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カラカラさん②
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「3階の廊下を歩いていると、背後からカラカラと音がする。
振り返ると何もいないが、歩き出せば再びカラカラと鳴り出し、音は階段にたどり着くまで付いてくる。
カラカラという音がするから、カラカラさん。
名付け親な中島君です。
彼は恐怖を和らげるために、コミカルなキャラクターの絵を描いて、カラカラさんのイメージを可愛らしくしてくれました。
それからは音が鳴っても、中島君のキャラクターを思い浮かべ、微笑ましい気分になりました。
音が鳴っている間、他の幽霊に遭遇したことはなかったので、奇妙な安心感さえありました。
あの日もカラカラと音が鳴り響きました。
ただ違ったのは、背後からではなく前から聞こえる。
それまでは付かず離れずの距離感だったものが、近づいてくる。
私はこれは普通ではないと思いました。
咄嗟に近くのトイレに逃げ込み、カラカラさんが通り過ぎることを祈りました。
カラカラとトイレ付近を通ったのが分かり、かなり音が遠くなったタイミングで廊下に出ました。
そこで私は月夜に照らされたカラカラさんの後ろ姿を見ました。
カラカラさんは骸骨でした。
骨だけとなった指にはたくさんの紐が繋がれている。
紐の先にあったのは、大量のしゃれこうべ。
それがぶつかると、カラカラと音が鳴っていました。
しゃれこうべの中に、別のものを見ました。
それはお腹が膨らんだ子供の霊でした。
(あの子は見たことがあるなあ)
などと私はやけに冷静でした。
子供の霊は紐でがっちりと結び付けられ、引きずられていました。
微かにズルズルと音がしていましたが、カラカラという音にかき消されておりました。
次にカラカラさんを見てしまった時、子供の霊はしゃれこうべの1つになっているのでしょう。
私はどこかで幽霊たちとの交流を楽しんでいたのでしょうね。
通過してから数分後、子供の霊にむごい仕打ちをするカラカラさんを心底恐れ始めました。
時折、私は夢を見ます。
夢の中で私はカラカラさんに引きずられているんですよ。
カラカラさんと顔を合わせたら、私もそうなっていたかもしれませんね。
中島君には本物のカラカラさんを見せたくないので、お祓いをお願いした次第です」
伊達浩史はこれからも警備員の仕事を続けるつもりだという。
真也は警備員のバイトに興味を持ったことがある。
「夜勤があるバイトは怖そうですね……。ティサは昼間で良かったー」
「霊の世界も弱肉強食なのさ。自分より強い者に吸収されるのは自然なことだよ。
ソイツが強大な力を持つ前に祓えたのは良かったけどねぇ。
共存共栄を掲げるのは、生きている人間だけだ」
ティサの外では中年男が女子大生に3万円を手渡している。
女がお金を受け取ると、2人は腕を組みどこかへと歩いて行った。
そんな人間の営みは露知らず、真也は洗い物に励むのであった。
ゴチソウサマ、ゴチソウサマ。
振り返ると何もいないが、歩き出せば再びカラカラと鳴り出し、音は階段にたどり着くまで付いてくる。
カラカラという音がするから、カラカラさん。
名付け親な中島君です。
彼は恐怖を和らげるために、コミカルなキャラクターの絵を描いて、カラカラさんのイメージを可愛らしくしてくれました。
それからは音が鳴っても、中島君のキャラクターを思い浮かべ、微笑ましい気分になりました。
音が鳴っている間、他の幽霊に遭遇したことはなかったので、奇妙な安心感さえありました。
あの日もカラカラと音が鳴り響きました。
ただ違ったのは、背後からではなく前から聞こえる。
それまでは付かず離れずの距離感だったものが、近づいてくる。
私はこれは普通ではないと思いました。
咄嗟に近くのトイレに逃げ込み、カラカラさんが通り過ぎることを祈りました。
カラカラとトイレ付近を通ったのが分かり、かなり音が遠くなったタイミングで廊下に出ました。
そこで私は月夜に照らされたカラカラさんの後ろ姿を見ました。
カラカラさんは骸骨でした。
骨だけとなった指にはたくさんの紐が繋がれている。
紐の先にあったのは、大量のしゃれこうべ。
それがぶつかると、カラカラと音が鳴っていました。
しゃれこうべの中に、別のものを見ました。
それはお腹が膨らんだ子供の霊でした。
(あの子は見たことがあるなあ)
などと私はやけに冷静でした。
子供の霊は紐でがっちりと結び付けられ、引きずられていました。
微かにズルズルと音がしていましたが、カラカラという音にかき消されておりました。
次にカラカラさんを見てしまった時、子供の霊はしゃれこうべの1つになっているのでしょう。
私はどこかで幽霊たちとの交流を楽しんでいたのでしょうね。
通過してから数分後、子供の霊にむごい仕打ちをするカラカラさんを心底恐れ始めました。
時折、私は夢を見ます。
夢の中で私はカラカラさんに引きずられているんですよ。
カラカラさんと顔を合わせたら、私もそうなっていたかもしれませんね。
中島君には本物のカラカラさんを見せたくないので、お祓いをお願いした次第です」
伊達浩史はこれからも警備員の仕事を続けるつもりだという。
真也は警備員のバイトに興味を持ったことがある。
「夜勤があるバイトは怖そうですね……。ティサは昼間で良かったー」
「霊の世界も弱肉強食なのさ。自分より強い者に吸収されるのは自然なことだよ。
ソイツが強大な力を持つ前に祓えたのは良かったけどねぇ。
共存共栄を掲げるのは、生きている人間だけだ」
ティサの外では中年男が女子大生に3万円を手渡している。
女がお金を受け取ると、2人は腕を組みどこかへと歩いて行った。
そんな人間の営みは露知らず、真也は洗い物に励むのであった。
ゴチソウサマ、ゴチソウサマ。
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