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第23話 菜々の1度きりの我侭
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「菜々、俺がもう1度教導戦記オンラインに入会しろと言ったら聞いてくれるか?」
契の問い掛けに菜々は身体を強張らせた、彼女もまた里美同様に初心者狩りに捕まりスレイブにされかけた事が有る。それを思い出しているのだろう。
「無理にやれとは言わない、お前は今までも俺の為に好きでも無い男達にその身体を捧げてきた。1度位は我侭を許してやっても罰は当たらないだろう」
「我侭?」
菜々が契の言葉に反応した。
「そうだ、再び怖い思いをするのが嫌なら仕方ない。俺がもう1度入会しないか聞いたのはな、リコのアドバイスの元で俺も含めた選抜メンバーを育てる必要が出てきたからなんだ」
契は菜々に重要な3つの点を説明した。教導戦記オンラインの開発に携わっている電脳遊戯研究機構が協力者となってくれた事、それに伴い今後のアップデートでは契に都合の良いシステムが加えられる事、流派戦という師匠と弟子3人によるチーム戦を新たなコンテンツとして加わる事だった。
「俺とリコは確定として、里美も志願してきている。残る1人は出来ればお前にやって欲しかった」
「どうして、私なんですか?」
「LV上げをするもう1つの目的は高LV者からも1日に1度だけ強制PvPを申し込める様にシステムを変えさせる為なんだ。俺達がトッププレイヤーの仲間入りをすれば、初心者狩りの連中を毎日最低1人は狩れる様になる。そうすれば、お前にもあのゲームを楽しんで貰えると思った。そんな理由かな」
「契が私にそうして欲しいと言うのであれば、それに従います。その代わり、許してくれるのなら私の我侭も叶えて貰えませんか?」
菜々の真剣な眼差しにそれだけの覚悟を持って我侭を通そうとしているのが手に取る様に分かった。
「まずはその願いを聞かせてくれ、話はそれからだ」
「・・・・もう他の男と肌を重ねるのは嫌です、私も里美先輩と同じ様に契専用のスレイブにしてください」
「つまり、図書室の貸し出しリストから削除して欲しいという訳だな?」
「・・・はい、そして契の子供を私にも生ませてください」
菜々はこれまで妊娠を避ける為に薬を服用してきた、今後も薬を飲み続けているといずれは子供を作れない身体になる恐れだって有る。愛する男の子供を生みたい女の本能がそう言わせているのかもしれない・・・。
「俺はお前が思っている様な人間じゃない、お前1人の物にはならないしお前を妻にする気も無い、だがそれでも良いと言うのならその願い叶えてやる。お前の身体はこれからは俺1人の物だ」
この日契は里美の響子に事情を説明して、町外れのホテルで菜々と一夜を共にした。稼ぎ頭の1人を失った事は大きな痛手ではあったが、契の子供を望む者が増えた事はそれに勝る充足感を齎してくれた。
腕の中で眠る菜々の頭を優しく撫でながら、契は他にも別の選択肢が有ったのだろうか?っと考えようとしたがすぐにその思考を停止させた。今更考えても後戻り出来る線は既に越えて引き返す事など出来ない、終着点で何が待ち構えているか分からないが行いに見合った結末となるだろう。
目覚めた菜々と共に朝食を済ませた契はそのまま夕方までホテルで過ごした、学校を休んでも電脳遊戯研究機構の臨床試験に参加しているという名目で授業そのものが免除される。これが今の契が持つ現実世界での力の大きさを物語っていた。
1度学校に戻った契と菜々は、図書室で里美と響子の2人と合流した。少しの間、響子からの説明を聞いてから個々で武神の塔の攻略に踏み出す事となる。響子が特に念入りに説明した相手は契と菜々だった、響子と里美には麗華に頼んでマタニティガードを組み込んである。妊婦を指導モードで強制的に動かす事は流産に繋がる恐れが非常に高いのと2人に無茶をさせない為の契なりの気遣いだった。
『女なら誰でも使い潰す非情さを持っていると思っていたのだけど少し意外だったわ』
「2人は俺の子を孕んでいるんだ、当然だろう」
『でも運営からもマタニティガードを公式発表させる必要は無かったんじゃない?』
「・・・・・」
『どうかしたの契?』
契は言うべきか迷ったが、嘘を言う気になれなかったので素直に話した。
「麗華、お腹の中にいる命まで玩具にするつもりは俺には無いよ。もしも麗華が俺の子を宿していて指導モードで流産させられたら、きっと俺はその師匠を殺す。だが、今後気を付けるべき点が幾つか有る」
『何に気をつけなくちゃいけないの?』
「弟子のマタニティガードを無理やり解除させて、流産に追い込む師匠が出るかもしれない。それと同様に指導モードで犯した相手が妊娠しても堕胎する事を許さない外道とかな・・・」
弟子が師匠をいつしか愛していたとしても師匠にとって弟子が単なる性欲処理の道具に過ぎなかった場合、お腹に宿した子供は邪魔にしかならないので流産させたいだろう。また無理やり犯された上に妊娠させられ一刻も早く堕胎したいのに、指導モードを使って産婦人科に通わせずに堕ろせなくさせる師匠も出てくるだろう。
「だからマタニティガードに追加するべき機能は【マタニティガード作動中は指導モードを起動する事は出来ない】だ、これで女本人の意思で産む事も堕ろす事も選択出来る様になる。次のアップデートまで時間が無い、済まないが頼んだぞ麗華」
『分かったわ、任せておいて。あと1つだけ聞かせて、もしもあの時の行為で私にも契の子供が宿っていたとしたら産むのを認めてくれるのかしら?』
「さっきも例えで話したが、無理やり流産させようとする奴が居れば俺がそいつを殺す。俺の子供を産む選択をしてくれた女性はどんな手を使っても守り抜いてみせる。それが下衆の俺に残された最後の良心って奴かもしれないな」
『・・・・そんな事を言われちゃうとあなたの子を早く孕みたくて、子宮が疼いてきちゃう。こちらに顔を出す時が有ったらまた好きなだけ私の中に注いで頂戴、私もあなたの子を絶対に堕ろしたりしないから』
麗華との会話を終えた契は久しぶりに教導戦記オンラインにログインした、流派戦に向けた契達4人の特訓が始まろうとしている。
契の問い掛けに菜々は身体を強張らせた、彼女もまた里美同様に初心者狩りに捕まりスレイブにされかけた事が有る。それを思い出しているのだろう。
「無理にやれとは言わない、お前は今までも俺の為に好きでも無い男達にその身体を捧げてきた。1度位は我侭を許してやっても罰は当たらないだろう」
「我侭?」
菜々が契の言葉に反応した。
「そうだ、再び怖い思いをするのが嫌なら仕方ない。俺がもう1度入会しないか聞いたのはな、リコのアドバイスの元で俺も含めた選抜メンバーを育てる必要が出てきたからなんだ」
契は菜々に重要な3つの点を説明した。教導戦記オンラインの開発に携わっている電脳遊戯研究機構が協力者となってくれた事、それに伴い今後のアップデートでは契に都合の良いシステムが加えられる事、流派戦という師匠と弟子3人によるチーム戦を新たなコンテンツとして加わる事だった。
「俺とリコは確定として、里美も志願してきている。残る1人は出来ればお前にやって欲しかった」
「どうして、私なんですか?」
「LV上げをするもう1つの目的は高LV者からも1日に1度だけ強制PvPを申し込める様にシステムを変えさせる為なんだ。俺達がトッププレイヤーの仲間入りをすれば、初心者狩りの連中を毎日最低1人は狩れる様になる。そうすれば、お前にもあのゲームを楽しんで貰えると思った。そんな理由かな」
「契が私にそうして欲しいと言うのであれば、それに従います。その代わり、許してくれるのなら私の我侭も叶えて貰えませんか?」
菜々の真剣な眼差しにそれだけの覚悟を持って我侭を通そうとしているのが手に取る様に分かった。
「まずはその願いを聞かせてくれ、話はそれからだ」
「・・・・もう他の男と肌を重ねるのは嫌です、私も里美先輩と同じ様に契専用のスレイブにしてください」
「つまり、図書室の貸し出しリストから削除して欲しいという訳だな?」
「・・・はい、そして契の子供を私にも生ませてください」
菜々はこれまで妊娠を避ける為に薬を服用してきた、今後も薬を飲み続けているといずれは子供を作れない身体になる恐れだって有る。愛する男の子供を生みたい女の本能がそう言わせているのかもしれない・・・。
「俺はお前が思っている様な人間じゃない、お前1人の物にはならないしお前を妻にする気も無い、だがそれでも良いと言うのならその願い叶えてやる。お前の身体はこれからは俺1人の物だ」
この日契は里美の響子に事情を説明して、町外れのホテルで菜々と一夜を共にした。稼ぎ頭の1人を失った事は大きな痛手ではあったが、契の子供を望む者が増えた事はそれに勝る充足感を齎してくれた。
腕の中で眠る菜々の頭を優しく撫でながら、契は他にも別の選択肢が有ったのだろうか?っと考えようとしたがすぐにその思考を停止させた。今更考えても後戻り出来る線は既に越えて引き返す事など出来ない、終着点で何が待ち構えているか分からないが行いに見合った結末となるだろう。
目覚めた菜々と共に朝食を済ませた契はそのまま夕方までホテルで過ごした、学校を休んでも電脳遊戯研究機構の臨床試験に参加しているという名目で授業そのものが免除される。これが今の契が持つ現実世界での力の大きさを物語っていた。
1度学校に戻った契と菜々は、図書室で里美と響子の2人と合流した。少しの間、響子からの説明を聞いてから個々で武神の塔の攻略に踏み出す事となる。響子が特に念入りに説明した相手は契と菜々だった、響子と里美には麗華に頼んでマタニティガードを組み込んである。妊婦を指導モードで強制的に動かす事は流産に繋がる恐れが非常に高いのと2人に無茶をさせない為の契なりの気遣いだった。
『女なら誰でも使い潰す非情さを持っていると思っていたのだけど少し意外だったわ』
「2人は俺の子を孕んでいるんだ、当然だろう」
『でも運営からもマタニティガードを公式発表させる必要は無かったんじゃない?』
「・・・・・」
『どうかしたの契?』
契は言うべきか迷ったが、嘘を言う気になれなかったので素直に話した。
「麗華、お腹の中にいる命まで玩具にするつもりは俺には無いよ。もしも麗華が俺の子を宿していて指導モードで流産させられたら、きっと俺はその師匠を殺す。だが、今後気を付けるべき点が幾つか有る」
『何に気をつけなくちゃいけないの?』
「弟子のマタニティガードを無理やり解除させて、流産に追い込む師匠が出るかもしれない。それと同様に指導モードで犯した相手が妊娠しても堕胎する事を許さない外道とかな・・・」
弟子が師匠をいつしか愛していたとしても師匠にとって弟子が単なる性欲処理の道具に過ぎなかった場合、お腹に宿した子供は邪魔にしかならないので流産させたいだろう。また無理やり犯された上に妊娠させられ一刻も早く堕胎したいのに、指導モードを使って産婦人科に通わせずに堕ろせなくさせる師匠も出てくるだろう。
「だからマタニティガードに追加するべき機能は【マタニティガード作動中は指導モードを起動する事は出来ない】だ、これで女本人の意思で産む事も堕ろす事も選択出来る様になる。次のアップデートまで時間が無い、済まないが頼んだぞ麗華」
『分かったわ、任せておいて。あと1つだけ聞かせて、もしもあの時の行為で私にも契の子供が宿っていたとしたら産むのを認めてくれるのかしら?』
「さっきも例えで話したが、無理やり流産させようとする奴が居れば俺がそいつを殺す。俺の子供を産む選択をしてくれた女性はどんな手を使っても守り抜いてみせる。それが下衆の俺に残された最後の良心って奴かもしれないな」
『・・・・そんな事を言われちゃうとあなたの子を早く孕みたくて、子宮が疼いてきちゃう。こちらに顔を出す時が有ったらまた好きなだけ私の中に注いで頂戴、私もあなたの子を絶対に堕ろしたりしないから』
麗華との会話を終えた契は久しぶりに教導戦記オンラインにログインした、流派戦に向けた契達4人の特訓が始まろうとしている。
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