異世界に飛ばされた警備員は持ってた装備で無双する。

いけお

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第40話 国境到達、エルフ達の手荒い歓迎

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エルムガルド砦を過ぎてから、4日程経ちようやく人族とエルフ族の国との国境が近づいてきた。国境とはいってもお互いに兵士を駐屯させている訳では無く、小さな川がそのまま国境の扱いになっている。エルフ達も過去の貴族達の蛮行から国境を越えて来る者は無く、人の側もエルフの領土に入ろうとする者も居ない為に何時の間にか国境を監視する者は居なくなった。

そして最近になってエルフのシルフィが国境を越えて人族の領地に入り貴族に追われてバルドに保護される訳だが、少なくともエルフが国境を越えるのは数十年以上無かった事らしい。シルフィに聞いてみると

「私が人に興味を持って国境を越えてしまった為に多くの人に迷惑を掛けてしまいました。特にフォルネーゼさんの両親には幾ら謝罪しても足りないくらいです」

っと同じ返答を繰り返すばかりで何故人に興味を持ち、国境を越えようと決断したのかその経緯までは話してくれなかった。しかし相変わらずだが自分達のパーティーには緊張感や疲れの様子が全く見当たらない、毎日砦の自宅から転移して旅をしている所為で長旅をしている実感が沸かない為だ。少しずつ膨らんでいくシャーリィのお腹を眺めながら、もうすぐ産まれる自分の子への期待と共に、次に俺の子を宿すのがフォルネーゼ・エタ・シャンティの3人の中の誰なのかが気になってくる。

エタの身体に掛けられた呪いが完全に解けたのが分かるのは、子を産んでからになる訳で出来れば先に宿して欲しいと思いたいところではあるが、この世界で最初に俺が愛したのはフォルネーゼなので今度こそ俺の子を孕んで欲しいと願っている。シャンティは俺の気持ちを察してか一歩引いた素振りを見せているが、俺と一夜を共にする際はその分シャーリィ以上に濃密な交わりで己が情欲を鎮めていた。

日中は国境を目指し、夕方帰宅して腹を満たした後は愛してくれている女性達を選んで抱く生活を送る俺は世の男性達からすれば幸せの極みにきっと見える事だろう。俺自身もこんな幸せな生活が続いて本当に良いのだろうか?と不安を覚えてしまう時も有るが、惚れた女の為にこちらの世界に骨を埋める覚悟で残っているからこれ位の役得が有ってもいいだろうと割り切る事にした。

「明日には国境を越える事が出来そうですね」

シルフィが少しずつ近づいてくる国境を前にして感慨深げに言ってきた。

「ああ、もうすぐお前の故郷に入れるな」

バルドも、もうすぐ目的を果たせるから表情も幾分緩んでいる。それにしても、エルムガルド砦からここまでモンスターが1度も襲ってこなかったのにはやや拍子抜けさせられた。だが、バルドとシャンティの言葉で思わず納得してしまったのはモンスターも獣の本能で俺達パーティーの強さを感じ取り近寄ろうとしないらしいのだ。・・・特にフォルネーゼから漂う獲物を探す気配は尋常じゃないらしい。俺にだけ気配を感じさせずに他の皆を震え上がらせるフォルネーゼの獣の本性を見る事はきっと無いだろう、っていうか見たくない。フォルネーゼが時々見せるあの寒気を通り越して絶対零度を思わせる微笑さえまだ温かく感じるとはシャンティの感想だがそれを聞いたフォルネーゼが

「あら、シャンティさん面白い事を言いますわね。誘二さんがお休みになられた後、少し2人きりでお話でもしましょうか?ウフフ・・・」

と背後からそっと近寄り語りかけると、シャンティはその場で失神した上に失禁までする事態を引き起こした。若い女性がお漏らししてしまう姿など見たくは無かったが、フォルネーゼの怖さを俺自身が目の当たりにした出来事となった。

翌朝、砦を出たのは普段よりも遅い時間となった。シャンティが俺に失禁した姿を見られた事への羞恥心から部屋を出てこなかった為である・・・。フォルネーゼにはしばらくの間離れてもらい、俺が部屋に入りシャンティを抱き寄せその唇を塞いでやるとようやく落ち着きを取り戻してくれた。シャンティの羞恥で顔を赤く染めた表情を見ていて思わずムラムラっときてしまったが、今晩早めに飯を済ませてから夜通し抱いてやる事を心の中で決めた。

昨日の夕方の地点に転移を済ませると、早速移動を開始する。1時間ほど歩きやや小高い丘に差し掛かると眼下に国境の川と小さな橋が見えた。

「あの橋を渡ればエルフの領内に入ります」

シルフィがその目にわずかではあるが涙を浮かべている、里帰りする機会が来ると思っていなかったのもそうだがバルドと夫婦となり両親に夫を紹介出来る事に喜びを感じている様だった。俺達も初めて人族の国以外の土地を訪れるので、少し興奮しながら橋を渡り始めた。橋を渡り始めて丁度中間地点を過ぎた頃、フォルネーゼは急に立ち止まり皆に注意を促した。

「気を付けてください、何者かが我々を見張っています!」

だが、周囲を見ても人影は見当たらない。橋を渡った先に林が見えるがそこから橋まで距離的に数百mは離れているので弓矢も届く事は無い筈。そんな楽観的な考えは次の瞬間に間違いだと気付かされた。林の中から一斉に大量の矢が放たれると、俺達のすぐ手前で橋がハリネズミと化した。物凄い飛距離と精度だ、俺とフォルネーゼは問題無いが他の3人は多少のキズも覚悟しないとならないかもしれない。そう考えていると、シルフィが単身で橋を渡り始め両手を広げながら林の方を向いて叫んだ。

「威嚇を止めてください、わたしはエールの森に住むストラトス・ウィンドの娘シルフィ・ウィンド!訳有って人族の国に居りましたが、この者達の協力のお陰でこうして無事に戻りました。これ以上の威嚇及び殺意を持っての攻撃は我々の中で最も愚かな行為の1つで有る恩を仇で返すものとなりましょう!わたしの声が聞こえたのなら、ただちに攻撃を止めすぐに姿を現しなさい!」

矢が放たれた際にすぐにでもシルフィを庇える様に俺とフォルネーゼは何時でも動ける準備をしていたが、矢は放たれる事は無かった。そして5分ほどして林の中から10人のエルフ達が姿を現した、あの大量の矢はたった10人で弓を連射したものだった事にシルフィ以外の全員は更に驚かされた。

「おお、近くで見ると間違いない。弓聖ストラトスの娘シルフィだ、エールの森から急に姿を消して十数年。まさか人族の国に行っていたとはな。野蛮な人族どもに危害は加えられなかったか?」

「確かに人族の中には、わたしを見下し見世物の品と同様に扱おうとする愚かな者も居りましたがわたしを保護して助けてくれた素晴らしい人物も居られます。そして・・・わたしはその素晴らしい御方である、こちらのバルド様の妻となり夫婦として暮らしております」

「な、なんだって~!?」×10人

「本当なのですか?あなた様は純血のエルフ、エルフ族の始祖ハイエルフ・ティータの直系の子孫なのですよ!そのあなたがよりにもよって人族の者などと婚姻を結ぶとは、エルフ族の誇りを失くしてしまったのですか!?」

「わたしは確かにティータの直系の子孫かもしれませんが、何よりもまず1人の女です。そのわたしが生涯を共に過ごしたいと思える相手と結ばれたのに、それを愚弄する言動をするのであれば我が真の名をもってあなた達を聖樹の加護から外す事も出来るのですよ!?」

「シルフィ様、我々が間違っておりました。聖樹の巫女の選択を愚弄する発言をした事を深くお詫び致します」

「あの、シルフィさん。聖樹の巫女って一体何なのでしょうか?」

「バルド、それにみんな今まで黙っていたのだけれど私はこのエルフの国で始祖の血を受け継ぎこの国に住む全てのエルフに加護を与えている御神木の聖樹と話す事が出来る唯1人の巫女なのです」

バルドを含め皆があまりにも話が急に飛躍するので思考がフリーズ状態になってしまった、結論から言うとバルドの嫁さんはエルフ族でもっとも希少な血を受け継ぐ国で唯1人の巫女でした。っといきなり言われてもとても信じられないが、エルフの国で大きな騒動が起こる予感だけは確実に的中しそうだった。
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