とあるVRMMOにおける平凡じゃない日常

いけお

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第6話 2人だけのオフ会

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**階のレストランに着くとシェフ達が勢揃いして2人を迎えてくれた、何でも今日は2人だけの貸切になっているそうでテーブルマナー等を気にせずに食事を楽しんでもらいたい総理からの配慮なのだそうだ。

「俺、実はこういう場での食事は慣れてないのでマナー悪いと思いますがご容赦ください」

「いえ、私もディナーの席でのマナーに疎いですからお互い様ですね」

シズルさんは少し照れながら笑顔を返してくれた。

「どうでしょう、折角ですからこのまま2人だけのオフ会を楽しみませんか?」

「それは良いですね、この機会を作ってくれた総理には感謝しないといけませんね」

それから2人は、差し出された食前酒を飲みながらゲームを始めたキッカケ等を語り合った。そして、コースが進むとお酒に酔った勢いからかお互いのプライベートの話もする様になっていた。住んでいる所からお互いの携帯や家の電話番号まで、今日初めて会ったとは思えない気安さを感じながら楽しい時間は過ぎていく。楽しい時間もレストランの閉店の時間となり、終了の刻を迎えた。

「シズルさん、大丈夫ですか!?」

「え~? 大丈夫ですよ~!?」

シズルさんはどうやら普段以上に上機嫌だったらしく、いつもよりもハイペースでお酒を飲んでいたようだ。そう言っている俺も、シズルさんの容姿に目を奪われて料理の味をほとんど覚えていない。

レストランの入り口に丁度ホテルのスタッフが居たので最上階のスイートルームの場所を聞いてみると、レストランと同様に総理が気を使ってくれたのか2人の休みの期間7日の間最上階を借り切っているので、お互いの都合に良い時にチェックアウトしてくださいと案内された。

シズルさんに肩を貸してやりながら、2人でエレベーターに乗り込み最上階へ向かう。そして、シズルさんに用意された部屋の前まで来て

「シズルさん、用意された部屋に着きましたよ」

そう言うが、シズルさんは中々離れようとしない。その時になって気が付いたがシズルさんは身体を震わせていた。

「ごめんなさい、お酒の勢いを借りなければこんな頼みをする事が出来ません。私は1人で寝るのが怖いんです。両親を失った悲しみを思い出してしまうから。お願いです、もう少しだけ一緒に居て頂けませんか?」

俺も結構酔いが回っていたので、それからの事をあまり覚えていない。けれど、俺はシズルさんの部屋に入ると2人でまた酒を飲み直し気付くと肌を重ねて一夜を共にしていた・・・。

翌朝、すっかり酔いから醒めていた2人は固まっていた。何しろ目覚めたらお互い裸の状態で抱き合っているからだ。記憶が無くなるまで飲んでいたので、正直かなり罰が悪すぎる。そうこうしている内に、間近で見るシズルさんの顔や触れている胸の感触に耐えられなくなりすっかり元気になっていた。

「イセアさん、私の身体はそんなになるまで魅力的なのですか?」

そんな事を言ってくるので、もうヤケになって正直に答える事にした。

「ええ、あなたはとても魅力的だ。昨晩の事が記憶に無いのが本当に惜しいです」

「私も昨晩の事は記憶にありません、けれど男性の方に抱きしめられるのはこんなに力強く暖かいものなのですね」

「シズルさん、このまま記憶に残らない状態で別れたくありません。もう1度だけいいですか?」

「え!?」

「もう1度、抱かせてください。俺はあなたを手に入れたいです」

「急にそんな!?」

返事を待たずに貪る様にシズルさんの唇を奪う、そしてシズルさんの顔に艶が浮かんでくるのを確認するともう1度聞いてみた。

「シズルさん、いいですね?」

「・・・はい」

この日、俺は夢中になって何度もシズルさんを求めた。それにシズルさんも答えてくれて結局次の日の朝まで2人は共に過ごす事になる。チェックアウトしてホテルを出る際に俺はシズルさんに聞いてみた。

「また機会を作って会えませんか?もっとシズルさんの事を知りたいんです」

「はい、私にもあなたの事をもっと教えてください」

この1件がキッカケで、2人は現実と仮想の両方の世界で恋人同士になった。平日はお互いの家からログインしてペアで狩りを行い、週末になると俺はレンタカーを借りて彼女の家まで行き一緒に過ごす。パーティーを組む事を基本考えずに2人でどう楽しむかを考える様になっていた。

今日も2人は【始まりの村】の周りに居るラビットだけを狩っている、俺は剣と弓をメインに戦う事にして、シズルは杖を持って攻撃魔法と治癒魔法を使う道を選んだ。

単発の攻撃力だけなら、既にラビットは1発で倒せる位まで強くなっているが基本スキルのみしか会得出来ていないので、次の町へ向かうのはお互いに新たなスキルを手に入れてからにしようと話し合って決めていた。

「シズル、今日はこの位にしておこうか?」

「そうね、イセア。あまり2人でこの狩場を占領するのは新規の方にも申し訳ないですしね」

いつまでも【始まりの村】の周辺から旅立とうとしない2人はいつしか『飛び立てない恋人達』と影で言われる様になっていた。皮肉を込められている様だが、俺達は気にしなかった。飛び立つ力を手に入れた時2人はこのゲームの中を力強く飛ぶのだから。

2人で過ごす様になってから、もうすぐ1ヶ月になろうとしていた木曜日の晩。いつも通り2人でラビットを狩っていると少し離れた所から叫び声が聞こえた。声のする方へ走り見た物は、新規の方が複数のラビットに囲まれて倒される瞬間だった。

俺は急いでラビットを始末する為にインベントリから弓を取り出すと素早く弓を連射してラビットを全て倒す、新規の方はその間にシズルが近づいてヒールを掛けているが、徐々に輪郭が消えていきもう少しで召喚神殿に呼び戻されようとしていた。

「絶対に死なせない!」

シズルはそう力強く叫ぶと、より魔力を込めてヒールを使おうとしたが次の瞬間、シズルと新規の方が2人とも眩しい光に包まれた。新規の方は影が映り出される様に輪郭が元通りになり死亡状態から解放された。

そして、今度は俺と持っていた弓が光に包まれて2人にシステムによる案内が表示された。

イセアは【スキル バルカンショット】を覚えた。

シズルは【スキル 蘇生】を覚えた。

死を体感するこのゲームで蘇生の持つ意味は非常に大きい、このスキルを持つ人間を見つける事が出来れば攻略のスピードは段違いに跳ね上がるだろう。俺は新規の方に口止めをしようと振り返るが彼は蘇生してもらったお礼を言う事無く既に姿を消していた。そして、このお礼も言えない新規は掲示板内にSS付きで報告した上にキャラクターネームを消さなかった結果、翌日からシズルには数えきれない程のメールと個人チャットが届く様になった。

そして恐れていた事態まで引き起こされてしまう、どこからかシズルの個人情報を手に入れた人間がシズルの本名と住所を掲示板に晒してしまったのだ。そして数日後シズルは不法侵入してきた男に襲われそうになり、住んでいる家を引き払い俺の家に逃げ込むと外に一歩も出れない程怯える生活を送る様になってしまった。

俺の大切な女性が、また被害者の側に立たされようとしている。シズルに気付かれない様にとある番号に電話を入れると、直接会って相談する約束をした。数日後、家のチャイムが鳴り相談相手が家にやってきた。GMのジャッジともう1人、シズルを心配して変装までして駆け付けてくれた総理の2人だった。
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