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第33話 引越し準備を始める男
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フォルネーゼから、オークの砦を新しい家にしようと提案してから3ヶ月近く経とうとしている。その間シャンティは国との交渉に追われ、俺はオークの砦を訪れてオークキング達が沸いていないか確かめたが、キングとクイーンは出ていなかった。そしてようやく国と教会の間で話がまとまり、シャンティが譲渡契約書を持って仔狐亭を訪れた。
「国から正式に譲渡誓約書を取り付けてきたわよ、これで今日からあの砦はあなた達の物よ」
「有難う御座います、お義姉さま。お陰で引越しの準備を始める事が出来ますわ」
「・・・ちょっと、何時からわたしがあなたのお義姉さんになったのかしら?」
「あらシャーリィさんが誘二さんの妻になった以上、シャンティ様は私のお義姉さまになるではなくて?」
「そ、それはそうかもしれないけど・・・」
「なんでしたら、シャンティお義姉さまも誘二さんの奥さんになっちゃいますか? 砦の中はかなり部屋の数が空いているようですし」
「ば、馬鹿言うんじゃないわよ!? 誰が大切な妹を傷物にした男なんかに!?」
「ふふふ、その割には顔が大分赤くなっておりますよ」
「あなたね~わたしで遊ぶのはいい加減にして!? 今まで一体何枚の猫の皮を被ってきたのよ?」
「さあ? 誘二さんとシャーリィさんが結ばれなければ、猫を被ったままだったかもしれませんがこんな形になってしまいましたから・・・ねえ、お義姉さま!?」
「分かったわよ、わたしの妹が原因です! ちょっと、誘二様!? 妹をこの女に苛められたりしない様にきちんと見張っていないよね!?」
「分かっているよ、フォルネーゼがこんな言葉遣いをしているのもシャンティさん、あなたに妹の心配をさせない様にしているだけだから。そして、フォルネーゼと同じだけシャーリィも幸せにするから」
「ちょ!? ま、真顔でそんな事を堂々と言われるとわたしの方が恥ずかしくなっちゃうわよ。ちょっとシャーリィ! あなたは聖光教会を破門という形で出る事になってしまったけど、わたしの大切な妹に変わりは無いわ。 総本部のあの応接室は、わたしとスフィアの2人でしか使わない様にしておくから、時々は顔を出しに来なさい」
「いいのですか?」
「良いも悪いも決めるのは総大主教のわたしなんだから、それ位簡単よ。次の総大主教になれる人材を探さないとならないから、しばらくの間はその応接室の中でスフィアと書類の睨めっこよ」
「姉さん、本当にごめんなさい・・・」
「泣かないの! あなたがあれだけの騒動というか・・・乱行までして手に入れようとした人なんだから、離れたら承知しませんからね」
シャンティとシャーリィの姉妹は、しばしの別れを惜しんで互いの手を握り締めた。それを見ていた俺達も何か切ないものを感じてしまうが、それを味わっているだけの時間をバルドは与えてくれなかった。
「はいはい! 準備が遅れるから急いで急いで! 俺とシルフィはこれから馬車にお前達の家財道具を積んで行かなくちゃならないんだから、時間掛けないでくれよ~!」
「すまないね、バルド。 砦に来るまでには完全に制圧して、引越し祝いにオークの肉大量に上げるから」
「それはそうと、フォルネーゼ。本当にこの仔狐亭を聖光教会に渡してしまっていいのか?お前達に姉妹にとって大切な場所の筈だろう?」
「確かに大切な場所です、ですが今の私達姉妹の家は誘二さんとセットでないと駄目ですから。それにこれから仔狐亭は昔の私達の様に貴族等に両親を奪われたりした子供達の為の、孤児院として生まれ変わりますので誰かにとっての本当の家で在り続けますよ、この場所は」
そう、俺達の引越しに合わせて仔狐亭は聖光教会に引き渡され孤児院として生まれ変わる話になっている。今でも国の中には姉妹同様に両親を無くし孤児となっている子供達が居るので、その子達が元気に明るく成長出来る様にとフォルネーゼがシャンティに提案したのだ。
人族はこれまで他の種族を自分達よりも下等に見下す傾向に有って、今でも他の種族が人族の国を訪れる事がほとんど無い。シルフィやフォルネーゼ姉妹も偶然アルムの町に居たが、貴族達の迫害に遭っていたのは記憶に新しい。ピートの宣言もあって、徐々に受け入れて行こうとする風潮は起きているが実際に行動に移せるかどうかはまだ微妙だ。
なのでフォルネーゼが仔狐亭を移譲する事を条件にシャンティに提案したのは、獣人族やエルフなど他の種族の孤児達を受け入れる孤児院としての再生だった。アルムは姉妹をある程度受け入れてくれていた、バルドの手助けのお陰もあったが他の町や村に比べてずっと過ごし易い環境なのは間違い無い。孤児達に人族に対する悪いイメージを無くして欲しい事と、これから幸せになってくれる事を願うフォルネーゼらしい提案だったと思う。
・・・しかし、仔狐亭の改修費用や孤児院としての運営は全て聖光教会に丸投げしシャンティが反論しようとすると
「不倫の精神的苦痛に対する慰謝料」
と脅しを言うフォルネーゼにシャンティは屈するしかなかった。その言葉を聞く度に、俺とシャーリィもフォルネーゼの前で土下座して謝りたくなるから、そろそろ止めて欲しいと切に願っている。
「よ~っし! それじゃ、繰り返しになるが、確認するぞ! まずは誘二がシャーリィとシャンティを連れて、例の女性の居る部屋に転移する。 そして、中に転移した直後にシャーリィは結界を張って部屋の中に広間に沸いているオーク達が入れない様にしたら、誘二は続いてフォルネーゼとフォレットを連れてくる、もしも部屋の中にオークが居た場合は先に倒しておく。 ここまでで何か質問有るか? 無ければ、話を続けるぞ」
「4人が全員無事転移を終えたら、フォルネーゼ達は事情を説明して慈愛を行う。その間に誘二はオーク達を殲滅して俺達が家財道具を運び入れるまで砦の中の安全を保っておく事。 そうだ、シャンティさん。 例の噂の件は大丈夫ですか?」
「ええ、スフィア達が国内の全ての町や村で噂をばら撒いてくれているわ。『オークの砦を神の御使いが国から譲り受けて、そこに破門された次期総大主教や色んな女を連れ込んでハーレムを築いたらしい。そして結界の中で繰り広げられる淫蕩の宴に恐怖を覚えたオーク達は全て逃げ出してしまったから、これからあそこの名は【御使いのハーレム砦】と呼んだ方が良さそうだ。 羨ましい事だ』っとね」
「ちょっと待て!? それじゃ、俺はシャーリィを誑し込んだ悪人みたいじゃないか!?」
「実際、まだ聖光教会ではあなたの異端指定を解除していませんから。 大切な妹を傷物にしたんです、それ位我慢しなさい」
「分かったよ、ところでシャーリィ。顔色が少し悪い様だけど大丈夫か!?」
「・・・・・・う!?」
シャーリィが気分を悪そうにして手洗い場へ駆けていく。そして洗面所で吐いている彼女の様子を見てフォルネーゼは気付いてしまった。
「シャーリィさん、あなた誘二さんの子を宿したのね」
「え!?」
引越し直前になって、シャーリィの妊娠が判明し手順を変える必要が出てきた。シャンティには負担を掛けてしまうが、何とか早く無事に引越しを終えようと全員の意思は固まるのだった。
「国から正式に譲渡誓約書を取り付けてきたわよ、これで今日からあの砦はあなた達の物よ」
「有難う御座います、お義姉さま。お陰で引越しの準備を始める事が出来ますわ」
「・・・ちょっと、何時からわたしがあなたのお義姉さんになったのかしら?」
「あらシャーリィさんが誘二さんの妻になった以上、シャンティ様は私のお義姉さまになるではなくて?」
「そ、それはそうかもしれないけど・・・」
「なんでしたら、シャンティお義姉さまも誘二さんの奥さんになっちゃいますか? 砦の中はかなり部屋の数が空いているようですし」
「ば、馬鹿言うんじゃないわよ!? 誰が大切な妹を傷物にした男なんかに!?」
「ふふふ、その割には顔が大分赤くなっておりますよ」
「あなたね~わたしで遊ぶのはいい加減にして!? 今まで一体何枚の猫の皮を被ってきたのよ?」
「さあ? 誘二さんとシャーリィさんが結ばれなければ、猫を被ったままだったかもしれませんがこんな形になってしまいましたから・・・ねえ、お義姉さま!?」
「分かったわよ、わたしの妹が原因です! ちょっと、誘二様!? 妹をこの女に苛められたりしない様にきちんと見張っていないよね!?」
「分かっているよ、フォルネーゼがこんな言葉遣いをしているのもシャンティさん、あなたに妹の心配をさせない様にしているだけだから。そして、フォルネーゼと同じだけシャーリィも幸せにするから」
「ちょ!? ま、真顔でそんな事を堂々と言われるとわたしの方が恥ずかしくなっちゃうわよ。ちょっとシャーリィ! あなたは聖光教会を破門という形で出る事になってしまったけど、わたしの大切な妹に変わりは無いわ。 総本部のあの応接室は、わたしとスフィアの2人でしか使わない様にしておくから、時々は顔を出しに来なさい」
「いいのですか?」
「良いも悪いも決めるのは総大主教のわたしなんだから、それ位簡単よ。次の総大主教になれる人材を探さないとならないから、しばらくの間はその応接室の中でスフィアと書類の睨めっこよ」
「姉さん、本当にごめんなさい・・・」
「泣かないの! あなたがあれだけの騒動というか・・・乱行までして手に入れようとした人なんだから、離れたら承知しませんからね」
シャンティとシャーリィの姉妹は、しばしの別れを惜しんで互いの手を握り締めた。それを見ていた俺達も何か切ないものを感じてしまうが、それを味わっているだけの時間をバルドは与えてくれなかった。
「はいはい! 準備が遅れるから急いで急いで! 俺とシルフィはこれから馬車にお前達の家財道具を積んで行かなくちゃならないんだから、時間掛けないでくれよ~!」
「すまないね、バルド。 砦に来るまでには完全に制圧して、引越し祝いにオークの肉大量に上げるから」
「それはそうと、フォルネーゼ。本当にこの仔狐亭を聖光教会に渡してしまっていいのか?お前達に姉妹にとって大切な場所の筈だろう?」
「確かに大切な場所です、ですが今の私達姉妹の家は誘二さんとセットでないと駄目ですから。それにこれから仔狐亭は昔の私達の様に貴族等に両親を奪われたりした子供達の為の、孤児院として生まれ変わりますので誰かにとっての本当の家で在り続けますよ、この場所は」
そう、俺達の引越しに合わせて仔狐亭は聖光教会に引き渡され孤児院として生まれ変わる話になっている。今でも国の中には姉妹同様に両親を無くし孤児となっている子供達が居るので、その子達が元気に明るく成長出来る様にとフォルネーゼがシャンティに提案したのだ。
人族はこれまで他の種族を自分達よりも下等に見下す傾向に有って、今でも他の種族が人族の国を訪れる事がほとんど無い。シルフィやフォルネーゼ姉妹も偶然アルムの町に居たが、貴族達の迫害に遭っていたのは記憶に新しい。ピートの宣言もあって、徐々に受け入れて行こうとする風潮は起きているが実際に行動に移せるかどうかはまだ微妙だ。
なのでフォルネーゼが仔狐亭を移譲する事を条件にシャンティに提案したのは、獣人族やエルフなど他の種族の孤児達を受け入れる孤児院としての再生だった。アルムは姉妹をある程度受け入れてくれていた、バルドの手助けのお陰もあったが他の町や村に比べてずっと過ごし易い環境なのは間違い無い。孤児達に人族に対する悪いイメージを無くして欲しい事と、これから幸せになってくれる事を願うフォルネーゼらしい提案だったと思う。
・・・しかし、仔狐亭の改修費用や孤児院としての運営は全て聖光教会に丸投げしシャンティが反論しようとすると
「不倫の精神的苦痛に対する慰謝料」
と脅しを言うフォルネーゼにシャンティは屈するしかなかった。その言葉を聞く度に、俺とシャーリィもフォルネーゼの前で土下座して謝りたくなるから、そろそろ止めて欲しいと切に願っている。
「よ~っし! それじゃ、繰り返しになるが、確認するぞ! まずは誘二がシャーリィとシャンティを連れて、例の女性の居る部屋に転移する。 そして、中に転移した直後にシャーリィは結界を張って部屋の中に広間に沸いているオーク達が入れない様にしたら、誘二は続いてフォルネーゼとフォレットを連れてくる、もしも部屋の中にオークが居た場合は先に倒しておく。 ここまでで何か質問有るか? 無ければ、話を続けるぞ」
「4人が全員無事転移を終えたら、フォルネーゼ達は事情を説明して慈愛を行う。その間に誘二はオーク達を殲滅して俺達が家財道具を運び入れるまで砦の中の安全を保っておく事。 そうだ、シャンティさん。 例の噂の件は大丈夫ですか?」
「ええ、スフィア達が国内の全ての町や村で噂をばら撒いてくれているわ。『オークの砦を神の御使いが国から譲り受けて、そこに破門された次期総大主教や色んな女を連れ込んでハーレムを築いたらしい。そして結界の中で繰り広げられる淫蕩の宴に恐怖を覚えたオーク達は全て逃げ出してしまったから、これからあそこの名は【御使いのハーレム砦】と呼んだ方が良さそうだ。 羨ましい事だ』っとね」
「ちょっと待て!? それじゃ、俺はシャーリィを誑し込んだ悪人みたいじゃないか!?」
「実際、まだ聖光教会ではあなたの異端指定を解除していませんから。 大切な妹を傷物にしたんです、それ位我慢しなさい」
「分かったよ、ところでシャーリィ。顔色が少し悪い様だけど大丈夫か!?」
「・・・・・・う!?」
シャーリィが気分を悪そうにして手洗い場へ駆けていく。そして洗面所で吐いている彼女の様子を見てフォルネーゼは気付いてしまった。
「シャーリィさん、あなた誘二さんの子を宿したのね」
「え!?」
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