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ずっと年次休暇をとっていなかった章は、土曜日と月曜日を休みにした。金曜日と月曜日には高校の授業があるため、土曜日の早朝に出発して凪の住んでいた街に行き、日曜日に凪の実家へ結婚の挨拶に行く予定だ。そして、一泊して月曜日に帰宅する。
章の父親が置いていったのは国産の高級ハイブリッドカーだった。章はまだ凪に触れることができない。助手席では手が届き緊張するため、凪は女性だと告白して以来後部座席に座ることにしていた。
「新婚旅行みたいだね」
凪が嬉しそうに笑う。仕事や高校が終わればまっすぐに帰ってくる章だが、住んでいるところが広すぎるせいもあり、べったりと一緒にいるわけではなかった。しかし、この三日間はずっと一緒にいることができる。それが凪を笑顔にしていた。
「籍を入れたら休みもらって新婚旅行へ行こう。凪と一緒ならホテルだって泊まることができるし。電車は難しいけど、車ならどこへでも行ける」
章は不意に女性と対応しなければならない場面に出くわすとパニックになってしまうので、仕事と高校以外ほとんど引きこもっている。凪と一緒ならば対処してくれると思うと心強い。
「章と二人で行けるのならば、どこでも楽しそう」
手を繋いで仲良くデートなんてことはできない。抱きしめてもらうことも無理だ。それでも凪は章と共にありたいと思う。章と一緒にいる空間はとても心地良い。
「今勤めている工場の社長は凪と同じなんだ。女に声をかけられてパニクっていた俺を助けてくれた。それで、女が怖いと知った社長が工場には男性ばかりだからと誘ってくれたんだ。事務のおばさんがいるけれど、気を使ってくれるし」
「良かったね」
「うん、これで自活できると思ったら本当に嬉しかった。あんまり学校へ行っていないと知ると、社長は夜学の工業高校を勧めてくれた。昔は働きながら通っている人が多かったって。機械科は男ばかりなので大丈夫だった。父より年上の人とかもいてとても楽しい」
「社長のこと信頼しているんだね」
「社長と出会っていなければ、俺は凪をつれて帰らなかった。社長に親切にされたから、こんな俺でも人の役に立てるかなと思ったんだ」
「その人、私の恩人でもあるのね。でもね、章なら社長に出会わなくても私を助けてくれたと思うの。章はとても優しい人だから」
章の耳が赤くなったのが後部座席にいる凪から見えた。
こんな何気ない会話に凪も章も幸せを感じていた。
章が運転する自動車は高速道路に乗って南に向かう。
サービスエリアで二回休憩し、昼は凪が作ってきたお弁当を車内で食べる。
「やはり凪の弁当は絶品だよな。工場でも高校でも皆に羨ましがられているんだ」
相変わらず幸せそうに食べる章を見て、自分を支配していた男に会う恐怖が少しは和らいだと凪は思った。
昼過ぎに高速道路を降りてしばらく走ると、小さなアパートに着いた。凪の住んでいるアパートだが、木下圭がいるかもしれないと思うと凪は緊張してしまう。そんな凪をバックミラー越しに見た章は抱きしめて落ち着かせてもやれないことが歯がゆい。
来客用と書かれた駐車場に車を停めて、二人は凪の部屋へと向かう。凪が玄関ドアを解錠し章がドアを開ける。玄関には男物の靴が置かれていた。
「凪! どこへ行っていた。お前がいないせいで俺は……」
玄関で物音がしたので凪が帰ってきたと思って中から怒鳴りながら出てきた圭は、自分を睨んでいる章を見て驚く。
無言で章が靴を脱いで上がると、外で待っていた凪が中を覗き込んだ。そして、圭を見つけると恐怖で動けなくなりその場で蹲ってしまう。殴られた記憶や体を蹂躙された記憶が蘇り、とても冷静ではいられない。
「凪、何している! 早く入ってこい」
圭は章を押しのけて凪を連れ込もうと玄関に降りた。怯える凪。
「それ以上凪に近付いたら殺すぞ」
章は凄みながら圭の手首を握って止める。章の握力に驚きながら圭が振り向く。
「何をするんだ!」
圭は章の手を振り払おうとするが、章の指の圧は増すばかりだ。章は軽々と圭を引っ張りながら奥へと連れ込んだ。
「凪、絶対にこいつを近寄らせないから、中へ入って来られるか? 女は怖いが殺してもいいような男相手なら俺は強いぞ。何ならこのまま骨を粉砕してもいいしな」
章が内容は物騒だが優しく凪に声をかけた。
凪は頷き玄関の中に入りドアを閉めた。章が側にいることがこれほど安心できるものかと凪は思った。
「何を言っているんだ。突然やってきて。警察に電話するぞ」
圭が掴まれていない方の手でスマホを取り出した。圭が画面ロックを外したのを確認して、章があっさりとそのスマホを取り上げる。
「凪の写真を撮ったりしていないだろうな」
章が画像を調べ始めた。もちろん圭の手首を拘束したままだ。
「ちょっと、人のスマホを見るなんて犯罪だぞ」
圭が喚きながら章からスマホを取り返そうとするが、身長差もあり簡単に手をはたき落とされてしまう。
険しい顔でスマホを見つめていた章の顔が赤くなる。それを見ていた凪も赤くなった。卑猥な凪の写真が表示されているのだと思うといたたまれない。
「もし凪の画像を流出なんかさせてみろ。お前を殺してやる」
圭を追い詰めるように章が笑う。
「そんなことできるはずない」
圭の声は弱々しい。
「俺は未成年だから、凪を殴ろうとした男を止めようとしたら力が入りすぎて殺してしまったとなっても、たいした罪にならない。いい弁護士もついているしな。あんたがどれだけ凪を虐待していたかという証言なんて、嫌というほど集めてくれるだろう。なんなら今から試してみるか?」
章の目は冗談を言っているようには見えない。圭は恐れて首を振り続けた。
「パソコンも見せろ」
圭を引きずるようにしてベッド脇の小さな座卓に置かれたパソコンの前に連れて行く。
「待ってくれ、卒論を書いている途中なんだ」
画面に表示された数式を見ていた章が、馬鹿にしたように圭を見た。
「この微分方程式間違っているぞ。これじゃ発散してしまって収束しない」
「未成年のお前にこの数式がわかるはずない。いい加減なことを言うな」
圭の言葉を無視して画面をスクロールさせながら論文を確認している章は、呆れ顔になってため息を付いている。
「日本の大学はこんな論文で卒業させるのか? せめて数式ぐらいちゃんと写せよ」
教科書を持ってきて数式と見比べていた圭は、数式が間違っていたことを確認して顔が青くなっている。
そんなやり取りを見ていた凪は、章が十六歳の時に飛び級で有名大学に入学したことを思い出していた。
卒論の間違いを見ただけで指摘され打ちのめされた圭は、手首の痛さと相まってその場にへたりこんでしまった。
そんな圭を足で踏みつけながら、パソコンの内部を調べていく章。凪の画像を一枚なりとも圭のもとに残しておくことはできない。
そんな時玄関のチャイムが鳴った。凪が玄関を開けると、五十過ぎの上品な男性が立っていた。
「私は弁護士の井上と申します。関根凪さんのお宅ですね」
名刺を凪に渡しながら井上弁護士は優しそうに微笑んだ。
「は、はい。関根凪です。よろしくお願いいたします」
「木下圭さんは関根凪さんを暴力でもって性的に虐待していたことは明らかです。警察に告発しますか?」
井上弁護士が凪にそう訊いた。
「待ってくれ。俺たちは同棲していて、凪だって了承していたんだ」
三畳しかない狭い台所の床に正座させられている圭が慌ててそう言った。圭の後ろには腕組みしていて仁王立ちしている章がいる。
「夫婦間でも暴行罪は成立します。もちろん同棲していても罪になりますよ。懲役はつかないかもしれませんが、大学は退学となるでしょう。もちろん、内定を出した企業も取り消すでしょうね」
井上弁護士は表情一つ変えずに告げた。
「あんな卒論しか書けないような大学生が中退となれば、これから苦労するだろうな」
圭の頭の上で章が言い放つ。圭には反論できなかった。大学を退学になれば就職するのは難しい。
凪に養ってもらっていたので、浮いた金で遊び回っていた圭は学業が疎かになっていた。
「あの、警察に訴えるつもりはありません」
辛い思い出ばかりだけど、それでもかつて愛した男だから人生を狂わしたいとまでは凪は思わない。
「そうですか。それでは民事で処理をしましょう。関根さんが支払った二年間の生活費は折半ということで、木下さんの負担分は八万円を二十四ヶ月で百九十二万円。凪さんが行った木下さんのための家事労働ですが、時給千五百円、一日三時間として計算しますと合計三百七十八万円。関根さんが受けた暴力の慰謝料は一千万円。合計しますと千五百七十万円ですね。月九万円の十五年払いでどうでしょう?」
まるで通販番組のように月払いを勧める井上弁護士。
「そ、そんな大金、払えない」
圭の顔は真っ青になった。
「就職をされるのでしょう。お支払いいただけない時は給料を差し押さえさせていただきます」
口角を上げる井上弁護士は、人の良い紳士から悪徳業者のような顔になった。
がっくりと肩を落とす圭。
「このアパートは引き払う。今すぐ出て行け。この部屋から持ち出すものは俺が全て検査する。スマホとパソコンはしばらく預かる。卒論はコピーしてやるから安心しろ。就職できなくなったら凪に慰謝料を払えないからな」
章はUSBメモリを取り出し卒論をコピーして圭に渡した。そして、圭の持ち物検査を始める。
「木下さんの実家にも連絡させていただいております。大学や就職に支障のないようにとお願いされていました。刑事告発をしない関根さんの優しさを知ればお喜びになるでしょう」
井上弁護士が呆然としている凪に微笑んだ。凪は圭との生活が全て終わったと安心した。
章の父親が置いていったのは国産の高級ハイブリッドカーだった。章はまだ凪に触れることができない。助手席では手が届き緊張するため、凪は女性だと告白して以来後部座席に座ることにしていた。
「新婚旅行みたいだね」
凪が嬉しそうに笑う。仕事や高校が終わればまっすぐに帰ってくる章だが、住んでいるところが広すぎるせいもあり、べったりと一緒にいるわけではなかった。しかし、この三日間はずっと一緒にいることができる。それが凪を笑顔にしていた。
「籍を入れたら休みもらって新婚旅行へ行こう。凪と一緒ならホテルだって泊まることができるし。電車は難しいけど、車ならどこへでも行ける」
章は不意に女性と対応しなければならない場面に出くわすとパニックになってしまうので、仕事と高校以外ほとんど引きこもっている。凪と一緒ならば対処してくれると思うと心強い。
「章と二人で行けるのならば、どこでも楽しそう」
手を繋いで仲良くデートなんてことはできない。抱きしめてもらうことも無理だ。それでも凪は章と共にありたいと思う。章と一緒にいる空間はとても心地良い。
「今勤めている工場の社長は凪と同じなんだ。女に声をかけられてパニクっていた俺を助けてくれた。それで、女が怖いと知った社長が工場には男性ばかりだからと誘ってくれたんだ。事務のおばさんがいるけれど、気を使ってくれるし」
「良かったね」
「うん、これで自活できると思ったら本当に嬉しかった。あんまり学校へ行っていないと知ると、社長は夜学の工業高校を勧めてくれた。昔は働きながら通っている人が多かったって。機械科は男ばかりなので大丈夫だった。父より年上の人とかもいてとても楽しい」
「社長のこと信頼しているんだね」
「社長と出会っていなければ、俺は凪をつれて帰らなかった。社長に親切にされたから、こんな俺でも人の役に立てるかなと思ったんだ」
「その人、私の恩人でもあるのね。でもね、章なら社長に出会わなくても私を助けてくれたと思うの。章はとても優しい人だから」
章の耳が赤くなったのが後部座席にいる凪から見えた。
こんな何気ない会話に凪も章も幸せを感じていた。
章が運転する自動車は高速道路に乗って南に向かう。
サービスエリアで二回休憩し、昼は凪が作ってきたお弁当を車内で食べる。
「やはり凪の弁当は絶品だよな。工場でも高校でも皆に羨ましがられているんだ」
相変わらず幸せそうに食べる章を見て、自分を支配していた男に会う恐怖が少しは和らいだと凪は思った。
昼過ぎに高速道路を降りてしばらく走ると、小さなアパートに着いた。凪の住んでいるアパートだが、木下圭がいるかもしれないと思うと凪は緊張してしまう。そんな凪をバックミラー越しに見た章は抱きしめて落ち着かせてもやれないことが歯がゆい。
来客用と書かれた駐車場に車を停めて、二人は凪の部屋へと向かう。凪が玄関ドアを解錠し章がドアを開ける。玄関には男物の靴が置かれていた。
「凪! どこへ行っていた。お前がいないせいで俺は……」
玄関で物音がしたので凪が帰ってきたと思って中から怒鳴りながら出てきた圭は、自分を睨んでいる章を見て驚く。
無言で章が靴を脱いで上がると、外で待っていた凪が中を覗き込んだ。そして、圭を見つけると恐怖で動けなくなりその場で蹲ってしまう。殴られた記憶や体を蹂躙された記憶が蘇り、とても冷静ではいられない。
「凪、何している! 早く入ってこい」
圭は章を押しのけて凪を連れ込もうと玄関に降りた。怯える凪。
「それ以上凪に近付いたら殺すぞ」
章は凄みながら圭の手首を握って止める。章の握力に驚きながら圭が振り向く。
「何をするんだ!」
圭は章の手を振り払おうとするが、章の指の圧は増すばかりだ。章は軽々と圭を引っ張りながら奥へと連れ込んだ。
「凪、絶対にこいつを近寄らせないから、中へ入って来られるか? 女は怖いが殺してもいいような男相手なら俺は強いぞ。何ならこのまま骨を粉砕してもいいしな」
章が内容は物騒だが優しく凪に声をかけた。
凪は頷き玄関の中に入りドアを閉めた。章が側にいることがこれほど安心できるものかと凪は思った。
「何を言っているんだ。突然やってきて。警察に電話するぞ」
圭が掴まれていない方の手でスマホを取り出した。圭が画面ロックを外したのを確認して、章があっさりとそのスマホを取り上げる。
「凪の写真を撮ったりしていないだろうな」
章が画像を調べ始めた。もちろん圭の手首を拘束したままだ。
「ちょっと、人のスマホを見るなんて犯罪だぞ」
圭が喚きながら章からスマホを取り返そうとするが、身長差もあり簡単に手をはたき落とされてしまう。
険しい顔でスマホを見つめていた章の顔が赤くなる。それを見ていた凪も赤くなった。卑猥な凪の写真が表示されているのだと思うといたたまれない。
「もし凪の画像を流出なんかさせてみろ。お前を殺してやる」
圭を追い詰めるように章が笑う。
「そんなことできるはずない」
圭の声は弱々しい。
「俺は未成年だから、凪を殴ろうとした男を止めようとしたら力が入りすぎて殺してしまったとなっても、たいした罪にならない。いい弁護士もついているしな。あんたがどれだけ凪を虐待していたかという証言なんて、嫌というほど集めてくれるだろう。なんなら今から試してみるか?」
章の目は冗談を言っているようには見えない。圭は恐れて首を振り続けた。
「パソコンも見せろ」
圭を引きずるようにしてベッド脇の小さな座卓に置かれたパソコンの前に連れて行く。
「待ってくれ、卒論を書いている途中なんだ」
画面に表示された数式を見ていた章が、馬鹿にしたように圭を見た。
「この微分方程式間違っているぞ。これじゃ発散してしまって収束しない」
「未成年のお前にこの数式がわかるはずない。いい加減なことを言うな」
圭の言葉を無視して画面をスクロールさせながら論文を確認している章は、呆れ顔になってため息を付いている。
「日本の大学はこんな論文で卒業させるのか? せめて数式ぐらいちゃんと写せよ」
教科書を持ってきて数式と見比べていた圭は、数式が間違っていたことを確認して顔が青くなっている。
そんなやり取りを見ていた凪は、章が十六歳の時に飛び級で有名大学に入学したことを思い出していた。
卒論の間違いを見ただけで指摘され打ちのめされた圭は、手首の痛さと相まってその場にへたりこんでしまった。
そんな圭を足で踏みつけながら、パソコンの内部を調べていく章。凪の画像を一枚なりとも圭のもとに残しておくことはできない。
そんな時玄関のチャイムが鳴った。凪が玄関を開けると、五十過ぎの上品な男性が立っていた。
「私は弁護士の井上と申します。関根凪さんのお宅ですね」
名刺を凪に渡しながら井上弁護士は優しそうに微笑んだ。
「は、はい。関根凪です。よろしくお願いいたします」
「木下圭さんは関根凪さんを暴力でもって性的に虐待していたことは明らかです。警察に告発しますか?」
井上弁護士が凪にそう訊いた。
「待ってくれ。俺たちは同棲していて、凪だって了承していたんだ」
三畳しかない狭い台所の床に正座させられている圭が慌ててそう言った。圭の後ろには腕組みしていて仁王立ちしている章がいる。
「夫婦間でも暴行罪は成立します。もちろん同棲していても罪になりますよ。懲役はつかないかもしれませんが、大学は退学となるでしょう。もちろん、内定を出した企業も取り消すでしょうね」
井上弁護士は表情一つ変えずに告げた。
「あんな卒論しか書けないような大学生が中退となれば、これから苦労するだろうな」
圭の頭の上で章が言い放つ。圭には反論できなかった。大学を退学になれば就職するのは難しい。
凪に養ってもらっていたので、浮いた金で遊び回っていた圭は学業が疎かになっていた。
「あの、警察に訴えるつもりはありません」
辛い思い出ばかりだけど、それでもかつて愛した男だから人生を狂わしたいとまでは凪は思わない。
「そうですか。それでは民事で処理をしましょう。関根さんが支払った二年間の生活費は折半ということで、木下さんの負担分は八万円を二十四ヶ月で百九十二万円。凪さんが行った木下さんのための家事労働ですが、時給千五百円、一日三時間として計算しますと合計三百七十八万円。関根さんが受けた暴力の慰謝料は一千万円。合計しますと千五百七十万円ですね。月九万円の十五年払いでどうでしょう?」
まるで通販番組のように月払いを勧める井上弁護士。
「そ、そんな大金、払えない」
圭の顔は真っ青になった。
「就職をされるのでしょう。お支払いいただけない時は給料を差し押さえさせていただきます」
口角を上げる井上弁護士は、人の良い紳士から悪徳業者のような顔になった。
がっくりと肩を落とす圭。
「このアパートは引き払う。今すぐ出て行け。この部屋から持ち出すものは俺が全て検査する。スマホとパソコンはしばらく預かる。卒論はコピーしてやるから安心しろ。就職できなくなったら凪に慰謝料を払えないからな」
章はUSBメモリを取り出し卒論をコピーして圭に渡した。そして、圭の持ち物検査を始める。
「木下さんの実家にも連絡させていただいております。大学や就職に支障のないようにとお願いされていました。刑事告発をしない関根さんの優しさを知ればお喜びになるでしょう」
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