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怪しい者ではありません
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「これから屯所に行って今の話をして欲しいんだ」
今向かっているのは屯所らしい。
交番みたいなものだろうか。
「はい……。私も一刻も早くこの状況を解決したいので、できることは何でもします」
死んだにしろ生きているにしろ、こうして立っている以上、自分の居場所を見つける必要がある。
覚悟を決め、早足でオリヴァーの横まで歩みを進めた。
「この国は自警団によって規律が守られているんだ。その団長がリチャード。僕の幼馴染で昔から頼りになるリーダーだから、君のことも何か助けてくれるかも」
目的の屯所はすぐ近くにあり、歩き疲れる前に到着した。
私が想定していた街の小さな交番ではなく、堅牢で立派な建物だ。
屯所の周りには屈強な警備が配置され、洗練された軍服はまさに一国を守るに相応しい清潔感と威圧感がある。
オリヴァーが警備の1人に話しかける。
そのまま私たちは建物内へと通され、階段を上った先にある部屋の前に立った。
「リチャード! 少し相談したいことがあるんだ」
オリヴァーがノックをしながら親しげに語りかける。
「入れ」
少し冷徹な、しかし若々しさを感じる声で入室を許可した。
室内は組織のトップには似つかわしくない簡素な造りで、豪華な装飾品は見当たらない。
大量の書類が乗った机、椅子に座っているのが自警団長だろう。
側頭部は刈り上げられ、前髪はオールバックでまとめている。
グレーがかった青い瞳は鋭さを放っていた。
「リチャード、この女性はサクラ。研究所の花畑に座り込んでいたんだ。おかしなことにサクラの出身地やそれまでの出来事が、別の世界から来たみたいに噛み合わないんだ」
――それだ!
私が抱えていた違和感は、パラスリリーという国に対してではなくこの世界全てだ。
異世界に飛ばされるなど、ファンタジーの世界でしか聞いたことがない。
でも実際にそれが起こったのだ!
さて、どう説明しようか……。
「言語は僕たちと同じみたいだし、サクラは悪い人じゃないと思うんだ。君は人の本質を見極めるのが得意だろう?」
オリヴァーは少しからかうような口調でリチャードに言った。
「私はこの国の自警団長をしている。君がよそ者だからと不当に扱うことはない。まずは君が知りうる限りの情報が欲しい。何でもいいから話してくれ」
リチャードの言葉は端的で、ごまかしや虚飾など真実以外の要素は許されないと感じる。
「気付いたらこの国の花畑にいました。それまでは日本で会社員をしていて、過労で死んでしまったと思ったんです」
理解できないといった顔のリチャードをよそに私は続ける。
「これはあくまでも推測ですが、私はこの国がある世界とは別のところから来たのではないでしょうか。私がパラスリリーという国を知らないように、お二人も日本という国を聞いたことがないはずです」
「一体何の話をしているんだ」
リチャードは少し苛立っているようだが、この鋭い眼光を前に嘘を吐ける人間などそういないだろう。
私は怯むことなく冷静さを保つ。
「世界地図を見せてください。あと紙とペンも」
リチャードから渡された世界地図はやはり私が知っているものとは違った。
どうやらパラスリリーは周囲を海に囲まれた小さな島国らしい。
一通り世界地図を確認した後で、私が知っている世界地図を簡易的に描いた。
「これが私のいた世界です。ここが日本で、私は会社、えっと……所属する組織のために朝から晩まで働いていました」
リチャードは何か言いたげだったが黙っていた。
何の証拠もないのに信じろというほうがおかしいのは分かっている。
しかしありのままを話すしか私には方法がなかった。
「サクラはそこからどうやってパラスリリーに来たか分かる?」
私の話を理解できたかは別として、オリヴァーは猜疑心より好奇心が勝っていた。
「ここへ来るまでの道のりは分かりません。ただ真っ暗だった目の前が急に光に包まれたと思ったら、花畑にいたんです」
「その光は多分僕が見たのと一緒だね」
オリヴァーを天使だと勘違いしていたことを思い出し恥ずかしくなる。
「なぜここに来たのかさえ分かりませんが、私がいた世界では『異世界』という概念がありました。あくまでも創作の話でしたが、実際にあったと考えるのが一番しっくり来るんです」
突然リチャードに顔をじっと見られたかと思うと、脈絡のない単語を羅列し始めた。
「アボット伯爵、ロックウッド、ナイトリー卿、ランベルン社、アームステッド大将、ヌルツク蜂起、キャスル文書、ストワード=グレンダ戦争、マーミヤ朝、SGA、ブルック夫人、グルッグ大佐、沈黙の祭殿、インガー族、ロンペン=ヴァーズ条約、ロウソク革命、バーンズ教、カミール内戦、ファプタル王朝、エンレスキーの誇り、オーガスタ女王、スイレンのトゲ…………」
何を言っているのか分からずオリヴァーをちらりと見る。
険しい顔をしているオリヴァーにさらに慌ててしまう。
この呪文に何と返答したら良いのか……。
聞き覚えのない単語たちに目線をキョロキョロさせるしかない私にリチャードは言った。
「君は本当にこの国や周辺国のことを知らないようだな。私が今言ったのは全て偉人や存命中の重要人物、歴史的出来事だ。君が他国のスパイなのではないかと思ったが杞憂だった。本物の阿呆か、君の推測があながち間違いではないか……」
やや馬鹿にされた気もしたが、リチャードからの試練に合格したようだ。
「その『異世界』などと素っ頓狂な話を国の者たちに広めるわけにもいかないが、私は君が国に仇なす人間ではないと考えている。オリヴァー、サクラを研究所に置いてやってくれないか? この国で生活するための世話を頼む」
「もちろん任せてよ」
リチャードの提案を快諾するオリヴァーに、上っ面だけではない2人の関係性が伺える。
「ありがとうございます。こんな話を信じてもらえるとは思いませんでした。オリヴァーさん、しばらくお世話になります」
不審人物ではないと認められたことで、肩の力が抜け疲れがドッと押し寄せた。
その様子はますます私を凡庸な人間に見せ、室内は先ほどよりも軽やかな空気が流れている。
「サクラ、この国に住むならこいつに新しい服を買ってもらえ」
「面白い格好だよね。僕はそのままでもいいと思うよ?」
帰宅してすぐに倒れた私はスーツ姿だった。
「あっ、これは日本でスーツと呼ばれておりましてですね、仕事の時に必要と言いますか、あの、その、……だから、別に変な服じゃないんですぅ」
ゴニョゴニョと言い返すしかできない私を見て2人は笑った。
荒んでいた私の心がほっこりと温かくなる。
かくして私はオリヴァーの世話になりながら、この国の住人として暮らすこととなった。
今向かっているのは屯所らしい。
交番みたいなものだろうか。
「はい……。私も一刻も早くこの状況を解決したいので、できることは何でもします」
死んだにしろ生きているにしろ、こうして立っている以上、自分の居場所を見つける必要がある。
覚悟を決め、早足でオリヴァーの横まで歩みを進めた。
「この国は自警団によって規律が守られているんだ。その団長がリチャード。僕の幼馴染で昔から頼りになるリーダーだから、君のことも何か助けてくれるかも」
目的の屯所はすぐ近くにあり、歩き疲れる前に到着した。
私が想定していた街の小さな交番ではなく、堅牢で立派な建物だ。
屯所の周りには屈強な警備が配置され、洗練された軍服はまさに一国を守るに相応しい清潔感と威圧感がある。
オリヴァーが警備の1人に話しかける。
そのまま私たちは建物内へと通され、階段を上った先にある部屋の前に立った。
「リチャード! 少し相談したいことがあるんだ」
オリヴァーがノックをしながら親しげに語りかける。
「入れ」
少し冷徹な、しかし若々しさを感じる声で入室を許可した。
室内は組織のトップには似つかわしくない簡素な造りで、豪華な装飾品は見当たらない。
大量の書類が乗った机、椅子に座っているのが自警団長だろう。
側頭部は刈り上げられ、前髪はオールバックでまとめている。
グレーがかった青い瞳は鋭さを放っていた。
「リチャード、この女性はサクラ。研究所の花畑に座り込んでいたんだ。おかしなことにサクラの出身地やそれまでの出来事が、別の世界から来たみたいに噛み合わないんだ」
――それだ!
私が抱えていた違和感は、パラスリリーという国に対してではなくこの世界全てだ。
異世界に飛ばされるなど、ファンタジーの世界でしか聞いたことがない。
でも実際にそれが起こったのだ!
さて、どう説明しようか……。
「言語は僕たちと同じみたいだし、サクラは悪い人じゃないと思うんだ。君は人の本質を見極めるのが得意だろう?」
オリヴァーは少しからかうような口調でリチャードに言った。
「私はこの国の自警団長をしている。君がよそ者だからと不当に扱うことはない。まずは君が知りうる限りの情報が欲しい。何でもいいから話してくれ」
リチャードの言葉は端的で、ごまかしや虚飾など真実以外の要素は許されないと感じる。
「気付いたらこの国の花畑にいました。それまでは日本で会社員をしていて、過労で死んでしまったと思ったんです」
理解できないといった顔のリチャードをよそに私は続ける。
「これはあくまでも推測ですが、私はこの国がある世界とは別のところから来たのではないでしょうか。私がパラスリリーという国を知らないように、お二人も日本という国を聞いたことがないはずです」
「一体何の話をしているんだ」
リチャードは少し苛立っているようだが、この鋭い眼光を前に嘘を吐ける人間などそういないだろう。
私は怯むことなく冷静さを保つ。
「世界地図を見せてください。あと紙とペンも」
リチャードから渡された世界地図はやはり私が知っているものとは違った。
どうやらパラスリリーは周囲を海に囲まれた小さな島国らしい。
一通り世界地図を確認した後で、私が知っている世界地図を簡易的に描いた。
「これが私のいた世界です。ここが日本で、私は会社、えっと……所属する組織のために朝から晩まで働いていました」
リチャードは何か言いたげだったが黙っていた。
何の証拠もないのに信じろというほうがおかしいのは分かっている。
しかしありのままを話すしか私には方法がなかった。
「サクラはそこからどうやってパラスリリーに来たか分かる?」
私の話を理解できたかは別として、オリヴァーは猜疑心より好奇心が勝っていた。
「ここへ来るまでの道のりは分かりません。ただ真っ暗だった目の前が急に光に包まれたと思ったら、花畑にいたんです」
「その光は多分僕が見たのと一緒だね」
オリヴァーを天使だと勘違いしていたことを思い出し恥ずかしくなる。
「なぜここに来たのかさえ分かりませんが、私がいた世界では『異世界』という概念がありました。あくまでも創作の話でしたが、実際にあったと考えるのが一番しっくり来るんです」
突然リチャードに顔をじっと見られたかと思うと、脈絡のない単語を羅列し始めた。
「アボット伯爵、ロックウッド、ナイトリー卿、ランベルン社、アームステッド大将、ヌルツク蜂起、キャスル文書、ストワード=グレンダ戦争、マーミヤ朝、SGA、ブルック夫人、グルッグ大佐、沈黙の祭殿、インガー族、ロンペン=ヴァーズ条約、ロウソク革命、バーンズ教、カミール内戦、ファプタル王朝、エンレスキーの誇り、オーガスタ女王、スイレンのトゲ…………」
何を言っているのか分からずオリヴァーをちらりと見る。
険しい顔をしているオリヴァーにさらに慌ててしまう。
この呪文に何と返答したら良いのか……。
聞き覚えのない単語たちに目線をキョロキョロさせるしかない私にリチャードは言った。
「君は本当にこの国や周辺国のことを知らないようだな。私が今言ったのは全て偉人や存命中の重要人物、歴史的出来事だ。君が他国のスパイなのではないかと思ったが杞憂だった。本物の阿呆か、君の推測があながち間違いではないか……」
やや馬鹿にされた気もしたが、リチャードからの試練に合格したようだ。
「その『異世界』などと素っ頓狂な話を国の者たちに広めるわけにもいかないが、私は君が国に仇なす人間ではないと考えている。オリヴァー、サクラを研究所に置いてやってくれないか? この国で生活するための世話を頼む」
「もちろん任せてよ」
リチャードの提案を快諾するオリヴァーに、上っ面だけではない2人の関係性が伺える。
「ありがとうございます。こんな話を信じてもらえるとは思いませんでした。オリヴァーさん、しばらくお世話になります」
不審人物ではないと認められたことで、肩の力が抜け疲れがドッと押し寄せた。
その様子はますます私を凡庸な人間に見せ、室内は先ほどよりも軽やかな空気が流れている。
「サクラ、この国に住むならこいつに新しい服を買ってもらえ」
「面白い格好だよね。僕はそのままでもいいと思うよ?」
帰宅してすぐに倒れた私はスーツ姿だった。
「あっ、これは日本でスーツと呼ばれておりましてですね、仕事の時に必要と言いますか、あの、その、……だから、別に変な服じゃないんですぅ」
ゴニョゴニョと言い返すしかできない私を見て2人は笑った。
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