異世界に飛ばされた警備員は持ってた装備で無双する。

いけお

文字の大きさ
15 / 48

第15話 エルムガルド砦に到着した男

しおりを挟む
俺とバルドがアルムの町を出てから1ヵ月半を過ぎる頃、ようやく目の前に目的地のエルムガルド砦が見えてきた。ここに到着するまでに、エムロー公爵達は幾度も妨害工作を行ってきた。

手持ちの冒険者を捨て駒にしたゲリラ作戦や身包みを剥いだ獣人を放し陣中が混乱した所を獣人ごと攻撃する非人道的な作戦も行ってきたがどれも多少の時間稼ぎにしかならなかった。

「それにしてもエムロー公爵に今だに従う冒険者の連中はあと何人位居るのだろうね?まるでゴキブリみたいに次から次へと沸いてくる」

「さあな、だがあそこの砦を陥落させる事が出来れば、こんな馬鹿らしい討伐任務からもやっと解放されるからしばらくのんびり出来る筈だぞ」

そんな事を話していると正面から先発隊のメンバーが何か叫びながらやってきた。

「お~い!この中に、交 誘二は居るか!居たら返事をしてくれ!!」

「バルド、なんか凄くイヤな予感しかしないんだけど・・・」

「奇遇だな、俺もそうとしか思えなかったわ」

俺は諦めて名乗る事にした。

「俺が交 誘二だけど?」

「お前がそうか!すまないが砦正面まで行ってもらえないか?」

「はあ!? いきなり何故?」

「実はエムロー公爵側のAランクの冒険者がお前との一騎討ちを希望している」

「はっきり言わせて貰うけど絶対罠だよね、それ」

「だが、居るのに一騎討ちを拒むとお前の名声も我々の士気も下がってしまう」

「士気や名声なんて下がったって俺は一向に構わないけどね」

「何故そういう事を平気で言えるんだ!?」

「それじゃあ、俺からも返すぞ。何故罠が有ると分かっているのに仲間を送る事を平気で言えるんだ?」

「そ、それは・・・お前なら平気だろうから」

「平気なら何をしても、何をさせても許されるのか!?お前もあそこに居る貴族と同類の思考をしている事に気付いていないのか!」

「それじゃあ、お前は俺に死んでこいとでも言いたいのか!?」

先発隊メンバーは声を荒げる、それを聞いて周りに居た冒険者達も集まってきた。

「みんな聞いてくれ! この神の使いは公爵側の冒険者と一騎討ちするのが怖くて俺に代わりに死んでこいと言ってきやがった!?」

ざわざわと周囲が騒がしくなるが、口々に言っているのは俺が行かない事への不満ばかりだった。

「バルド、馬鹿らしくなった。 帰るぞ」

「ああ、そうだな。俺も吐き気がするぜ、こいつらを見ていると」

「なんだ!? 怖気づいたのか! 神の使いも所詮は神の威を借る狐だな!?」

次の瞬間、その言葉を言った先発メンバーの男の手首を斬り落としていた。

「ぎゃああああ!?」

味方はもとより、砦前で俺を待ち構えていたAランクを名乗る冒険者も突如起きた叫び声に硬直する。

「己が死ぬという場所に人を送り込む事のどこが【全ての種族が平等にして同格】だ?仲間を危険な目に合わせて自分は後方で楽する様な連中には付き合いきれん。勝手に潰し合って自滅しろ」

俺はかなり距離が離れていたが、長い誘導灯を早い点滅モードにすると待ち構えていたAランク冒険者に向けまず放つ。そして、冒険者が燃えるのを確認するとそのまま城壁の上で姿を隠している弓兵達に向け連続で振ると城壁の至る場所から弓兵が転落していった。

「き、貴様は冒険者の意地を懸けた一騎討ちを不意打ちで汚すのか!?」

「何が冒険者だ!?罪を犯し追われている犯罪者だろうが!そんな物に何故付合う必要が有る!それに城壁に弓兵を隠して射殺そうとしている時点で正々堂々もあるか!?」

「そ、それは・・・」

「お前らよく聞け!今から周囲の城壁を炎の壁で酸欠状態にするから梯子の準備をしておけ。そして梯子を掛け始めるのと同時に正面の城門を炎で破るから上下から攻めろ。あとは数の暴力だ、お前らで好きなだけ手柄を山分けすればいい俺は城門を破り次第こんなくだらない戦場からは帰らせてもらうぞ」

俺は短い誘導灯も取り出すと両手に持ち早い点滅モードで以前した様に左右に交互に振って無数の炎の玉を城壁に向け撃ち出す、そして炎の壁を数分間起こしている内に梯子部隊が城壁近くまで接近出来たので次に城門に向け連射させる。城門の鉄の扉も炎によって熱せられ溶けてしまい侵入を防ぐ物は無くなった。

「それじゃあ、俺は帰るからな。さっさと行かないとエムロー公爵の首を取る最高の手柄を誰かに奪われちまうぞ」

その一言をきっかけに討伐隊の連中は一斉に突撃を開始した、まるで弱ったセミに群がるアリ共だ。そしてこの場に残ったのは俺とバルドだけで手首を落とされた奴まで片手で乗り込んでいった。

「本当に醜い連中だな、中にどれだけ残っているかも確認しないで突撃したぞ」

「さっきのお前のセリフじゃないが、お互いに潰し合って自滅してもらおう。あの連中は今までの理の時と何1つ変わっちゃいなかった」

篭城した敵を攻める場合その兵数の少なくても3倍で攻撃するのが、基本戦術の筈なのだが確認もせずに突撃した結果討伐隊にも甚大な被害を出す事になった。討伐隊のおよそ6割が死亡その中には俺が手首を斬った奴も含まれていた、そして残りの約4割もほぼ全員が負傷する結果となったが砦に立て篭もっていたエムロー公爵やその一族に付き従っていた冒険者達も全て討伐隊によって殺されていた。

唯一無傷で先に帰還していた俺とバルドは、その討伐任務の報酬を辞退した。

「死んだ馬鹿な連中の墓代の足しにでもしてやってくれ」

だが砦内で死んだ連中の死体の回収を誰も行わず、城門を溶接して封鎖された為にエルムガルド砦は夥しい数の死体が眠る巨大な墓標と化した。そして数年後それら死体が怨念と共にゾンビやグールとなりバルドと俺に排除依頼が来る事となる。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた

平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。 それから幾千年。 現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。 そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。 ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。 だが彼自身はまだ知らない。 自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。 竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。 これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...