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帰国
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パラスリリーに船着き場に到着したのは、人々が寝静まった夜だった。
商船は本来キャボット家が所有していたもので、貿易と関係のない私たちが乗っているのを誰かに見られると様々な疑念が生まれる。
こっそり出航したように、今回も夜中を狙ったのだった。
ただ違うのは海賊船グレイトグリムを引き連れていること。
むしろ引き連れられているのは商船の方で、商船が海賊に奪われたように見えるのではないだろうか。
(リチャードさんびっくりするだろうなぁ)
死神海賊団まで船着き場に行くことになったのは、もちろん任務の成功に欠かせない存在だったからだ。
そしてサイスはイワンの現上司リチャードに会ってみたいという願望を抱いていた。
「さぁ懐かしのふるさとに着いたぜェ」
船着き場でしばらく待っていると、リチャードとアリアがやって来た。
いつ私たちが帰って来ても良いように船着き場を見張っていた自警団員が、リチャードに報告したようだ。
なぜアリアがいるのか分からなかったが、久しぶりの再開に腕がはち切れんばかりの勢いで手を振った。
「おい! お前たちこれは一体どういうことだ!?」
予想通りリチャードは海賊も一緒だと気付いて警戒心を強める。
「サクラー! あんたたち捕まちゃったのー?」
イワンが状況説明のために素早く船を降りた。
「任務は無事完了したッス! ウォルトンは意思疎通が不可能な状態ッスが、生きてるッス。そしてこの方々は苦難を乗り越えてきた仲間ッス!」
オリヴァーと私も船を降り、久しぶりの陸の感触に足がぐらつく。
「やぁリチャード! ただいま。ハハッ僕がいない間苦労かけたね」
「サイスさんたちがいなかったら私たちマフィアに殺されてたかもしれません」
リチャードはオリヴァーを見るなり、思い出したような顔で詰め寄った。
「お前、いきなり出て行くとはッ! 残された俺たちのことも考えろ! お前の薬を欲しがってる人には誤魔化さなくてはならなかったし、薬を確保するのだって……」
説教が長くなったと察したリチャードは、コホンと咳払いをして仕切り直す。
「任務ご苦労。お前たちが無事に帰ってきてくれて何よりだ。そして」
サイスの顔を見て頭を下げた。
「あなた方のご助力に感謝する。先程の無礼な態度を許して欲しい。外貨はあまりないが、この国の香水を差し上げよう」
「ガーハッハッハ!」
人目を忍んでの帰国だというのに大きな声で笑うサイス。
私とオリヴァー、イワンは慌てて三者三様の身振り手振りで静かにするようにお願いする。
「あぁすまねぇ……。俺はあんたにお目にかかれて満足だ。礼はいらねぇ」
サイスは仲間にウォルトンを船に降ろすように指示した。
ウォルトンは鎮静剤の効果で、あの奇っ怪な行動が嘘のように眠っている。
「イワン、おめぇの新しい頭領はアイツに似た良い目をしている」
イワンは満面の笑みで自分が褒められたかのように喜んでいる。
「パラスリリーになくてならない団長ッス!」
当の本人リチャードは、会話の要領をつかめずにチラチラとイワンを見ていた。
「ドクターまで船に乗ってたなんて驚いたわ」
アリアが私のドレスに付いた土埃を払いながら言った。
「びっくりしたよね、ごめん。僕もサクラもちょっとはたくましくなったんじゃないかな」
「もぉ~調子が良いんだから! あたしも薬作ったり大変だったんだからね~」
アリアは私たちの帰りを心待ちにしていたのだろう。
今更ながら見送ってくれたアリアの言葉を思い出した。
「ごめんね、アリア。色々あってお土産買えなかった」
「うふふ。お土産なんていらないわ。それよりナリスバーグで何があったか話しなさいよ!」
アリアの目線はオリヴァーに向かい、私にニヤリと笑った。
話したいことはたくさんあるが、久しぶりの女子トークになりそうだ。
商船は本来キャボット家が所有していたもので、貿易と関係のない私たちが乗っているのを誰かに見られると様々な疑念が生まれる。
こっそり出航したように、今回も夜中を狙ったのだった。
ただ違うのは海賊船グレイトグリムを引き連れていること。
むしろ引き連れられているのは商船の方で、商船が海賊に奪われたように見えるのではないだろうか。
(リチャードさんびっくりするだろうなぁ)
死神海賊団まで船着き場に行くことになったのは、もちろん任務の成功に欠かせない存在だったからだ。
そしてサイスはイワンの現上司リチャードに会ってみたいという願望を抱いていた。
「さぁ懐かしのふるさとに着いたぜェ」
船着き場でしばらく待っていると、リチャードとアリアがやって来た。
いつ私たちが帰って来ても良いように船着き場を見張っていた自警団員が、リチャードに報告したようだ。
なぜアリアがいるのか分からなかったが、久しぶりの再開に腕がはち切れんばかりの勢いで手を振った。
「おい! お前たちこれは一体どういうことだ!?」
予想通りリチャードは海賊も一緒だと気付いて警戒心を強める。
「サクラー! あんたたち捕まちゃったのー?」
イワンが状況説明のために素早く船を降りた。
「任務は無事完了したッス! ウォルトンは意思疎通が不可能な状態ッスが、生きてるッス。そしてこの方々は苦難を乗り越えてきた仲間ッス!」
オリヴァーと私も船を降り、久しぶりの陸の感触に足がぐらつく。
「やぁリチャード! ただいま。ハハッ僕がいない間苦労かけたね」
「サイスさんたちがいなかったら私たちマフィアに殺されてたかもしれません」
リチャードはオリヴァーを見るなり、思い出したような顔で詰め寄った。
「お前、いきなり出て行くとはッ! 残された俺たちのことも考えろ! お前の薬を欲しがってる人には誤魔化さなくてはならなかったし、薬を確保するのだって……」
説教が長くなったと察したリチャードは、コホンと咳払いをして仕切り直す。
「任務ご苦労。お前たちが無事に帰ってきてくれて何よりだ。そして」
サイスの顔を見て頭を下げた。
「あなた方のご助力に感謝する。先程の無礼な態度を許して欲しい。外貨はあまりないが、この国の香水を差し上げよう」
「ガーハッハッハ!」
人目を忍んでの帰国だというのに大きな声で笑うサイス。
私とオリヴァー、イワンは慌てて三者三様の身振り手振りで静かにするようにお願いする。
「あぁすまねぇ……。俺はあんたにお目にかかれて満足だ。礼はいらねぇ」
サイスは仲間にウォルトンを船に降ろすように指示した。
ウォルトンは鎮静剤の効果で、あの奇っ怪な行動が嘘のように眠っている。
「イワン、おめぇの新しい頭領はアイツに似た良い目をしている」
イワンは満面の笑みで自分が褒められたかのように喜んでいる。
「パラスリリーになくてならない団長ッス!」
当の本人リチャードは、会話の要領をつかめずにチラチラとイワンを見ていた。
「ドクターまで船に乗ってたなんて驚いたわ」
アリアが私のドレスに付いた土埃を払いながら言った。
「びっくりしたよね、ごめん。僕もサクラもちょっとはたくましくなったんじゃないかな」
「もぉ~調子が良いんだから! あたしも薬作ったり大変だったんだからね~」
アリアは私たちの帰りを心待ちにしていたのだろう。
今更ながら見送ってくれたアリアの言葉を思い出した。
「ごめんね、アリア。色々あってお土産買えなかった」
「うふふ。お土産なんていらないわ。それよりナリスバーグで何があったか話しなさいよ!」
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