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牝の匂い

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「あ、ああ、ああああ……! 凄い勢いで出てる。 あなたの精液を子宮がゴクゴクと美味しく飲んでる。 ……ねえもっと頂戴、あなたの子を早く産みたいの!」

「無論だレーナ。 父上が戻られる前に、絶対お前を孕ませてやる!」

 行方が分からなかった同級生の内の1人が、まさかこんな場所でオークとセックスをしているとは……。
 安藤 沙織と佐々木 小梅は、豚の化け物に後ろから貫かれ淫らな顔で喘ぐ玲奈の姿を見て思わず視線を逸らす。

「これは私達の知っている、紅葉院さんでは無いわ。 あなた達は、彼女に一体何をしたの?」

 副委員長をしているだけあって、毅然とした態度でディザイアを問い詰める安藤。
 だが彼は冷ややかな目で、事実を伝える。

「お前らが知らないだけで、あれは紅葉院 玲奈が心の奥底に潜ませていた本性なのかもしれないんだぞ。 お前だって内心では、ああいう風に抱かれてみたいと思っているのではないか?」

 安藤は顔を赤くして平手打ちをしようとしたが、ディザイアの頬には届かない。
 一方の佐々木はコージと玲奈の獣の交わりを、食い入るように見つめている。

(佐々木の方は案外簡単に堕ちそうだな、ならば先に安藤からいただくとするか)

 副委員長を犯す趣向を考えていると、中に居る玲奈の声が外に漏れてきた。

「あなたと私の子供は、一体どんな凜々しい顔立ちで生まれてくるのかしら? 早くディザイア、いいえ佐伯君に見せてやりたいわ。 『ほら、これがあなたの孫よ。 お祖父ちゃん』ってね」

 ハッとした顔でディザイアの顔を見る安藤、彼は口元を歪ませて正体を明かす。

「今頃気付いたか、紅葉院を抱いているのは俺の息子だ。 お前らを探しに出ている間に、どうやら意気投合したようだ」

「ふざけないで!」

 思わず大声を出す安藤、すると気付いたコージと玲奈が小屋から出てきた。

「紅葉院さん!」

「安藤さんと佐々木さん? そう、今度はあなた達が捕まっちゃったのね」

「大丈夫よ、あなたさえ無事なら問題ないわ。 私達まで戻らない事を知れば、他のみんなが探しに来てくれる。 そうなれば、こんなオーク達なんて一捻りよ」

 引き寄せようと掴む安藤の手を、玲奈はその場で振り払う。

「紅葉院さん!?」

「嫌よ、私は戻らない。 ここでコージのお嫁さんになって、いっぱいい~っぱい彼の子供を産むの! そして佐伯君の悔しそうな顔を見てあっかんべぇするのが、今の私の望みよ」

 この時ディザイアは、彼女の心を回復しきれていなかった事に気がついた。

(どうやら表面上だけで、深層心理の部分までは回復出来ていなかったか。 しかしコージに夢中になるとは、都合が良い。 このまま正気に戻さない方が得策だな)

 数日前にクレアが玲奈に語ったディザイアの優しさには、訂正する部分がある。
 まずすぐに喰い殺すのは一秒でも早く存在を消したいからであって、長時間苦痛を与えられるならきっと何十年でも与えるだろう。
 そして玲奈の心を壊したことを後悔していたのは、反応のないオナホール状態の女をどれだけ犯してもつまらないからである。

 壊れた玲奈を見て楽しんでいたディザイアは、なおも説得を続けようとする安藤の身体から微かに発する、欲情した牝の匂いを嗅ぎ取った。

(これは使えるな)

 彼は素早く安藤と佐々木の首に縄をかけると、その場を後にする。

「邪魔をして悪かったな、紅葉院。 しかし1人か2人のガキ程度で、俺が悔しがるとでも思っているのか? この安藤達とどちらが多くのガキを産むか、勝負だ!」

「良いわよ、その勝負受けようじゃないの。 絶対に、安藤さん達も驚く数の赤ん坊を産んでみせるから」

「騙されちゃだめ! 紅葉院さん、あなたは騙されているのよ!!」

 安藤の叫びも虚しく、玲奈はコージに抱き上げられて小屋の中へと戻っていく。
 どこか幸せそうな笑みを浮かべている彼女の顔を見て、安藤の目から涙が零れた。



 ディザイア専用の種付け部屋に連れ込まれた安藤と佐々木は、両手両足を拘束され鎖で壁に固定される。

「佐伯君! イジメの逆恨みで、私達にこれ以上酷いことをするのは止めなさい。 私も一緒に先生や皆に謝ってあげるから……」

「逆恨み……逆恨みだと!?」

 ディザイアの中で猛烈な殺意が湧き上がる、しかし歯を食いしばり何とか堪えた。
 怒らせた分だけ、安藤に味わわせる屈辱を上乗せすれば済む話である。
 冷静さを取り戻したディザイアは、気丈に振る舞う安藤に問いかけた。

「そういえば安藤、少し身体が火照った感じを覚えていないか? そろそろ薬の効果が、2人にも現れる頃合いなんだが……」

(薬?)

 言われてみると少し熱っぽい感じがする、先ほど紅葉院とオークのセックスを見てしまった影響かと思ったが、どうやら薬が原因らしい。

「あなた……いつの間に私達に薬を飲ませたの!?」

「お前達をここに連れてきて、最初に食わせた飯の中だ。 こいつをさらに薄めた奴を混ぜておいた、匂いや味の違いにも気づけなかった筈だ」

 そう言いながら、ディザイアは白い液体を2人に見せる。

「これはカイライという実を搾って水で薄めたもので、自白と催淫の効果がある。 お前達は媚薬入りの飯を、気付かずに食わされたって訳だ」

「鬼、悪魔、ひとでなし! あなたは、人間じゃないわ!?」

「そうだ、俺は人間じゃない」

 安藤の顔を両手で押さえると、その唇を奪う。
 逃げだそうと試みるも、鎖で固定されていて逃げることすら出来ない。

「薬の効果は絶大だ。 お前がどんなに抗おうとしても、身体の方が男を欲しがってどうしようもなくなる。 そして自白効果で、お前はそれを隠すことすら出来ない」

 ディザイアは安藤の隣で無言でいる、佐々木のスカートの中に手を伸ばした。

「ああっ!?」

 身体をよじり彼の手から逃れようとする小梅。
 スカートから抜かれたディザイアの手の指先には、彼女自身が分泌した体液が付着している。

「佐々木の方は、かなり薬が回っているみたいだな。 どうだ、俺に触れられた感じはどうだった? 嫌悪感は薄れ、逆にもっと触って欲しいと思わなかったか?」

 佐々木は羞恥のあまり、とうとう泣き始めてしまう。
 しかし暫くすると、目を閉じて感じたままを口にする。

「……はい、わたしはもっと触れて欲しいと思いました。 指先が触れただけで快感を覚えてしまうほど、薬が効いております」

「佐々木さん!?」

「お前もそろそろ楽になったらどうだ、安藤。 楽になってしまえば、元の世界では味わうことの出来ない快楽をずっと味わえるぞ」

「馬鹿なことを言わないで! 私は薬になんて、絶対に負けない。 あなたみたいな卑劣な奴に、負ける訳にはいかないの」

 その言葉を合図に、ディザイアは安藤の拘束を解いた。
 そしてあざ笑うかのように、彼女に宣戦布告をする。

「面白い、お前の理性がどこまで耐えられるか。 じっくりと見させてもらうぞ。 すぐに音を上げられては興醒めだから、半日は保ってくれないと困るぞ」

 服を脱がし始めるディザイアに、彼女は抵抗しようとはしなかった。
 薬の効果に負けないことの方に意識が向いて、これから自分の身に何が起きるのか理解出来ていなかった。
 だがこの時すでに安藤 沙織と佐々木 小梅の2人は、ディザイアの仕組んだ罠に嵌められていたのである……。
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