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第45話 【ダイナス恐怖の10日間】~6日目午後の部その2~
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施設の中に入ったハジメ達がまず最初に目にした物は大小様々の溶けた人の骨の山だった、恐らく組織の連中は扉を溶かして侵入してきたスライムをここで迎え撃とうとしたのだろう。まだ育て終えていない小さな暗殺者まで動員して・・・。
「年端もいかない子供達を前面に出すなど人間のする事ではありません!」
サリーネが憤りを露にする、だがこの場合生き残る為にはどんな小さな手でも借りねばならなかっただろう。組織の連中は当然の報いを受けたのかもしれないが子供達が受ける理由など何1つ無かった。
カタカタカタ・・・幾つかの骨が小刻みに揺れている、あまりにも無念の念が強すぎてモンスターと化したのだが骨1本だけの状態では何も出来ない。悪党も混ざっているとはいえ流石に哀れ過ぎた。
「せめて生まれ変わる事が出来たら、今度は真面目に生きてくれよな」
ハジメは骨を1ヶ所に集めると発火能力で燃やした。セシリア達に食べさせれば【骨密度向上】を得られたかもしれないが動く骨の中には子供のも含まれる、それを食べさせる事など出来る筈が無かった。だがそんな感傷に浸っている余裕をモンスターは与えてくれなかった、燃やした骨に反応したのかハジメは熱感知で周囲から集まってくるモンスターの存在を察知した。
「子供達の死を悲しんでいる余裕は無さそうだ、こちらに向かってくるのが4体ほど居る。恐らくパープルスライムだが喰おうなんて考えるな、さっさと倒してしまおう」
しかしハジメ達の目の前に現れたのは予想を裏切る者だった。
「あれは・・・スライムなのか?」
「でもスライムが人の姿に変わるなど聞いた事がありません」
「もしかして突然変異!?」
「けれどアレとどう戦えば良いのですか!?」
4人の前に現れたモンスター、それは人の姿をしたスライムであり4体とも容姿は小さな女の子だった。
マミースライム=餓死した後にマミーと化した子供を食料として取り込んだ際に突然変異を起こしたパープルスライム。人が目にした場合、攻撃を躊躇してしまうかもしれない。
「ハジメ、早く倒してしまいましょう」
セシリアはハジメにこのスライムを倒す事を提案したが、ハジメは何か心に引っかかる物を感じた。
(何だろう、この感覚は?本当なら倒すべきなのに、1人1体喰うべきだと誰かに言われている様な気がする)
聞き覚えの有る声に導かれる様にハジメはこのマミースライムを食べる事を選んだ。
「皆でこのスライムを食べよう、1人1体。何故だか分からないけど俺達が食べないとならない気がするんだ」
「ハジメがそう言うのでしたら・・・」
4人がマミースライムに向かう、しかし4体のスライムはハジメ達を攻撃しようとはしなかった。
「すぐ楽にしてあげるからね、そのまま大人しくしていてね」
サリーネが話しかけると話しかけられたスライムが微かに頭を上下させる、子供達の自我がほんのわずかでも残っているのかもしれない。それが分かった瞬間、彼女の目から涙が零れ落ちる。サリーネが食べたスライムはブルーベリーと涙の入り混じった味となった。
4体全てを食べ終えたハジメ達に変化が訪れたのはすぐだった、ハジメはまず能力として【鑑定眼】を手に入れた。そして4人が揃って手に入れたのはマミースライムの元となった子供達の記憶の欠片だった、その記憶から子供達の一部が組織の首領らしき男に連れられて洞窟の奥に逃げていった事が分かった。
「セシリア達にも見えた?」
「ええ、はっきりと」
「組織の施設が他には無い事も分かりましたが、この組織の連中は人を何だと思っていたのでしょうか!?」
「子供を家畜や実験動物の様に扱って、もし自分の子が同じ目に遭ったとしたらどう感じたのでしょうね?」
ミリンダは改めて自分を暗殺者に仕立て上げた組織に対する怒りを覚えた、だがその怒りをぶつける相手は既にこの世には居ない・・・。
「行こう、洞窟の奥に首領とやらに連れて行かれた子供達の亡骸が残っているかもしれない。でも油断は禁物だ、さっきのスライムみたいに突然変異したモンスターが居る可能性も捨てきれないからな」
ハジメ達は念の為、施設内の残った部屋の捜索を行った。すると国王のジェラールがこの組織に出資していた証拠の数々が出てきた。
「国王がこの組織のスポンサーになって、幼い子供の誘拐にも協力していたとは・・・」
「相応の報いを後でくれてやるさ、だが今は洞窟の奥に有る秘宝の回収が先だ」
「何故ハジメはそんなに秘宝を回収するのを急いでいるのですか?」
セシリアの質問に歩きながらハジメは答えた。
「実は昨晩墓地でアルラウネっていうモンスターと会って、組織の薬物を使った人体実験で殺されマミーとなってしまった女の子を紹介された。その子にはまだ自我も有った、そしてこの洞窟の奥に眠っている秘宝を使えば甦らせる事が出来ると教わったんだ」
「では、まだ私達の手で救い出せる子供が1人だけですが残っているという事ですね?」
「ああ、そういう事になる。ただし、その子が死んだ日から1年を過ぎてしまうと甦らせる機会は2度と訪れない。だから急いでいるんだ」
「では早く進みましょう、絶対に間に合わせてみせます」
4人は歩を早めて、洞窟の奥を目指した。途中で空腹を覚えれば見つけたパープルバットやパープルスライムを食料代わりにする。そして洞窟に入ってから5時間近く過ぎた頃、ようやくハジメ達は洞窟の最奥の広場に到着した。だが、ここで待ち受けていたモンスターは常軌を逸していた。
『グギガガギゲゴ・・・』
声にならない音を出しながらジロリとハジメ達に目を向ける醜い男の顔を持つ象の胴体の左右には、4つずつ泣いている子供達の顔が浮かび上がっている。
(こいつは恐らく、組織の首領と連れてこられた子供達を1度に食べてしまったんだ。それが原因でこんな姿に!?)
あまりにもおぞましい姿にハジメ達が恐怖を覚えていると男の首が曲がり始めた、限界を超えても曲がる首からはボキボキと骨が砕ける音が聞こえる。そして首が捻じ切れる直前、男は口から舌を出すと涎を垂れ流しながらサリーネに目を向けた。
『アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!』
次の瞬間、男の首が大砲の砲弾の様に撃ち出された!真っ直ぐにサリーネ目がけて飛んでいく元人間だった男の歯がサリーネの喉を食い破ろうとしていた・・・。
「年端もいかない子供達を前面に出すなど人間のする事ではありません!」
サリーネが憤りを露にする、だがこの場合生き残る為にはどんな小さな手でも借りねばならなかっただろう。組織の連中は当然の報いを受けたのかもしれないが子供達が受ける理由など何1つ無かった。
カタカタカタ・・・幾つかの骨が小刻みに揺れている、あまりにも無念の念が強すぎてモンスターと化したのだが骨1本だけの状態では何も出来ない。悪党も混ざっているとはいえ流石に哀れ過ぎた。
「せめて生まれ変わる事が出来たら、今度は真面目に生きてくれよな」
ハジメは骨を1ヶ所に集めると発火能力で燃やした。セシリア達に食べさせれば【骨密度向上】を得られたかもしれないが動く骨の中には子供のも含まれる、それを食べさせる事など出来る筈が無かった。だがそんな感傷に浸っている余裕をモンスターは与えてくれなかった、燃やした骨に反応したのかハジメは熱感知で周囲から集まってくるモンスターの存在を察知した。
「子供達の死を悲しんでいる余裕は無さそうだ、こちらに向かってくるのが4体ほど居る。恐らくパープルスライムだが喰おうなんて考えるな、さっさと倒してしまおう」
しかしハジメ達の目の前に現れたのは予想を裏切る者だった。
「あれは・・・スライムなのか?」
「でもスライムが人の姿に変わるなど聞いた事がありません」
「もしかして突然変異!?」
「けれどアレとどう戦えば良いのですか!?」
4人の前に現れたモンスター、それは人の姿をしたスライムであり4体とも容姿は小さな女の子だった。
マミースライム=餓死した後にマミーと化した子供を食料として取り込んだ際に突然変異を起こしたパープルスライム。人が目にした場合、攻撃を躊躇してしまうかもしれない。
「ハジメ、早く倒してしまいましょう」
セシリアはハジメにこのスライムを倒す事を提案したが、ハジメは何か心に引っかかる物を感じた。
(何だろう、この感覚は?本当なら倒すべきなのに、1人1体喰うべきだと誰かに言われている様な気がする)
聞き覚えの有る声に導かれる様にハジメはこのマミースライムを食べる事を選んだ。
「皆でこのスライムを食べよう、1人1体。何故だか分からないけど俺達が食べないとならない気がするんだ」
「ハジメがそう言うのでしたら・・・」
4人がマミースライムに向かう、しかし4体のスライムはハジメ達を攻撃しようとはしなかった。
「すぐ楽にしてあげるからね、そのまま大人しくしていてね」
サリーネが話しかけると話しかけられたスライムが微かに頭を上下させる、子供達の自我がほんのわずかでも残っているのかもしれない。それが分かった瞬間、彼女の目から涙が零れ落ちる。サリーネが食べたスライムはブルーベリーと涙の入り混じった味となった。
4体全てを食べ終えたハジメ達に変化が訪れたのはすぐだった、ハジメはまず能力として【鑑定眼】を手に入れた。そして4人が揃って手に入れたのはマミースライムの元となった子供達の記憶の欠片だった、その記憶から子供達の一部が組織の首領らしき男に連れられて洞窟の奥に逃げていった事が分かった。
「セシリア達にも見えた?」
「ええ、はっきりと」
「組織の施設が他には無い事も分かりましたが、この組織の連中は人を何だと思っていたのでしょうか!?」
「子供を家畜や実験動物の様に扱って、もし自分の子が同じ目に遭ったとしたらどう感じたのでしょうね?」
ミリンダは改めて自分を暗殺者に仕立て上げた組織に対する怒りを覚えた、だがその怒りをぶつける相手は既にこの世には居ない・・・。
「行こう、洞窟の奥に首領とやらに連れて行かれた子供達の亡骸が残っているかもしれない。でも油断は禁物だ、さっきのスライムみたいに突然変異したモンスターが居る可能性も捨てきれないからな」
ハジメ達は念の為、施設内の残った部屋の捜索を行った。すると国王のジェラールがこの組織に出資していた証拠の数々が出てきた。
「国王がこの組織のスポンサーになって、幼い子供の誘拐にも協力していたとは・・・」
「相応の報いを後でくれてやるさ、だが今は洞窟の奥に有る秘宝の回収が先だ」
「何故ハジメはそんなに秘宝を回収するのを急いでいるのですか?」
セシリアの質問に歩きながらハジメは答えた。
「実は昨晩墓地でアルラウネっていうモンスターと会って、組織の薬物を使った人体実験で殺されマミーとなってしまった女の子を紹介された。その子にはまだ自我も有った、そしてこの洞窟の奥に眠っている秘宝を使えば甦らせる事が出来ると教わったんだ」
「では、まだ私達の手で救い出せる子供が1人だけですが残っているという事ですね?」
「ああ、そういう事になる。ただし、その子が死んだ日から1年を過ぎてしまうと甦らせる機会は2度と訪れない。だから急いでいるんだ」
「では早く進みましょう、絶対に間に合わせてみせます」
4人は歩を早めて、洞窟の奥を目指した。途中で空腹を覚えれば見つけたパープルバットやパープルスライムを食料代わりにする。そして洞窟に入ってから5時間近く過ぎた頃、ようやくハジメ達は洞窟の最奥の広場に到着した。だが、ここで待ち受けていたモンスターは常軌を逸していた。
『グギガガギゲゴ・・・』
声にならない音を出しながらジロリとハジメ達に目を向ける醜い男の顔を持つ象の胴体の左右には、4つずつ泣いている子供達の顔が浮かび上がっている。
(こいつは恐らく、組織の首領と連れてこられた子供達を1度に食べてしまったんだ。それが原因でこんな姿に!?)
あまりにもおぞましい姿にハジメ達が恐怖を覚えていると男の首が曲がり始めた、限界を超えても曲がる首からはボキボキと骨が砕ける音が聞こえる。そして首が捻じ切れる直前、男は口から舌を出すと涎を垂れ流しながらサリーネに目を向けた。
『アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!』
次の瞬間、男の首が大砲の砲弾の様に撃ち出された!真っ直ぐにサリーネ目がけて飛んでいく元人間だった男の歯がサリーネの喉を食い破ろうとしていた・・・。
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