旧約 俺の元カノが義姉に、今カノが義妹になって、家も学校も・・・(完全版)

三毛猫 ポチ

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重圧(プレッシャー)

第91話 お嬢様の面目躍如(?)

 俺は2年A組へ行ったけど、既に登校していた連中は全員がビクビクしていた。
 その理由は容易に想像できると思うけど、藍が『女王様モード』全開で登校してくると思って、誰もがビビっていたのだ。
 女王様親衛隊長の本多は完全に逃げ腰だったし、姫様ファンクラブ会長の山羽に至っては「唯さんまで不機嫌だった時には、拓真に責任を取ってもらうぞ!』と俺に責任転嫁を予告する始末だった。高坂さんは口では「今になってバタバタしても仕方ないでしょ?」とか言ってたけど、手のひらが汗だらけになってたのを俺はハッキリ見てます。

 でも、藍も唯も普段通りに登校してきたから、全員が唖然としていたほどだ。
 ただし・・・俺を完全にシカトしている!その二人に前後を挟まれた俺は縮こまっているしかなく、俺に声を掛けてくれるのは隣の高坂さんだけだったけど、高坂さんだって藍の目を気にしているのだから、言葉を選んでるとしか思えなかったほどだ。

 そんな地獄のような(?)午前中が終わり、昼休み・・・

 いつも通り、俺は食堂へ行ったが・・・

 どういう訳か知りませんけど、藍と唯が俺とテーブルを一緒にしてません!
 しかも絢瀬先輩の隣のテーブルに座るって、何を考えてるんですかあ!!ついでに言えば、先輩まで唯たちと同じテーブルに座ってます、ハイ。
 当然だけど周囲が完全にビビっていて、この2つのテーブルの周りは、誰もが藍と唯の姿を直接見ないよう背中を向けて座っていて、ピーンと張りつめた空気が漂っていたを感じたのは、俺だけじゃあないです!
 絢瀬先輩は隣のテーブルに藍と唯が座っても、いつも通り優雅(?)に南野先輩と食事をしてるけど、心なしか南野先輩が額に汗をかきながら唯たちの視線に耐えているようにも感じたのは、俺だけでしょうか・・・
 で、俺はというと・・・
 小野寺と茜さんが俺の隣にいるのはいつも通りだけど、このまま3人で食べようとしたら「ここ、空いてますか?」という声と共に、返事も聞かずに俺の正面にドーンと座った人物がいた!

 その人物とは・・・琴木さんだあ!

「・・・いやー、今日はー、拓真先輩と一緒に食事が出来て光栄ですー」
 そう言って琴木さんはニコニコ顔でB定食を食べてるけど、その食事の仕方全国に名を知られた秋華堂の会長の孫娘だけあって優雅だ。でも、先輩が酷すぎるから、その対極にある琴木さんが優雅に思えるのは間違いないけど、絢瀬先輩に比べたら見劣りするなあ・・・
「・・・はいはい、そりゃどーも」
「拓真せんぱーい、折角わたしが一緒にお食事をのにー、その態度は無いと思いますよー」
「はいはい、すみませんでした!どうも琴木さんが正面だと、調子が全然上がらなくてさあ」
「あー、それ、ひっどーい!わたしがノホホンとしてるとでも言いたいのですかあ、ぷんぷーん!」
「琴木さーん、その間延びした言い方が既にノホホンなんですー」
「そんな事は全然ないですよー。これが無くなったらー、琴木紬という存在を否定する事になりますよお」
「どこがですか!!」
「琴木紬の琴木紬たる由縁ですからあ」
「はあああーーー・・・」
「それともー、『俺の正面に座っていいのは絵里華だけだ』とか言いたいんですかねえ」
「勘弁してよお」
「またまたあ、照れなくてもいいですよお。あー、そうだー、先に予約しておきますけどお、結婚式の引き出物には秋華堂の最高級和菓子の詰め合わせをお願いしまーす」
「勝手に話を進めないで下さい!」
「あー、そうそう、もし絢瀬先輩と喧嘩したらあ、いつでもわたしに声を掛けてくださいねえ。琴木家は絢瀬家にも顔が効くから、いつでも仲裁に乗り出しますよお。それにー、もし絢瀬先輩と別れるとか言い出すようならー、次はわたしが予約してますからあ、他の人はダメですよお」
「どうして俺が琴木さんに乗り換える事になってるんですかあ!」
「だってー、藍先輩と唯先輩はー、拓真先輩のですからあ、絢瀬先輩と別れたらー、もう選択肢はわたしだけになるからですよお」
「勝手に選択肢を1つだけにしないで下さい!」
「照れなくてもいいですよお」
「だー!ホントに勘弁して下さーい!!」
 はあああーーー・・・色々な意味でのお嬢様の相手をするのはホントに疲れるぞ!ったくー。しかも小野寺も茜さんも笑いを堪えるのに必死で、全然お弁当に手を付けてない!ホントにどうしようもないお嬢様としか言いようがなーい!!!
「・・・まあ、拓真先輩のカノジョさんが絢瀬先輩であってもなくてもー、わたしは同好会のマネージャーを全然文句を言う気はないですよー」
「はいはい、マネージャーになってるから、今後も続けさえてもらいまーす」
「拓真せんぱーい、全然元気がないですよー」
「はいはい、どうせ俺は元気が無いですよ」
「だいたいー、拓真先輩の正面にはいっつも唯先輩が座るというのが、そもそもおかしいんですよー。同好会の時だってー、わたしが知ってる限り、唯先輩が6割で藍先輩が2割でー、わたしを含めた他の人が2割ですよー。これって、意図してやってるとしか思えませーん」
「そんな事を言われたってさあ」
「あー、そうだー、この際だからあ、正面は唯先輩か藍先輩に譲るとしてー、拓真先輩の右隣は明日からー、このわたし限定という事でお願いしまーす」
「勝手に決めないで下さいよお」
「照れなくてもいいですよお」
「照れてなんかいません!」
「今のうちにわたしにコネを作っておけばー、絢瀬先輩と別れた時に絶対に役に立ちますよー。それ以外でもー、もし就職先に困ったら秋華堂で採用してあげますからー、ぜーったいにオトクですよー。なんならー、琴木家専属執事でもいいですしー、わたしの個人秘書でもいいですよー」
「琴木さんの個人秘書は勘弁してくださいよお、そのノホホン口調は疲れますからあ」
「そういう拓真先輩の口調が既にノホホンになってるって事はー、わたしの個人秘書になりたいって言ってると理解していいですねー」
「ノホホンじゃあなくてボヤキ節です!」
「照れなくてもいいですよお、なんならお爺ちゃんに頼んでー、秋華堂の役員秘書室に拓真先輩の枠を空けておきますからー。あー、そうそう、この際だから『平山拓真』改め『琴木拓真』になっても全然OKですよー」
「だあーーー!話が全然噛み合ってなーい!!」
「拓真せんぱーい、楽しそうですねえ」
「どこがだ!俺は疲れさせられただけで、ハッキリ言うけど迷惑です!」
「あらー、わたしは楽しんでますよお」
「駄目だこりゃあ・・・」

 はあああーーー・・・

 まさか昼休みにこれだけ疲れるとは、一体、誰が予想できたんだあ!?
 まさに軽音楽同好会随一のKYなお嬢様、琴木さんの面目躍如(?)といったところだあ!
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