復讐のためオークに転生した元いじめられっ子、魔王を牝犬にして飼う。【R18】

いけお

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罠に嵌める者と嵌まる者

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「まずは部屋の利用料として1日につき、銀貨3枚貰っているわ。 宿屋の一般的な宿泊料が一泊銀貨5枚だから、それと比べれば格安よね」

 くるみはまず、部屋の利用料の説明を始めた。
 これは話を最後まで聞いていれば分かった話なので、話の途中で返事をした6人が軽率だったといえる。
 次いでくるみは、引かれた残り1枚の銀貨の内訳を説明した。

「残り1枚の銀貨は毎日3食の食事代よ、これだってウチの料理の代金を知っているあなた達なら安くしてるのくらい分かるはず。 毎日の給料から銀貨4枚を引いてるので、残りの銀貨1枚の30日分として金貨3枚を渡したの。 何か問題ある?」

「問題あるわよ! だったら何で、最初に差し引くって言わなかったの!? これじゃ後からいくらでも理由付けが出来るじゃない、あなたがしたのは私達に対する詐欺よ金貨15枚をちゃんと支払って」

 6人の1人、萌葱原 頼子(もえぎはら よりこ)はそう言いながら憤る。
 だが返ってきたのは、くるみの侮蔑を含んだ言葉だった。

「人の話を最後まで聞かなかったのは、あなた達の方でしょ? それにわたしがこの店を手に入れた経緯は来ている客から聞いているかもしれないけど、この店の元店長に無理やりレイプされた慰謝料よ。 建物の維持費や食材の仕入れにもお金がかかるの、それなのにあなた達をタダで泊めてご飯まで出していたら店は潰れてしまう。 嫌なら出ていってくれて結構よ、でもあなた達を雇ってくれる所が有るのかな?」

 くるみの答えに頼子は唇を噛んだ、勇者サクラギの仲間扱いされている6人を雇う街の人間は居ない。
 今さら店を飛び出しても、生活の糧を得る手段が彼女達には残されていなかった。

「そうそう、大事なことを伝えるのを忘れていたわ」

 くるみは次の罠を張った、それは金銭的精神的に6人を追い詰めるものである。



「ディザイア……佐伯君からの伝言。 住人から多数の苦情が出ている、街で暮らすつもりがあるならそろそろ税金を納めろ。 無いならオークを産め……だって」

 伝言を聞いた深川 祐子(ふかがわ ゆうこ)は、くるみに質問した。

「ねえ、税金って一体いくらなの?」

「1年で金貨50枚、今のままならオークの出産間違いなしね」

 6人は顔を青ざめる、くるみはここでさらなる追い討ちをかける。

「彼は3ヶ月待ってくれるそうだから、ウチ以外の仕事を増やすしかないわね」

 その仕事が6人には無いのだ、オークを産むしか方法がないと彼女達には思えた。

「どうしてもお金に困ったのなら、あなた達でも出来る仕事を1つ紹介してあげても良いわ。 ただその話はここでは出来ない、店が終わってからわたしの部屋に1人で来てちょうだい」

 その日の晩くるみの部屋をさっそく訪れる者がいた、6人の中で1番心配性である加藤 千里(かとう ちさと)である。

「まだ3ヶ月もあるのだから、ゆっくりと仕事を探せば良いのに?」

「そんなことを悠長に言ってたら、ちさとはすぐにオークのお母さんです! くるみさん、自分にも出来る仕事を教えてくれませんか?」

「良いわよ、教えてあげる。 やるかやらないかはあなたの自由、でも仕事の内容を聞いて絶対に驚かないでね」

 そう言うとくるみは、千里の耳元で小さく呟いた。

「……部屋に男を連れ込んで身体を売るの、楽にお金が稼げるわよ」



「ちょっと……それ本気で言っているの!?」

 くるみの提案に千里は驚く、売春をすすめてくるとは思わなかったのである。

「ええ本気よ。 そんなにオークの子を産みたくないのなら、男に身体を売ってでもお金を稼ぐしかないわよね?」

 千里は一瞬迷ってしまった、押しに弱い彼女は昔1度だけ幼馴染みに迫られ関係を持ってしまった。
 オークに比べればはるかにマシだが、見ず知らずの男に身体を預けることに不安を感じてしまう。

 そんな千里の不安を無視して、くるみはどんどんと話を進めた。

「今度は先に言っておくけど、身体を売るなら1人相手にするたびに銀貨3枚を部屋のシーツの交換代として貰うわよ。 あと客と自分の身体を洗いたいなら、銀貨2枚で風呂も使わせてあげる」

 これでは1人に身体を売るたびに、くるみに銀貨5枚を支払わなければならない。
 それに3ヶ月で金貨50枚を貯めるには、1日に複数人相手をしなければいけない計算となる。
 躊躇しはじめた千里にくるみは、小さな瓶を手渡した。

「これは?」

「それはディザイアが昔使っていた、痛みを抑えられる薬よ。 それを使って、早い段階で税金を支払ってしまえばこの仕事を続ける必要もなくなる。 千里はオークの子を産みたくないのでしょ? なら、行動は早い方が良いわ。 とりあえず明日1人だけ相手を見つけてきてあげるから、徐々にこの仕事に慣れていきましょう」

「う~わかった、ちさと頑張ってみる」

「そうだ念のため教えておくけど、サービスの代金は4時間で平均金貨1枚。 部屋の掃除や身体を綺麗にするのに2時間かけるとして、1日最高4人まで相手することが出来るわ。 4人と寝るだけで金貨4枚、こんな楽な商売はないわよ」

 金貨4枚という金額に千里は思わず目がくらむ、だが実際にはくるみに料金の半分を奪われて2枚にしかならない。
 おまけに店の手伝いをせずに1人だけ客を取った場合、元々の部屋の利用料と食費を抜かれて結局銀貨1枚しか手元に残らないのだ。
 この悪辣さに千里は気付くことが出来なかった、くるみの思惑通りの展開となったのである。

 そして翌日の晩、千里の寝室に最初の客が訪れた。
 それは能力を奪うためにやってきたディザイア、だが千里の目にはごく普通の人間の男にしか見えていない。
 支配の力でそう見えるように、脳を誤作動させているのだ。

「さてこの仕事を辞められなくなるまで快感を覚えさせろとの依頼だが、くるみの奴本当に6人全員を娼婦に堕とすつもりみたいだな」

 千里をベッドに押し倒しながら、ディザイアはくるみの悪辣さと陰湿さに少しだけ背筋が震えそうになる。
 何故なら6人全員を淫らな娼婦に堕とした時、彼女は最高で金貨12枚を毎日手に入れる生活が待っているからだ。

 部屋の中から聞こえてきた嬌声に、盗み聞きしていたくるみの口元が歪む。
 それは1人目の人生を食い物に出来たことへの、小さな喜びの証だった……。
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