかったけれど、その微笑みから、彼の方こそ、アルフレッドの元に戻れたことを喜んでいるとわかる。
「さあ、ご案内いたします。旦那様がお待ちですよ」
ロレーヌが隠した緊張など知らない執事は、こんな喜ばしいことはないといった様子で促した。
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