【R18】嘘がバレたら別れが待っている

鈴元 香奈

文字の大きさ
15 / 44

SS:兄がやってきた1

しおりを挟む
 十二月に入り、街にはクリスマスソングが流れていた。夜になると大通りの街路樹がライトアップされて、リビングからの景色が一気に華やいだ。
 章が勤務する工場の景気が良くなり、給料は据え置きされたまま土曜日が休日となり週五日勤務と変わった。。

 初めての休日の土曜日は、朝から章と凪は仲良くドラックストアやスーパーに買い出しに出かけて、帰宅後凪が昼食に用意をしていた時、章の兄の尊がやってきた。

「相変わらず庶民の料理だな。章が甲斐性なしだから仕方がないが」
 尊は凪の作ったシギ焼き丼を見ながらそう言った。温泉卵が乗ったシギ焼き丼の横にはほうれん草のお浸しと大根と油あげの味噌汁が置かれている。
 尊は相変わらず章よりかなり少ない量のシギ焼き丼に納得行かない思いを抱えつつ、一人カウンターで食べることにした。
「すみません。鶏胸肉が一キロ三百九十八円だったもので。もも肉を使う方が美味しいのでしょうけど」
 申し訳なさそうに凪が尊に頭を下げた。
「嫌なら食わずに帰れ。俺が食うから。安い肉なら沢山食べることができて俺は嬉しい」
 章の丼にはこぼれそうなほどのシギ焼きが乗っている。それを幸せそうに眺めている章を見て、凪は嬉しそうに笑った。

「せっかくだから食うけどね」
 尊の声は嫌そうだけど、食べるスピードと笑顔がそれを裏切っていた。安いもも肉はしっかり味がついていて柔らかく、温泉卵を潰して絡めると絶品だった。タレのかかった御飯もおいしくて尊は章の大盛りの丼が羨ましくて仕方がない。しかし、とりあえず渋面を取り繕った。

「僕は会社を立ち上げた。もう親の脛かじりじゃない」
 尊が初めて章のところを訪れたのは凪が一人でいる夕方。凪が他の男と同棲していた年上の女だと知って、章が騙されているのではないかと思い、尊は凪を誘惑した。有名大学に通い容姿も家柄も申し分のない尊は、遊ぶ女を切らせたことがないほどモテる。章を騙そうと思っている女ならば、章より条件が良い自分が誘えばすぐに落ちると尊は思ったのだ。
 初めての女に裏切られることになる章は辛い思いをするだろうが、入れ込んでから騙されたとわかるよりはいいだろうと尊は考えてた。しかし、親の脛かじりの尊より、汗水垂らして工場で真面目に働いている章の方を尊敬すると凪は言った。そして、不幸だった章が幸せを手にしたことを知った。

 弟が不幸なのに自分がわがままを言ってはいけないと、流されるままに生きてきた尊は、これを機に独立を決意し、世界的に有名になりつつあるAIフレームワークを搭載したマイコンボード『コモンウルフ』の販売会社を立ち上げることにした。レンタルAIクラウドサーバも運営し、IOTの世界標準を視野に入れている。
 実はコモンウルフを設計したのは章だったが、凪は章が工員だと誤解しているので言い出せないでいる。
 凪はダメンズウォーカーで、章が高給取りだと知ったら他のダメ男のところへ行ってしまうと尊は章に忠告していた。コモンウルフの販売権を得る条件の一つに凪の前で章を馬鹿にするという項目があり、こうして尊がやってきているのだ。

 女に慣れていない章には、高給取りになってしまったら本当に凪が出ていってしまうのか判断付かなかったが、いなくなれば生きていけないほどに凪が大好きな章は、試してみるようなリスクをおかすことなどできないので、尊の言葉に従っていた。

「彼女もできたんだ。凪は知らないだろうけどかなり偏差値の高い国立の女子大の二年生。頭がいいのに胸も大きくて可愛いんだ」
「すいません、学歴もなくて」
 凪は本当に申し訳なさそうに謝った。
「俺は凪の胸が大好きだ! それに凪が世界で一番可愛い」
 章が思わず叫ぶ。小ぶりだが形の良い凪の胸に触れることができず、章はいつも悔しい思いをしていた。
「凪が謝ることはないよ。章なんてまだ高校生なんだから。凪は章に似合いだな。せいぜい仲良くするんだな」
 凪と似合いと言われて少し嬉しい章だった。



「ごめん、俺が情けないから凪まで酷いことを言われて」
 尊が帰り、少し落ち込んでいる凪を慰めようと章は声をかけた。本当は抱きしめたい。しかし、凪を傷付けるのが怖くて未だに手の届く範囲へと近付くことができない。
「章が悪いんじゃないわ。本当のことだもの。私は頭も良くなくて、胸だって小さいし、貧乏くさい料理しか作れない」
「違う! 凪はめちゃくちゃ美味い料理を作ることができるんだ。頭がいいに決まっている。スタイルだって完璧だし。凪は俺にはもったいないと思うけれど、俺は凪に捨てられたら生きていけないから。だから、ずっと一緒にいて欲しい。お願いだ。凪、愛している」
 それは章の本気の懇願だった。もう一人で生きていく術さえ思い出せない。もし凪に捨てられてしまったら、章は生きる意義を見出すことができないだろう。

「私も章が好き。ずっと側にいたい」
 凪もまた章を必要としていた。章から一途に自分を求めてもらえるのが何より嬉しいと感じる。前の同棲相手である圭との不幸な二年間で虐げられることに慣れていた凪は、章に必要とされることで心を癒やしていた。
 その意味では尊は正しかった。今の章だから凪が必要だと信じていられるから。


「俺は凪と触れ合いたい」
 演技だとわかっていても実の兄に馬鹿にされるのは辛い。章は凪に慰めてもらいたし、凪を慰めたいと思う。
「セックスしようか?」
 凪もまた章と慰め合いたかった。肌を重ねて章の温もりを感じたかった。
 凪の言葉を聞いて章が嬉しそうに頷いた。


 凪がロープを持ってリビングに行くと、章は快楽への期待に目を潤ませて待っていた。まるで従順な犬のような姿に、凪は一層章が愛しく思い、そして、少し嗜虐心を煽られた。

「服を脱いで全裸になって」
 いつもは上半身だけを脱がせて、凪がズボンと下着を下げていたが、大きなガラス窓から明るい日差しが入ってくる中で、章を裸にしてしまいたいと凪は思った。
 羞恥に頬を染めて、それでも章は服を脱いでいく。
 鍛え上げられた章の裸は、彫像のように美しいと凪は見惚れる。

「横になって」
 快楽へに期待のために章は凪の言葉に逆らうことができない。素直にラグの上に仰向けになった。
 凪が近付くと章の一物は可愛そうなほどに小さくなり陰毛に隠れてしまう。息があがり体が小刻みに震えだした。
 例えるならば、高所に設置された透明の強化プラスチックに踏み出すことに近いかもしれない。落ちることはないとわかっていても足がすくむ。章は凪を傷付けることはないとわかっているが、それでも凪の骨を折ってしまうのではないかと思うと、体も己自身も縮こまってしまう。

「大丈夫よ。章は私を傷付けたりしないから。安心して」
 凪は優しく声をかけながら素早く章の両手を頭の上で縛っていく。
 章の両手首に与えられる微かな痛みは、章の体に刻まれたセックスの快楽を呼び起こし、縮こまっていた男根は緩やかに勃ち上がっていった。
「縛られると興奮するの?」
 それは凪の純粋な疑問だった。凪も圭に縛られたこともあったが辛いだけだったからだ。しかし、こんな風に縛られなければセックスもできない不甲斐ない自分が責められているように章は感じた。

 凪は章を煽るようにゆっくりと服を脱いでいく。明るい昼間に見る凪の裸は輝くばかりに美しい。章は息を飲み、男根は一気に膨れ上がった。

「凪、俺に全部を見せて欲しい。俺の顔の上にまたがって」
 章は小さな報復のつもりでそう言った。凪の女性器を見たことはなかった章は、凪の全てを見たかったのは本心からだったが。
 凪は全身を朱に染める。凪が拒否すれば章に強制する手段はない。ただ凪の与える快楽を享受することしかできない。それでも、凪の全てを知りたいと思ってしまう。

 随分とためらった後、凪は章の顔の横に足を置き、立ったまま章の目に全てを晒した。まだ固く閉じだ凪の秘裂が章の目に飛び込んできた。あの中に自分のものが収まるのかと思うと本当に愛おしい。
「凪、座って」
 章がそう懇願すると、凪は両膝と両手を床に付けた。章の目に前には少し口を開いた女性器。あまりに恥ずかしい格好に凪の体は更に赤くなった。

「凪、綺麗だ」
 章はそう言うと、凪の秘裂に舌を這わせる。
「あ、あぁ」
 初めての刺激に凪は嬌声を漏らした。圭は凪に股間を見せながらの自慰を強要したことはあるが、凪に快楽を与えるようなことはしなかった。陰部を舐められたことも触られたこともない。凪にとってセックスとは男に奉仕することだった。
 しかし、章と体を重ねることで初めて喜びを得ることができた。そして、それが最大の快楽だと思っていた。
「凪にも感じてほしいから」
 初めて生で女性器を見た章が女に快楽を与えるようなテクニックを持つはずはない。凪の中に侵入していく舌の動きは拙い。
 それでも凪は初めての快感に翻弄されていく。

「これが愛液か。凄く濡れてきた」
 濃厚な牝の匂いが章の理性を奪っていく。
「は、恥ずかしい」
 凪の手足に力が入らなくなっていく。波のような快楽が押し寄せる。大きく息を繰り返しながら凪は快楽に耐えていた。
 章の唾液と凪の愛液が混じって章の頬を伝っていく。
 凪の嬌声と章の舌がが動く度にする水音が卑猥に響いていた。 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...