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第27話 無自覚にフラグを回収する男
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シャーリィは総本部内で必要な装備類の準備を始めた、教会内の修道女達が一丸となり開始から1時間も経たない内に準備は完了する。正面から出て行くと目立つので、裏口から出る事にした俺とシャーリィは歩きながら古代魔族の呪術について話をした。
「古代魔族ってのは、今の魔族とどう違うんだ?」
「はい、今の魔族は魔法の研究発展に力を注いでいますが、古代魔族は魔法では無く呪術の分野の研究発展に力を注いでおりました」
「魔法と呪術の違いを教えて貰ってもいいか?」
「魔法は精霊や地脈を流れる魔力を用いて攻撃したり回復等を行いますが、呪術は己や周囲の人間の負の心や生命力を媒体に、距離や場所に関係無く闇の力で人の運命を捻じ曲げるのです」
「運命を捻じ曲げる?」
「はい、例えばその人の死ぬ運命を捻じ曲げる事で死ぬ事の出来ない不死の身体に変えたり、人の子を産む運命を捻じ曲げて人以外の生物を産む身体に変えてしまうのです」
「その呪術の効果はどれも同じなのか?」
「いえ、例えばその人の死ぬ運命にしても長命な人の運命を捻じ曲げて短命に変えたりと、効果は呪術を使った者の力が大きく作用します」
「つまり、呪いを掛ける相手に対する恨みや嫉妬等の念が強い人ほどより強い効果が現れるって感じでいいのかな?」
「はい、それで正しいと思います」
裏口を出た俺達はバルナードの北門に向かい、そのまま歩きながら話を進める。
「前にシルフィが言っていた事と一緒か、それだけ彼女が大勢の人から嫉妬や恨みを買っていた可能性も出てくる訳だな」
「ええ、ですが偉そうな事を言っているこの私も影で、誰から恨みを買っているか分かりませんから、呪術を防ぐ事がどれほど難しいかいずれ身をもって知るかもしれません・・・」
「シャーリィは大丈夫じゃないかな?」
「え!?」
「だってさ、俺から見ても総大主教を引き継ぐ為に頑張っているじゃないか。そんな頑張っている所を近くで見ている人は、妬みや恨みをきっと持たないと思うよ。むしろ素晴らしい魅力的な女性と思う筈さ」
トクン・・・。 シャーリィはまた1つ胸の鼓動の高まりを感じた。
「あ、あの!?でしたら、ゆ、誘二さんから見ても私は・・・魅力的に見えるのですか?」
「そうだな、歯が浮く様なセリフになってしまうけど魅力的な女性だよ」
トクン、トクン・・・。 胸の鼓動が早くなるのをシャーリィは感じているが、抑える事が出来ない。
「もしもフォルネーゼと会う前に出会っていたら、今とは違った付き合いをしていたかもな」
(フォルネーゼ? 教会に最初に来られた時にもシルフィさんが言ってましたが、その方は誘二さんにとって、とても大切な方なのですか?)
シャーリィは、聞くべきか聞かない方が良いかしばらく悩んでいたが意を決して聞く事を選んだ、例えそれが自らの心を抉る様な物であったとしても・・・。
「あの!? つかぬ事をお伺いしますが、フォルネーゼって方はどの様な方なのですか?前にもシルフィさんがその名を出していましたので・・・」
「ああ、フォルネーゼは俺がこの世界に来て最初に泊まった宿を営んでいた姉妹の姉の方で、今は俺の妻だ」
シャーリィは胸が強く締め付けられる様な痛みを覚えた。だが痛みに意識が向いた為に胸の中に広がる熱い炎と同じだけの黒く濁った炎が燃え始めている事に、この時は気付く事が出来なかった。
それからしばらくの間、2人は無言で歩いていた。シャーリィは何度か話しかけようとするが、上手く言葉が見つからない。すると、誘二が振り返りながら聞いてきた。
「俺の歩くペースが早くて、疲れちゃったかな?少し歩く速度落とそうか?」
「いえ、大丈夫です。私、男の方と2人で旅をするのが初めてなので少し緊張してしまって・・・」
「じゃあ、落ち着ける様に手を引いてあげるよ」
誘ニが左手を差し出してきたので、シャーリィは頬を染めながら右手を出して掴んだ。右手から誘二の手の温かさが伝わるとそれだけで幸せな気持ちが湧いてくる。シャーリィはようやく誘二に好意以上の物を抱き始めた事を自覚した。
誘二に手を引かれながら、北門を出て2人は北東を目指し歩き始めた。2時間程歩いて夕暮れ時が近付いた頃、誘二はシャーリィに提案する。
「なあ、そろそろ日が暮れるから今日はここまでにしておいて、仔狐亭に転移して泊まらないか?フォルネーゼにも紹介してやりたいし、一緒に夕食を食べるのも楽しいし、何より安全だと思うぞ?」
ドクン!ドクン!・・・。 シャーリィは胸の中で激しく勢いを増した、どす黒い炎を受け入れてしまう。
「あ、あの! 総大主教となる為の試練において、町の宿に泊まる行為は苦難の旅路を安易な方法で切り抜けようとしたと見られるので、御厚意には感謝致しますがお受けする事が出来ません」
「そうか、初めに確認していなかった自分が悪かった。ゴメン」
(嘘だ、宿に泊まる事は禁止されてなどいない。なのに、何でこんな言葉が出てしまうの!?)
「そうなると1人で置いていく訳にもいかないし、どうしたものか・・・」
「あの・・・」
「どうした?」
「こんな事になってしまったのは、私の責任です。ですが、教会の中に居るのと違い1人で野宿して過ごす夜は凄く不安です。なので・・・私と一緒に居て頂けませんか!?」
「じゃあ、1度フォルネーゼにこの事を伝えてきてもいいかな?彼女に心配を掛けたくないから」
「お願いです、私を1人にしないで下さい!このままずっと一緒に居てください」
誘二は少しの間、考えた。そしてシャーリィの言った言葉が1人になってしまう不安による物だと、間違った解釈をしてしまう。
「分かった、一緒に居てあげるよ。ただ済まないけど明日の朝1度だけ仔狐亭に戻ってフォルネーゼ達に無事な事を伝えに行かせてね」
「分かりました」
シャーリィは誘二の優しさに感謝しながら、その身の全てが黒い炎で焼き尽くされようとしていた。
(フォルネーゼさん、ごめんなさい。あなたから誘二さんを奪い、私の物にしてみせます)
誘二は知らず知らずの内にシャーリィの心を奪い、誰も望まぬ道を歩ませている事にまだ気付いていない・・・。
「古代魔族ってのは、今の魔族とどう違うんだ?」
「はい、今の魔族は魔法の研究発展に力を注いでいますが、古代魔族は魔法では無く呪術の分野の研究発展に力を注いでおりました」
「魔法と呪術の違いを教えて貰ってもいいか?」
「魔法は精霊や地脈を流れる魔力を用いて攻撃したり回復等を行いますが、呪術は己や周囲の人間の負の心や生命力を媒体に、距離や場所に関係無く闇の力で人の運命を捻じ曲げるのです」
「運命を捻じ曲げる?」
「はい、例えばその人の死ぬ運命を捻じ曲げる事で死ぬ事の出来ない不死の身体に変えたり、人の子を産む運命を捻じ曲げて人以外の生物を産む身体に変えてしまうのです」
「その呪術の効果はどれも同じなのか?」
「いえ、例えばその人の死ぬ運命にしても長命な人の運命を捻じ曲げて短命に変えたりと、効果は呪術を使った者の力が大きく作用します」
「つまり、呪いを掛ける相手に対する恨みや嫉妬等の念が強い人ほどより強い効果が現れるって感じでいいのかな?」
「はい、それで正しいと思います」
裏口を出た俺達はバルナードの北門に向かい、そのまま歩きながら話を進める。
「前にシルフィが言っていた事と一緒か、それだけ彼女が大勢の人から嫉妬や恨みを買っていた可能性も出てくる訳だな」
「ええ、ですが偉そうな事を言っているこの私も影で、誰から恨みを買っているか分かりませんから、呪術を防ぐ事がどれほど難しいかいずれ身をもって知るかもしれません・・・」
「シャーリィは大丈夫じゃないかな?」
「え!?」
「だってさ、俺から見ても総大主教を引き継ぐ為に頑張っているじゃないか。そんな頑張っている所を近くで見ている人は、妬みや恨みをきっと持たないと思うよ。むしろ素晴らしい魅力的な女性と思う筈さ」
トクン・・・。 シャーリィはまた1つ胸の鼓動の高まりを感じた。
「あ、あの!?でしたら、ゆ、誘二さんから見ても私は・・・魅力的に見えるのですか?」
「そうだな、歯が浮く様なセリフになってしまうけど魅力的な女性だよ」
トクン、トクン・・・。 胸の鼓動が早くなるのをシャーリィは感じているが、抑える事が出来ない。
「もしもフォルネーゼと会う前に出会っていたら、今とは違った付き合いをしていたかもな」
(フォルネーゼ? 教会に最初に来られた時にもシルフィさんが言ってましたが、その方は誘二さんにとって、とても大切な方なのですか?)
シャーリィは、聞くべきか聞かない方が良いかしばらく悩んでいたが意を決して聞く事を選んだ、例えそれが自らの心を抉る様な物であったとしても・・・。
「あの!? つかぬ事をお伺いしますが、フォルネーゼって方はどの様な方なのですか?前にもシルフィさんがその名を出していましたので・・・」
「ああ、フォルネーゼは俺がこの世界に来て最初に泊まった宿を営んでいた姉妹の姉の方で、今は俺の妻だ」
シャーリィは胸が強く締め付けられる様な痛みを覚えた。だが痛みに意識が向いた為に胸の中に広がる熱い炎と同じだけの黒く濁った炎が燃え始めている事に、この時は気付く事が出来なかった。
それからしばらくの間、2人は無言で歩いていた。シャーリィは何度か話しかけようとするが、上手く言葉が見つからない。すると、誘二が振り返りながら聞いてきた。
「俺の歩くペースが早くて、疲れちゃったかな?少し歩く速度落とそうか?」
「いえ、大丈夫です。私、男の方と2人で旅をするのが初めてなので少し緊張してしまって・・・」
「じゃあ、落ち着ける様に手を引いてあげるよ」
誘ニが左手を差し出してきたので、シャーリィは頬を染めながら右手を出して掴んだ。右手から誘二の手の温かさが伝わるとそれだけで幸せな気持ちが湧いてくる。シャーリィはようやく誘二に好意以上の物を抱き始めた事を自覚した。
誘二に手を引かれながら、北門を出て2人は北東を目指し歩き始めた。2時間程歩いて夕暮れ時が近付いた頃、誘二はシャーリィに提案する。
「なあ、そろそろ日が暮れるから今日はここまでにしておいて、仔狐亭に転移して泊まらないか?フォルネーゼにも紹介してやりたいし、一緒に夕食を食べるのも楽しいし、何より安全だと思うぞ?」
ドクン!ドクン!・・・。 シャーリィは胸の中で激しく勢いを増した、どす黒い炎を受け入れてしまう。
「あ、あの! 総大主教となる為の試練において、町の宿に泊まる行為は苦難の旅路を安易な方法で切り抜けようとしたと見られるので、御厚意には感謝致しますがお受けする事が出来ません」
「そうか、初めに確認していなかった自分が悪かった。ゴメン」
(嘘だ、宿に泊まる事は禁止されてなどいない。なのに、何でこんな言葉が出てしまうの!?)
「そうなると1人で置いていく訳にもいかないし、どうしたものか・・・」
「あの・・・」
「どうした?」
「こんな事になってしまったのは、私の責任です。ですが、教会の中に居るのと違い1人で野宿して過ごす夜は凄く不安です。なので・・・私と一緒に居て頂けませんか!?」
「じゃあ、1度フォルネーゼにこの事を伝えてきてもいいかな?彼女に心配を掛けたくないから」
「お願いです、私を1人にしないで下さい!このままずっと一緒に居てください」
誘二は少しの間、考えた。そしてシャーリィの言った言葉が1人になってしまう不安による物だと、間違った解釈をしてしまう。
「分かった、一緒に居てあげるよ。ただ済まないけど明日の朝1度だけ仔狐亭に戻ってフォルネーゼ達に無事な事を伝えに行かせてね」
「分かりました」
シャーリィは誘二の優しさに感謝しながら、その身の全てが黒い炎で焼き尽くされようとしていた。
(フォルネーゼさん、ごめんなさい。あなたから誘二さんを奪い、私の物にしてみせます)
誘二は知らず知らずの内にシャーリィの心を奪い、誰も望まぬ道を歩ませている事にまだ気付いていない・・・。
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