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不要な者達
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風のないおだやかな日であったと、その場を目撃した住人はのちに語っている。
そしてこうも言っていた、多くの命が失われた日でもあったと……。
その日、前日まで全裸で先頭を歩かされていたマリア王女と白薔薇騎士団は、全員が鎧を身につけていた。
マリアは淡い水色のドレスアーマーを再びまとい、アリスを筆頭に騎士団の者達も白薔薇の名の由来でもある、純白のプレートメイルを装備している。
だが異様だったのは、王女の隣を魔王ミザリーが歩いていたことだった。
「なに、魔王がマリアの隣にいるだと!?」
ジオルドは驚きを隠すことが出来ない。
娘に生き恥を晒させないために射殺すよう大臣に命じ、弓の名手の配置を済ませたばかりだ。
これでは仮にマリアを射殺せても、魔王に攻撃をしたという別の問題を発生させてしまう。
「今すぐ命令を中止させろ、さもないとこの国は魔王に蹂躙されてしまう……」
ジオルドは国を譲る代わりに、身の安全を保障してもらうつもりでいた。
妃や子の1人や2人殺されたとしても、自分さえ生きていれば王国の復興は可能。
けれども自ら約束を反故したとあっては、命の保証はない。
「主だった者達は、近衛と共に私につづけ。 マリアが殺される前に、魔王ミザリーの前で降伏するのだ。 そうすれば部下が暴走して弓を放ったのだと、誤魔化すことだって出来る。 時間がない、いそげ!」
妻子や側近に近衛の兵まで全員引き連れて、ジオルドは慌てて城を飛び出した。
今ならばまだ、王都の手前で魔王に謁見することが出来る。
恭順の意を示すことで、少しでも心証を良くしたい。
だが彼らはこのとき、まだ気づいていなかった。
もう城に戻ることは、2度とないのだと……。
都を守る城砦の門を抜けたジオルドの視線の先に、娘マリアと共に行軍する魔王の姿があった。
そのまま軍勢の前まで駆け寄り馬から下りると、その場で跪き魔王に恭順の意と国を譲る意志を告げる。
「我が愚娘が魔王様に楯突いたことを、深くお詫びいたします。 謝罪として、王位をミザリー様にお渡します。 また逆らうつもりがないことの証明として、この娘を処断し忠誠を示したく存じます」
ジオルドは近衛の1人に、あごで合図を送った。
近衛は魔王の前でマリアを無理やり四つん這いにさせると、その首を打つべく腰の剣を振り上げる。
しかし、その剣が振り下ろされることはなかった。
振り下ろす前に近衛の額を、1本の矢が撃ち抜いていたからである。
「茶番もそこまでにしなさい、正直とても見苦しいですぞ。 愚かな王ジオルドよ」
「……き、貴様はニルア。 何故ここに!?」
ミザリーのすぐ後ろで控えていた老将ニルアが、近衛を弓で撃ったのだ。
王の意に背く行いをしているにも関わらず、ニルアは堂々としている。
「なに、マリア様から手紙が届けられたのですよ。 あなたに殺される可能性があると。 その予想は見事に的中したわけですが……」
「ディザイア様がおとなしくしていろと言うから黙ってみていたけど、この男が弓を射なければ私も思わず手を出すところだったわ。 今までよく堪えてきたわね、もう大丈夫よマリア」
マリアが立ち上がるのを手助けする魔王の姿に、ジオルドはもとより一緒についてきた者達も戸惑いをかくせない。
「私がこの娘と親しげにしているのが不思議そうみたいだけど、私達はディザイア様の性欲処理用の牝犬となったの。 種族がたとえ違っても、仲間は大切にするわよ」
そう言いながらミザリーは、ジオルドを指さした。
「けれど、あなた達は違う。 妾の子という理由だけで実の娘を死地へと送り出し、この期におよんでもまだ責任を押し付けて殺そうとした。 あなたが放った刺客は皆、ニルア殿の部下達が今頃始末しているわよ」
その言葉を合図に魔王軍は一斉に動き出し、ジオルド達を完全に包囲する。
退路を断たれ孤立した父や家族に向けて、マリアは下腹部を撫でながら別れの挨拶を始めた。
「これまで育てて頂きありがとうございました。 ディザイア様はこの国から貴族も無くす考えをもたれていて、ご自身のクローンを引き連れて周辺に住む方々の領地を攻められております。 貴族の子弟しか入団出来ない騎士団は不要、貴族出身者のみで構成される閣僚も不要、私をのぞく王族も不要。 私とディザイア様の子がこの国を継ぎますので、安心して召されてください」
マリアが背を向けると同時に、魔王軍が一斉に襲いかかる。
抵抗する者、命乞いする者、怨嗟の声をあげる者、全てに等しく死が与えられた。
これまで散々自分を見下してきた者達の骸を見て、マリアは晴れやかな顔でニルアにこの国の再生を宣言する。
「血統によって貴賤を決める、悪しき風習はこれで終わりました。 これからは私の飼い主であるディザイア様の手によって、すべての人間にその能力にふさわしいだけの地位が与えられます。 ニルア将軍、今後も一緒にディザイア様の新しい国造りに協力していただけますか?」
ニルアは跪くと、改めてマリアとその飼い主に忠誠を誓う。
「この老体の身でもマリア様のお役に立てるのであれば、よろこんで協力させて頂きます。 それとマリア様だけでなく魔王さえも屈服し従えてしまった方のご尊顔を、早く拝見したいものです」
どうやらニルアはディザイアに対して、尊敬の念を抱いているようだ。
魔王を討つのではなく、魅了し屈服させることなど不可能に近い。
それを見事成し遂げたオークに、英雄以上の輝きを見いだしたのだろう。
マリアはミザリーに駆け寄りその手を掴むと、急かすように王都を指さす。
「ミザリー様、早く王都に入りましょう。 ディザイア様が到着される前に不要な者達をすべて片付けておかないと、お手を煩わせてしまいます。 綺麗にしておけば、ご褒美として一晩中可愛がってもらえるかもしれませんよ?」
ミザリーの長い耳が微かに動いた、ご褒美という言葉に反応したらしい。
「そうね……一晩中相手をしたら身体がもたないけど、そろそろ私も1人くらいは子を産んでおきたいものね。 それじゃあ王都に残っている不要な者達を、炙り出しに行きますか。 ニルア殿、城内や都の中の案内をお願いします」
王都カリウス、1日にして陥落。
マリアをのぞく王族は、国王ジオルドをふくめ全員が死を賜る。
大きく混乱すると思われたがマリアが庶民派の政治学者を宰相に据えたり、積極的に民を優遇する政策をとったおかげで、逆に住人達は新たな支配者であるディザイアを前国王以上に歓迎した。
そのディザイアは新たに集めた精気を使って、2体目のカルマのクローンを創造し放っている。
2体のクローンに追われる邪神カルマは、逃げ場を失いつつあった。
そしてこうも言っていた、多くの命が失われた日でもあったと……。
その日、前日まで全裸で先頭を歩かされていたマリア王女と白薔薇騎士団は、全員が鎧を身につけていた。
マリアは淡い水色のドレスアーマーを再びまとい、アリスを筆頭に騎士団の者達も白薔薇の名の由来でもある、純白のプレートメイルを装備している。
だが異様だったのは、王女の隣を魔王ミザリーが歩いていたことだった。
「なに、魔王がマリアの隣にいるだと!?」
ジオルドは驚きを隠すことが出来ない。
娘に生き恥を晒させないために射殺すよう大臣に命じ、弓の名手の配置を済ませたばかりだ。
これでは仮にマリアを射殺せても、魔王に攻撃をしたという別の問題を発生させてしまう。
「今すぐ命令を中止させろ、さもないとこの国は魔王に蹂躙されてしまう……」
ジオルドは国を譲る代わりに、身の安全を保障してもらうつもりでいた。
妃や子の1人や2人殺されたとしても、自分さえ生きていれば王国の復興は可能。
けれども自ら約束を反故したとあっては、命の保証はない。
「主だった者達は、近衛と共に私につづけ。 マリアが殺される前に、魔王ミザリーの前で降伏するのだ。 そうすれば部下が暴走して弓を放ったのだと、誤魔化すことだって出来る。 時間がない、いそげ!」
妻子や側近に近衛の兵まで全員引き連れて、ジオルドは慌てて城を飛び出した。
今ならばまだ、王都の手前で魔王に謁見することが出来る。
恭順の意を示すことで、少しでも心証を良くしたい。
だが彼らはこのとき、まだ気づいていなかった。
もう城に戻ることは、2度とないのだと……。
都を守る城砦の門を抜けたジオルドの視線の先に、娘マリアと共に行軍する魔王の姿があった。
そのまま軍勢の前まで駆け寄り馬から下りると、その場で跪き魔王に恭順の意と国を譲る意志を告げる。
「我が愚娘が魔王様に楯突いたことを、深くお詫びいたします。 謝罪として、王位をミザリー様にお渡します。 また逆らうつもりがないことの証明として、この娘を処断し忠誠を示したく存じます」
ジオルドは近衛の1人に、あごで合図を送った。
近衛は魔王の前でマリアを無理やり四つん這いにさせると、その首を打つべく腰の剣を振り上げる。
しかし、その剣が振り下ろされることはなかった。
振り下ろす前に近衛の額を、1本の矢が撃ち抜いていたからである。
「茶番もそこまでにしなさい、正直とても見苦しいですぞ。 愚かな王ジオルドよ」
「……き、貴様はニルア。 何故ここに!?」
ミザリーのすぐ後ろで控えていた老将ニルアが、近衛を弓で撃ったのだ。
王の意に背く行いをしているにも関わらず、ニルアは堂々としている。
「なに、マリア様から手紙が届けられたのですよ。 あなたに殺される可能性があると。 その予想は見事に的中したわけですが……」
「ディザイア様がおとなしくしていろと言うから黙ってみていたけど、この男が弓を射なければ私も思わず手を出すところだったわ。 今までよく堪えてきたわね、もう大丈夫よマリア」
マリアが立ち上がるのを手助けする魔王の姿に、ジオルドはもとより一緒についてきた者達も戸惑いをかくせない。
「私がこの娘と親しげにしているのが不思議そうみたいだけど、私達はディザイア様の性欲処理用の牝犬となったの。 種族がたとえ違っても、仲間は大切にするわよ」
そう言いながらミザリーは、ジオルドを指さした。
「けれど、あなた達は違う。 妾の子という理由だけで実の娘を死地へと送り出し、この期におよんでもまだ責任を押し付けて殺そうとした。 あなたが放った刺客は皆、ニルア殿の部下達が今頃始末しているわよ」
その言葉を合図に魔王軍は一斉に動き出し、ジオルド達を完全に包囲する。
退路を断たれ孤立した父や家族に向けて、マリアは下腹部を撫でながら別れの挨拶を始めた。
「これまで育てて頂きありがとうございました。 ディザイア様はこの国から貴族も無くす考えをもたれていて、ご自身のクローンを引き連れて周辺に住む方々の領地を攻められております。 貴族の子弟しか入団出来ない騎士団は不要、貴族出身者のみで構成される閣僚も不要、私をのぞく王族も不要。 私とディザイア様の子がこの国を継ぎますので、安心して召されてください」
マリアが背を向けると同時に、魔王軍が一斉に襲いかかる。
抵抗する者、命乞いする者、怨嗟の声をあげる者、全てに等しく死が与えられた。
これまで散々自分を見下してきた者達の骸を見て、マリアは晴れやかな顔でニルアにこの国の再生を宣言する。
「血統によって貴賤を決める、悪しき風習はこれで終わりました。 これからは私の飼い主であるディザイア様の手によって、すべての人間にその能力にふさわしいだけの地位が与えられます。 ニルア将軍、今後も一緒にディザイア様の新しい国造りに協力していただけますか?」
ニルアは跪くと、改めてマリアとその飼い主に忠誠を誓う。
「この老体の身でもマリア様のお役に立てるのであれば、よろこんで協力させて頂きます。 それとマリア様だけでなく魔王さえも屈服し従えてしまった方のご尊顔を、早く拝見したいものです」
どうやらニルアはディザイアに対して、尊敬の念を抱いているようだ。
魔王を討つのではなく、魅了し屈服させることなど不可能に近い。
それを見事成し遂げたオークに、英雄以上の輝きを見いだしたのだろう。
マリアはミザリーに駆け寄りその手を掴むと、急かすように王都を指さす。
「ミザリー様、早く王都に入りましょう。 ディザイア様が到着される前に不要な者達をすべて片付けておかないと、お手を煩わせてしまいます。 綺麗にしておけば、ご褒美として一晩中可愛がってもらえるかもしれませんよ?」
ミザリーの長い耳が微かに動いた、ご褒美という言葉に反応したらしい。
「そうね……一晩中相手をしたら身体がもたないけど、そろそろ私も1人くらいは子を産んでおきたいものね。 それじゃあ王都に残っている不要な者達を、炙り出しに行きますか。 ニルア殿、城内や都の中の案内をお願いします」
王都カリウス、1日にして陥落。
マリアをのぞく王族は、国王ジオルドをふくめ全員が死を賜る。
大きく混乱すると思われたがマリアが庶民派の政治学者を宰相に据えたり、積極的に民を優遇する政策をとったおかげで、逆に住人達は新たな支配者であるディザイアを前国王以上に歓迎した。
そのディザイアは新たに集めた精気を使って、2体目のカルマのクローンを創造し放っている。
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