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それぞれの答え②
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サイスが作ったルールの1つは、「一般人を殺さない」ことだ。
悪の象徴「ケミエド」は全滅を免れなかったが、ナリスバーグで自動車の運転手や野次馬の群衆、宿屋の人々で怪我を負った者はいなかった。
軍に追われながらナリスバーグを出国した夜のこと。
「サイスさんたちだけ悪者にしちゃってすみません」
私たちも死神海賊団と行動を共にし、ウォルトンまで連れ去ったのだ。
しかしナリスバーグ政府や市民たちは、サイスたちの目立った悪行しか把握していない。
彼らの協力的な姿勢や器の大きさは知らされず、サイスの首にかかった賞金額だけが膨れ上がる。
イワンも同じ気持ちだったようで、私の謝罪が耳に入ると頭を下げた。
「軍に卑怯者扱いされた時は腹が立ったッス」
だが、サイスはしょんぼりした私たちを笑い飛ばした。
「ガーハッハッハー! 外野に惑わされるな若者たちよ!! こいつらが卑怯もんじゃねぇのは俺がよーく分かってる。恐れおののき軽蔑の目すら向ける弱者に危害を加えたヤツはこの中にいねぇ。俺のルールを守ればそれでいいんだ。誇らしいじゃねぇか!!」
サイスが誇らしげだったのは軍から逃げ切れただけではなかった。
仲間に対する信頼や愛情が感じられる。
「あっちの世界で悪名が轟くのは光栄なことだろう?」
サイスは気にするなと言わんばかりに和やかなムードを作ってくれるが、ある疑問が生じる。
「……でも商船を襲った時、私たちを殺そうとしてましたよね?」
あの絶体絶命の状況は今でも覚えている。
海賊でもなければ命が惜しくてしょうがない私たちは、確かに命の危機が目前に迫っていた。
「ガーハッハッハー! 俺たちは一流の海賊団だ。パラスリリーの商人だろうが、一生海に出られねぇくらい恐怖を周知させるのも仕事ってことだ!」
海賊として揺るがない信念を持つサイス。
そんな男が私たちに正義を問いかける。
「最後の最後まで貫き、冥土の土産に持っていくおめぇらの正義は何だ?」
命を天秤にかけても重い物は、きっとそれぞれ異なる形をしている。
死を覚悟した戦いを何度も乗り越えてきたサイスだからこそ、この命題はずっしりと重く響く。
日本でも異世界でも平和ボケが似合う私に、正義を語る資格があるのだろうか。
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イワンも同じ気持ちだったようで、私の謝罪が耳に入ると頭を下げた。
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だが、サイスはしょんぼりした私たちを笑い飛ばした。
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