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本人も忘れていたこと
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「それは本当かい? 伊勢谷君」
「ああ、間違いない。 一平の奴、校長を崖から落として殺しやがった」
校長と手平の2人が拠点に連行される様子を偵察していた伊勢谷が、大まかな情報を櫻木に報告している。
その中には安藤と佐々木の両名がディザイア側についていることと、紅葉院玲奈が何らかの理由で死亡したことも含まれていた。
「引き続き上空から偵察するように。 それから他の連中には紅葉院さんが死亡したことや、副委員長と佐々木さんが佐伯君の味方になっていることは言わないでおいてくれないか?」
「わかった、校長と手平が一平に殺されたことだけ伝えれば良いんだな?」
「そのとおりだ。 クラスの連中には4人ほど選抜して拠点に送るから、怖がらずに宿屋で待っているように伝えてくれ。 他の町へ逃げださないように、お互いを監視させるんだ」
「お前、頭良いな! 急いで伝えてくるよ」
操られていることにも気付かないまま、皆がいる宿屋へ駆け出す伊勢谷。
それを見ていた櫻木は、少しだけ残念そうな顔を浮かべた。
(紅葉院さん死んじゃったのか。 折角自分の思い通りに出来る世界に来れたから、もし見つけたら味見しようと思っていたけど、一平の奴に犯された中古品なんかに手を出して、うっかり穴兄弟とならずに済んだから死んで正解かもしれないな)
ディザイアがどんな風に紅葉院を犯したのか想像していると、誰かを犯したい欲求が彼の中でも芽生え始める。
「さてと……今日は誰に相手をしてもらおうかな?」
周囲を見回すと都合良く、16歳くらいの少女が母親と歩いているのを見つけた。
「やあ。 ちょっと僕の性欲処理の為に、君の身体を使わせてくれ」
「……はい、かしこまりました」
ついで櫻木は母親に、別の命令を与える。
「あなたには用は無いから、そのまま家に帰ってくれ。 そして家に帰ったら、娘はディザイアというオークに攫われたと衛兵に助けを求めるんだ」
「かしこまりました、勇者サクラギ」
おぼつかない足取りで家に向かう母親の姿が見えなくなると、櫻木は少女の肩に手を置いて耳元で囁いた。
「それじゃあ、そこの路地裏へ入ろう。 僕の相手が済んだら君はオークに犯されたことを嘆きながら、城壁から飛び降りるんだ。 そうすればきっと、両親が君の敵を討ってくれる筈だよ」
「……わかりました、勇者サクラギ」
それから数時間後、1人の少女が城壁から身を投げ出し投身自殺を図る。
少女の遺体には誰のものか分からない精液が付着しており、帰宅した母親が衛兵に訴えたことにより、ディザイアというオークの仕業だとされた……。
「ディザイア様、最近空を変なものが飛んでる」
「変なものだと?」
ワーキャットのメリナからの報告を聞いたディザイアは、すぐにそれが何者かの手による監視だと気が付く。
窓を少しだけ開け鷹目(ホークアイ)で上空を見ると、そこには前世では見慣れたものが浮かんでいた。
(あれはドローン!? 俺達の動きが、奴らに筒抜けだったことになるのか?)
情報戦での遅れは、いずれ致命的な状況を招きかねない。
ディザイアは、すぐに安藤と佐々木を呼び出した。
「それは多分、伊勢谷くんが創り出したものだと思うわ。 最初にブレサの街を発見したのも彼だし、もしかしたら桂井君達を影で監視していたのかもしれないわね」
「そうなると、あのハエに上空を飛び回られるのは面倒だな。 何か、良い駆除方法はないか?」
ドローンに対抗する策をいくつか考えてみるが、有効な案には届かない。
その策というのは、以下のようなものである。
1, 弓で撃ち落とす(ディザイア以外無理)。
2, 周りの景色に擬態したディザイアが直接叩き落とす。
3, 周りの景色に擬態したディザイアがメリナを抱えてジャンプして、ドローンを彼女に叩き落とさせる。
4, 周りの景色に擬態したディザイアが安藤を抱えてジャンプして、彼女の魔法でドローンを撃墜する。
4番だけは速攻で却下された。
安藤にそこまでの身体能力があるわけ無いのだから、すぐに誰かが抱えていることがバレてしまうからである。
するとこれまで黙って話を聞いていた佐々木が、突拍子もない案を口にする。
「ねえ、ディザイア。 膣内に出されると流石にマズイから、沙織にあなたの精液を飲ませてあげること出来ないかな?」
それを隣で聞いたコージが、抱いていたレイを思わず落としそうになった。
「コ、コウメ! きゅ、急に何を言い出すんだ!?」
「だってディザイアは、わたし達の能力を奪うことも与えることも出来るのでしょ? だったら沙織に鷹目の力を与えれば、杖の魔法で幾らでも撃墜出来ると思って」
(その手があったか……)
ディザイアは能力を奪うことばかりに目がいって、能力を与えることを忘れていたのである。
しかし、ここで新たな問題も生じた。
「小梅の案がもっとも妥当な解決方法だと思うわ、だけどそうなると……」
「伊勢谷は必ず安藤、お前を殺しに来る。 そう言いたいんだな? ドローンに攻撃能力を持たせてくると」
「そうよ、私だって逆の立場だったら同じことをするわ。 だからコージ、私の命をあなたに預けるわ。 うるさいハエから私達を守ってね」
安藤を抱き寄せ軽く口づけすると、コージはこの場に居る皆の前で誓う。
「任せてくれ、サオリの命は私が必ず守る。 だから君の力を、この拠点の未来の為に使って欲しい」
伊勢谷のドローンに対する策が、こうして決まった。
さっそく鷹目の力を与えようとするディザイアの前に、天敵がその姿を見せる。
「あなた、今日も例の時間が来ましたよ。 サオリさんやコウメさんよりも先に子供を作らないといけませんから、頑張ってくださいね」
妻クレアの登場により、鷹目の力の授与は翌日に延期された……。
「ああ、間違いない。 一平の奴、校長を崖から落として殺しやがった」
校長と手平の2人が拠点に連行される様子を偵察していた伊勢谷が、大まかな情報を櫻木に報告している。
その中には安藤と佐々木の両名がディザイア側についていることと、紅葉院玲奈が何らかの理由で死亡したことも含まれていた。
「引き続き上空から偵察するように。 それから他の連中には紅葉院さんが死亡したことや、副委員長と佐々木さんが佐伯君の味方になっていることは言わないでおいてくれないか?」
「わかった、校長と手平が一平に殺されたことだけ伝えれば良いんだな?」
「そのとおりだ。 クラスの連中には4人ほど選抜して拠点に送るから、怖がらずに宿屋で待っているように伝えてくれ。 他の町へ逃げださないように、お互いを監視させるんだ」
「お前、頭良いな! 急いで伝えてくるよ」
操られていることにも気付かないまま、皆がいる宿屋へ駆け出す伊勢谷。
それを見ていた櫻木は、少しだけ残念そうな顔を浮かべた。
(紅葉院さん死んじゃったのか。 折角自分の思い通りに出来る世界に来れたから、もし見つけたら味見しようと思っていたけど、一平の奴に犯された中古品なんかに手を出して、うっかり穴兄弟とならずに済んだから死んで正解かもしれないな)
ディザイアがどんな風に紅葉院を犯したのか想像していると、誰かを犯したい欲求が彼の中でも芽生え始める。
「さてと……今日は誰に相手をしてもらおうかな?」
周囲を見回すと都合良く、16歳くらいの少女が母親と歩いているのを見つけた。
「やあ。 ちょっと僕の性欲処理の為に、君の身体を使わせてくれ」
「……はい、かしこまりました」
ついで櫻木は母親に、別の命令を与える。
「あなたには用は無いから、そのまま家に帰ってくれ。 そして家に帰ったら、娘はディザイアというオークに攫われたと衛兵に助けを求めるんだ」
「かしこまりました、勇者サクラギ」
おぼつかない足取りで家に向かう母親の姿が見えなくなると、櫻木は少女の肩に手を置いて耳元で囁いた。
「それじゃあ、そこの路地裏へ入ろう。 僕の相手が済んだら君はオークに犯されたことを嘆きながら、城壁から飛び降りるんだ。 そうすればきっと、両親が君の敵を討ってくれる筈だよ」
「……わかりました、勇者サクラギ」
それから数時間後、1人の少女が城壁から身を投げ出し投身自殺を図る。
少女の遺体には誰のものか分からない精液が付着しており、帰宅した母親が衛兵に訴えたことにより、ディザイアというオークの仕業だとされた……。
「ディザイア様、最近空を変なものが飛んでる」
「変なものだと?」
ワーキャットのメリナからの報告を聞いたディザイアは、すぐにそれが何者かの手による監視だと気が付く。
窓を少しだけ開け鷹目(ホークアイ)で上空を見ると、そこには前世では見慣れたものが浮かんでいた。
(あれはドローン!? 俺達の動きが、奴らに筒抜けだったことになるのか?)
情報戦での遅れは、いずれ致命的な状況を招きかねない。
ディザイアは、すぐに安藤と佐々木を呼び出した。
「それは多分、伊勢谷くんが創り出したものだと思うわ。 最初にブレサの街を発見したのも彼だし、もしかしたら桂井君達を影で監視していたのかもしれないわね」
「そうなると、あのハエに上空を飛び回られるのは面倒だな。 何か、良い駆除方法はないか?」
ドローンに対抗する策をいくつか考えてみるが、有効な案には届かない。
その策というのは、以下のようなものである。
1, 弓で撃ち落とす(ディザイア以外無理)。
2, 周りの景色に擬態したディザイアが直接叩き落とす。
3, 周りの景色に擬態したディザイアがメリナを抱えてジャンプして、ドローンを彼女に叩き落とさせる。
4, 周りの景色に擬態したディザイアが安藤を抱えてジャンプして、彼女の魔法でドローンを撃墜する。
4番だけは速攻で却下された。
安藤にそこまでの身体能力があるわけ無いのだから、すぐに誰かが抱えていることがバレてしまうからである。
するとこれまで黙って話を聞いていた佐々木が、突拍子もない案を口にする。
「ねえ、ディザイア。 膣内に出されると流石にマズイから、沙織にあなたの精液を飲ませてあげること出来ないかな?」
それを隣で聞いたコージが、抱いていたレイを思わず落としそうになった。
「コ、コウメ! きゅ、急に何を言い出すんだ!?」
「だってディザイアは、わたし達の能力を奪うことも与えることも出来るのでしょ? だったら沙織に鷹目の力を与えれば、杖の魔法で幾らでも撃墜出来ると思って」
(その手があったか……)
ディザイアは能力を奪うことばかりに目がいって、能力を与えることを忘れていたのである。
しかし、ここで新たな問題も生じた。
「小梅の案がもっとも妥当な解決方法だと思うわ、だけどそうなると……」
「伊勢谷は必ず安藤、お前を殺しに来る。 そう言いたいんだな? ドローンに攻撃能力を持たせてくると」
「そうよ、私だって逆の立場だったら同じことをするわ。 だからコージ、私の命をあなたに預けるわ。 うるさいハエから私達を守ってね」
安藤を抱き寄せ軽く口づけすると、コージはこの場に居る皆の前で誓う。
「任せてくれ、サオリの命は私が必ず守る。 だから君の力を、この拠点の未来の為に使って欲しい」
伊勢谷のドローンに対する策が、こうして決まった。
さっそく鷹目の力を与えようとするディザイアの前に、天敵がその姿を見せる。
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