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第30話 希望
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「さっき話していた誘二様と妹だけでなく、例の呪われた女性も救えるかもしれないって件だけど、2人の後を追いかけながらになるけど説明するわね」
「ええ、お願いします」
「あなたが先程会得した【慈愛】は、我が聖光教会の歴史においても会得出来た人は一握りしかおりません。 それは不貞を働いた伴侶だけでなく、その相手さえも赦す程の愛情と優しさを兼ね備える者などまず現れないからです」
「たとえになってしまい大変申し訳有りませんが、シルフィさん。仮のあなたの夫であるバルドさんが、他の女性と密通を行っていた場合にフォルネーゼさんと同様に赦す事が出来ますか?」
「そんな事有り得ないと思いますが、もしもその様な事をされてしまった場合は、その相手の女性に対する嫉妬や恨みの感情を少なからず抱いてしまうと思います」
「今回フォルネーゼさんが【慈愛】を会得出来たのは、平たく言えば誘二様と我が妹の不倫を赦すだけの愛情と優しさを示したのが原因と考えられます。 他に会得したケースですと、虐げられている者を身分など分け隔て無く救おうとしたり、飢えた子供達や医者に行く事も出来ない貧しい病人を救う為に、私財を投げ打って食事を与えたり医者に見せたりした結果会得した記録が残っております」
(不倫を赦したから【慈愛】を会得したって言われると、なんか納得が出来ないけどこの力で誘二さんを救えるというのなら関係無いわ)
「会得条件とかどうでもいいです、それよりも誘ニさん達を救えるかもしれないとはどういう事なんですか?」
「はい、【慈愛】の効果は使用する人から一定範囲内に居る者全ての心を愛情と優しさで満たし、嫉妬などの負の感情を消し去るのです」
「それで、誘二さんは魅了から解放されるのですね?」
「魅了による洗脳や欲情も、魅了の使用者の負の感情が引き金となっておりますので、まず使用者の心の中から嫉妬や占有欲などの負の感情を消して魅了を中断させ、続いて虜の状態になっている者が魅了から解放されて本来の感情を取り戻す事になります」
「あと、オークの砦に居るという女性も救えるかもしれないというのは一体何故ですか?」
「はい、それはあの2人が帰還した後に改めて私はスフィアを連れて神殿跡の地下に入りました。そして地下の酷い有様を見て、妹を破門する事になりましたが・・・」
「どの様になっていたのですか?」
「はっきり言って良いものかどうか・・・どうやら、あの2人は手っ取り早く女性を解放する手段を探して、その後は地下への入り口に封印と結界を施して邪魔をされない様にすると、ずっと地下に潜ったまま行為に耽っていた様で、2人の排泄物がそのまま放置されていたり、体液などが数多くの呪術書に飛び散って付着している有様で今回の件が片付いたら、私とスフィアの2人だけで地下を秘密裏に掃除しないと他の方がもしも見てしまったら卒倒するかもしれません」
(聞かなきゃ良かった・・・けれど誘二さんに、そこまで獣じみた真似をさせる事が出来る魅了って呪い、少し興味が沸いてくるわね)
「あの・・・フォルネーゼさん、途中から声が漏れてます。お願いですから良からぬ事を考えないで下さいね、誘ニ様を救い出してから存分に家の寝室でご自身から求めてください」
「え!? うそ、口に出していましたか!?」
「けれど の辺りから駄々漏れです。魅了と慈愛の両方を使いこなす者が現われでもしたら、そんな人は文字通り傾国の女です。あなたは男達から精を漁るサキュバスにでもなるおつもりですか!?」
「い、いえ、そんな事は・・・。 ボソッ・・・抱いて欲しいのは誘二さんだけで」
「話を戻しますね、例の女性の呪いがあそこまで強固になってしまった理由は、その女性自身の心も関係しています」
「どういう事ですか?」
「おそらく、死ぬ事も出来ずに繰り返しオークの仔を産む内に産まれてくる仔を自分の子と思えなくなっていると思われます」
「自分が産んだ子を愛する事が出来なくなっている、それがオークを産む呪いをより強固にしていると考えられます。 神殿跡の地下に有った書物にはオークキングとクイーンを産む身体にする呪いの記述は有りませんでしたが、数回ほど産まれてくる子が1週間ほどオークの姿になる呪いが記述された書が有りました」
「数回だけですか!? ずっとではなくて?」
「はい、記述によると夫を寝取られた貴族の妻が秘密裏に魔族と接触し相手の女への復讐として、その呪いを作り上げ、妻自らの手で呪いを掛けたとあります」
「ただ救いだったのがその呪いを作るのに協力した魔族は、産まれてくる子が愛する男の子供でも有る事すら忘れて復讐に走る女の心に恐怖してこの呪いの記述を残して封印した事です」
「しかし、貴族の妻は数回しか産まない筈の呪いをその復讐心で更に数回産む回数を増やしてしまう。 その間に相手の女は寝取った男にもオークの仔を産むという異常性から捨てられてしまい、自分のお腹を痛めて産んだ子を、自分の子として認める事が出来ない。いえ認めたくないどころか化け物を産む身体にされたと思う事で、より頑なにそのオークの仔の姿をした赤ん坊が自分の子だと認識しない様にしていたのかもしれませんね」
「それで産まれてきた子は、どうなったと書かれていたのですか?」
「はい、初めの数人は乳も与えられず数日で死亡して遺棄されたとあります。 ただ、その間にオークの仔を産む女と周囲に知れ渡り時の王にその砦に幽閉され、ずっとそこでオークの仔を産み続けていればいいと願う者達の負の感情により、更に不死の呪いも掛かる結果となったそうです」
「じゃあ、その記述に有った女性が今砦に居る女性だというのですか!?」
「おそらくそうでしょう、そして一部の心無い人が砦内は今頃オークで溢れかえっていると面白おかしく話しそれを鵜呑みにして大勢の人が信じた結果、本当にオークがその場で沸く様に場が変質したのかもしれません」
「あと、幽閉された女性が産まれた子をオークとしか見れなくなった事で、その産まれた子は文字通り母の手によりオークとして成長してしまい、それを何十回、何百回と繰り返す内に母自身の心によって徐々により醜悪で強力なオークキングとクーンの双子を産む身体になったと考えられます。 彼女は最初からオークキングとクイーンを産んでいたと思い込む事で、何とか自我を保っているだけだと思います」
「それで、何故わたしの慈愛が助ける事が出来ると? ・・・・まさか、その女性に産まれた子を愛する気持ちが戻ってくるとおっしゃりたいのですか!?」
「はい、1週間ほど一緒に居て頂きオークの姿をした赤子が元の人の姿に戻れば、産まれた子を愛し続ける事がきっと出来ると思います。 そして、不死の呪いも解ければ彼女は文字通り呪われた人生から解放され救われると私は信じています」
「わかりました、わたしがその女性にとっての希望になりましょう。ただし、くれぐれも忘れないで下さい、わたしが何よりも取り戻したいのは夫である誘二さんです。わたしの慈愛でも彼女の呪いを解く事が出来なかった場合、どの様な選択をするかは彼女自身に聞いてください」
「わかりました」
「話が無事纏まった様だが、俺とシルフィはとりあえず誘二の奴を抑えればいいんだな?」
「はい、その間にフォルネーゼさんには慈愛を使って頂きます。 ただし、慈愛はシャーリィの結界に入る前から使っていて下さい。 最悪フォルネーゼさんが魅了されてしまう恐れも有りますので・・・」
「分かりました」
「そろそろ足音を静かに願います、周辺で人の気配はありませんが強い魔力の気配を感じます。 おそらくこの近くで人払いの結界を張っていると思います」
「いよいよだな、シルフィ。準備は出来ているか?」
「ええ、大丈夫です」
「フォルネーゼ、絶対に誘二の奴を連れて帰るぞ」
「はい、よろしくお願いします」
「シィッ!? ここが結界の境界だわ、これから結界に穴を開けますので開いた瞬間から行動開始してください。 十分お気を付けて」
まもなく、誘二さんを取り戻す為のわたしの戦いが始まろうとしている・・・。
「ええ、お願いします」
「あなたが先程会得した【慈愛】は、我が聖光教会の歴史においても会得出来た人は一握りしかおりません。 それは不貞を働いた伴侶だけでなく、その相手さえも赦す程の愛情と優しさを兼ね備える者などまず現れないからです」
「たとえになってしまい大変申し訳有りませんが、シルフィさん。仮のあなたの夫であるバルドさんが、他の女性と密通を行っていた場合にフォルネーゼさんと同様に赦す事が出来ますか?」
「そんな事有り得ないと思いますが、もしもその様な事をされてしまった場合は、その相手の女性に対する嫉妬や恨みの感情を少なからず抱いてしまうと思います」
「今回フォルネーゼさんが【慈愛】を会得出来たのは、平たく言えば誘二様と我が妹の不倫を赦すだけの愛情と優しさを示したのが原因と考えられます。 他に会得したケースですと、虐げられている者を身分など分け隔て無く救おうとしたり、飢えた子供達や医者に行く事も出来ない貧しい病人を救う為に、私財を投げ打って食事を与えたり医者に見せたりした結果会得した記録が残っております」
(不倫を赦したから【慈愛】を会得したって言われると、なんか納得が出来ないけどこの力で誘二さんを救えるというのなら関係無いわ)
「会得条件とかどうでもいいです、それよりも誘ニさん達を救えるかもしれないとはどういう事なんですか?」
「はい、【慈愛】の効果は使用する人から一定範囲内に居る者全ての心を愛情と優しさで満たし、嫉妬などの負の感情を消し去るのです」
「それで、誘二さんは魅了から解放されるのですね?」
「魅了による洗脳や欲情も、魅了の使用者の負の感情が引き金となっておりますので、まず使用者の心の中から嫉妬や占有欲などの負の感情を消して魅了を中断させ、続いて虜の状態になっている者が魅了から解放されて本来の感情を取り戻す事になります」
「あと、オークの砦に居るという女性も救えるかもしれないというのは一体何故ですか?」
「はい、それはあの2人が帰還した後に改めて私はスフィアを連れて神殿跡の地下に入りました。そして地下の酷い有様を見て、妹を破門する事になりましたが・・・」
「どの様になっていたのですか?」
「はっきり言って良いものかどうか・・・どうやら、あの2人は手っ取り早く女性を解放する手段を探して、その後は地下への入り口に封印と結界を施して邪魔をされない様にすると、ずっと地下に潜ったまま行為に耽っていた様で、2人の排泄物がそのまま放置されていたり、体液などが数多くの呪術書に飛び散って付着している有様で今回の件が片付いたら、私とスフィアの2人だけで地下を秘密裏に掃除しないと他の方がもしも見てしまったら卒倒するかもしれません」
(聞かなきゃ良かった・・・けれど誘二さんに、そこまで獣じみた真似をさせる事が出来る魅了って呪い、少し興味が沸いてくるわね)
「あの・・・フォルネーゼさん、途中から声が漏れてます。お願いですから良からぬ事を考えないで下さいね、誘ニ様を救い出してから存分に家の寝室でご自身から求めてください」
「え!? うそ、口に出していましたか!?」
「けれど の辺りから駄々漏れです。魅了と慈愛の両方を使いこなす者が現われでもしたら、そんな人は文字通り傾国の女です。あなたは男達から精を漁るサキュバスにでもなるおつもりですか!?」
「い、いえ、そんな事は・・・。 ボソッ・・・抱いて欲しいのは誘二さんだけで」
「話を戻しますね、例の女性の呪いがあそこまで強固になってしまった理由は、その女性自身の心も関係しています」
「どういう事ですか?」
「おそらく、死ぬ事も出来ずに繰り返しオークの仔を産む内に産まれてくる仔を自分の子と思えなくなっていると思われます」
「自分が産んだ子を愛する事が出来なくなっている、それがオークを産む呪いをより強固にしていると考えられます。 神殿跡の地下に有った書物にはオークキングとクイーンを産む身体にする呪いの記述は有りませんでしたが、数回ほど産まれてくる子が1週間ほどオークの姿になる呪いが記述された書が有りました」
「数回だけですか!? ずっとではなくて?」
「はい、記述によると夫を寝取られた貴族の妻が秘密裏に魔族と接触し相手の女への復讐として、その呪いを作り上げ、妻自らの手で呪いを掛けたとあります」
「ただ救いだったのがその呪いを作るのに協力した魔族は、産まれてくる子が愛する男の子供でも有る事すら忘れて復讐に走る女の心に恐怖してこの呪いの記述を残して封印した事です」
「しかし、貴族の妻は数回しか産まない筈の呪いをその復讐心で更に数回産む回数を増やしてしまう。 その間に相手の女は寝取った男にもオークの仔を産むという異常性から捨てられてしまい、自分のお腹を痛めて産んだ子を、自分の子として認める事が出来ない。いえ認めたくないどころか化け物を産む身体にされたと思う事で、より頑なにそのオークの仔の姿をした赤ん坊が自分の子だと認識しない様にしていたのかもしれませんね」
「それで産まれてきた子は、どうなったと書かれていたのですか?」
「はい、初めの数人は乳も与えられず数日で死亡して遺棄されたとあります。 ただ、その間にオークの仔を産む女と周囲に知れ渡り時の王にその砦に幽閉され、ずっとそこでオークの仔を産み続けていればいいと願う者達の負の感情により、更に不死の呪いも掛かる結果となったそうです」
「じゃあ、その記述に有った女性が今砦に居る女性だというのですか!?」
「おそらくそうでしょう、そして一部の心無い人が砦内は今頃オークで溢れかえっていると面白おかしく話しそれを鵜呑みにして大勢の人が信じた結果、本当にオークがその場で沸く様に場が変質したのかもしれません」
「あと、幽閉された女性が産まれた子をオークとしか見れなくなった事で、その産まれた子は文字通り母の手によりオークとして成長してしまい、それを何十回、何百回と繰り返す内に母自身の心によって徐々により醜悪で強力なオークキングとクーンの双子を産む身体になったと考えられます。 彼女は最初からオークキングとクイーンを産んでいたと思い込む事で、何とか自我を保っているだけだと思います」
「それで、何故わたしの慈愛が助ける事が出来ると? ・・・・まさか、その女性に産まれた子を愛する気持ちが戻ってくるとおっしゃりたいのですか!?」
「はい、1週間ほど一緒に居て頂きオークの姿をした赤子が元の人の姿に戻れば、産まれた子を愛し続ける事がきっと出来ると思います。 そして、不死の呪いも解ければ彼女は文字通り呪われた人生から解放され救われると私は信じています」
「わかりました、わたしがその女性にとっての希望になりましょう。ただし、くれぐれも忘れないで下さい、わたしが何よりも取り戻したいのは夫である誘二さんです。わたしの慈愛でも彼女の呪いを解く事が出来なかった場合、どの様な選択をするかは彼女自身に聞いてください」
「わかりました」
「話が無事纏まった様だが、俺とシルフィはとりあえず誘二の奴を抑えればいいんだな?」
「はい、その間にフォルネーゼさんには慈愛を使って頂きます。 ただし、慈愛はシャーリィの結界に入る前から使っていて下さい。 最悪フォルネーゼさんが魅了されてしまう恐れも有りますので・・・」
「分かりました」
「そろそろ足音を静かに願います、周辺で人の気配はありませんが強い魔力の気配を感じます。 おそらくこの近くで人払いの結界を張っていると思います」
「いよいよだな、シルフィ。準備は出来ているか?」
「ええ、大丈夫です」
「フォルネーゼ、絶対に誘二の奴を連れて帰るぞ」
「はい、よろしくお願いします」
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