復讐のためオークに転生した元いじめられっ子、魔王を牝犬にして飼う。【R18】

いけお

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遅れてきた使者

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「なあ、お前自分のことをエルフと言ったよな?」

「そうだけど、それがどうかしたの?」

「お前が、今喰っているのはなんだ?」

「……六脚牛のステーキ」

 ディザイアが魔王を銀鷲亭(ぎんわしてい)に連れて行くと、よほどお腹が減っていたのか、彼女は物凄い勢いで食べ始めた。
 しかも無駄な殺生を好まないはずの種族にも関わらず、肉やら乳やら卵やら禁忌を完全に無視した注文をする。

「エルフって、野菜とか森の恵みしか食べないと思っていたのだが……」

「その通りよ、でも今の私はダークエルフでしょ? だからそこら辺を気にするのは止めたの、なにか文句でもあるの?」

(多分コイツが選ばれたのは、腹の中が黒かったからだろうな)

 なんとなく、魔王に選ばれた理由がわかったディザイア。
 ようやく空腹がおさまった彼女は機嫌が良くなったのか、ここに連れてこられる前にされた質問に答えることにした。

「ふぅ、満足満足♪ そういえばさっき、私に聞きたいことがあると言ってたわね。
 今は機嫌も良いし、何でも答えてあげるわよ」

「そうか……、ならお前の名前を教えろ」

「名前? もしかして、私の美貌に心を奪われちゃったの?」

「んなわけあるか! 実はなエルフに戻す方法を知る、きっかけになりそうな情報を持ってる人物が、ここから片道で3日ほどの場所に住んでいるらしい。 その人物は魔王の名前に興味があるみたいだから、知っておきたいんだ」

 嘘は言っていないつもりだ、エルフに姿を変える錠剤を創るのに本物と会う必要がある。
 そしてそのエルフは行方がわからなくなっている姉を探しているらしいから、名前を聞き出せば姉かどうかもはっきりするだろう。

 そんなことをディザイアが考えていると、魔王は何を勘違いしたのか頬を赤くして質問に答えた。

「もう、この恥ずかしがり屋さん。 そんな見え透いた嘘なんてつかなくても、私の名前くらい教えてあげるわよ」

「はい、見え透いた嘘でかまいません。 あなたの名前を教えて下さい」

「……なんだかそっけない気もするけど、まあいいわ。 私の名前はミザリアーナ・フォトン。 家族や親しい友人は、ミザリーと呼んでいたわ」

「ミザリアーナ・フォトンね。 それじゃあミザリー、最終日までには戻るからお前はここで待っていてくれ」

 ディザイアが銀鷲亭を出ようとすると、ミザリーは彼の手を掴む。

「待って、期限を1日伸ばしてあげる。 だから出発は明日にしなさい」

「出発を明日にする理由でもあるのか?」

「そうね……、多分その理由は夕刻にはここに到着すると思うわ」

「?」

 ミザリーの言っている意味はわからなかったが、ディザイアは言われた通り待つことにした。



 その日の夕刻、魔王からの使者を名乗る人物が面会に訪れたと連絡が入る。
 銀鷲亭に案内させると、待っていたディザイアの前に姿を見せたのは異形の騎士。
 どの部分が異なるかというと、自分の首を片方の手で持っている点だろう。

「わたしは魔王様の下で、一軍を預かっておりますジャンヌと申します。 この街の主であるディザイア殿に、大事なお話があって参りました」

「来るのを待っていたわ、悪いけどコイツを乗せてひとっ走りしてきてくれない?」

「ま、魔王様! なんでココに!?」

 ミザリーの姿を見て驚くジャンヌ。
 この使者がこれだけ驚くのだから魔王の不在を知った部下達は、今頃きっと大騒ぎになっているに違いない。

「ディザイア、彼女の馬に乗せてもらいなさい。 そうすれば1日もあれば、目的地に着くはずよ」

「突然のことで何が起きているのかわからないと思うが、とりあえずよろしく頼む」

「こ、こちらこそ……よろしく」

 明朝カルミアに向け出発することで話も決まり、今晩はミザリーとジャンヌの両名には銀鷲亭に泊まってもらうことにした。

「ま、魔王様と同じ部屋で寝るなどとんでもない! わたしは下の階で寝ます」

 ミザリーと同室で寝るのは恐れ多いのか、ジャンヌは下の階に部屋を取る。
 魔王についてさらに詳しく知りたいと思ったディザイアは、夕食を終えると彼女の部屋を訪ねた。
 甲冑を脱いでナイトウェア姿のジャンヌは、首無しなのにどこか大人の女性の色気を感じてしまう。

「魔王様について聞かせてほしい?」

「ああ、そうだ。 彼女はエルフからダークエルフに種族を変えられてしまっているが、それをどう思っているかも含めて教えてほしい」

「そうですね……」

 用意したお茶を口に含みながら、ジャンヌは言葉を選ぶ。
 そして彼女の口から出た言葉は、母のような慈愛と愛情に満ちていた。

「魔王様は、大変すばらしい方です。 血の気の多い配下達を抑え、魔王軍に誇りと秩序をもたらしました。 出来ればご家族の許に返したい気持ちもありますが、彼女が去ったあとを考えると怖いです」

「部下にそこまで慕われるとは、本当に素晴らしい上司なのだな。 ジャンヌ殿、茶のおかわりはいかがかな?」

「はい、あの御方の下で働けて本当に幸せです。 ありがとう、いただきます」

 新たに注がれた茶をジャンヌは礼を言いながら口にする、しばらくすると身体の奥が徐々に熱く火照り出す。

「これは……どうしたのでしょう? 身体が、少し熱っぽくなってきました」

「それはいけない、ベッドに横になった方が良い」

 抱きかかえられてベッドに向かうジャンヌ、首を枕元に置くとディザイアは彼女のナイトウェアを脱がし始めた。

「あなたのような女性をこのままにしておくのは、男として最も恥ずべき行為だ。 今宵は一夜限りの夢を、共に楽しみましょう」

 茶のおかわりの中に、こっそりと媚薬を仕込んでいたディザイア。
 ミザリーの妹を誘拐するためには、ジャンヌの協力が必要になるかもしれない。
 頼みを断れなくするため女子生徒を犯す時とは違う優しい手つきで、彼女の敏感な部分を探り始めるのだった……。
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