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6.緊急発進(カイオ視点)
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そんな馬鹿な。それが正直な感想だ。
魔物と戦うためには祝福された銀の武器が必須だ。俺たち竜騎士の主力武器は鏃が銀でできている矢である。その他に接近戦用の長剣を持つ。
それらを祝福してもらうためには、神殿に納めてから一ヶ月ほどかかると聞いていた。長期に渡って聖乙女たちが祈りを捧げ、少しづつ聖なる力を武器に込めてようやく祝福は完成するのだと。
事実、俺が竜騎士になった時に神殿へ持っていった三十本の矢と剣は、二十八日目にやっと戻ってきた。その時に祝福してくれたのはルシア一人だったので、他の竜騎士のものより俺の武器は明らかに性能がいい。歴代最高の聖乙女が新米の俺のために祈りを捧げてくれたと、当時の俺はとても感激したものだ。
俺は左手首につけた楕円形の認識票を見る。今までと変化はないように感じるが、ルシアは本当に聖なる力をこの認識票に込めたのだろうか? あんなにも簡単に。それともただの気休めなのか?
神殿の神官たちは聖なる力を見ることができるらしいが、俺にはそんな能力はないのでどちらとも判断がつかない。
辺りには竜の唸り声が鳴り響いている。うだうだ悩んでいる暇はない。俺はひたすら竜舎を目指し走った。
竜騎士が乗る十二頭の竜は、どれほど離れていてもお互いに意思の疎通ができる。それが聖獣とも呼ばれる竜の能力の一つだ。
十二人の竜騎士は常に二人一組で行動することになっている。国内上空を哨戒飛行していた第二班が魔物を発見、自分たちだけでは対処できない規模だと判断して、竜を通じて緊急発進の要請をしてきたのだ。
二人とも三十代という手練の第二班が対処できない事態ということは、かなりの数の魔物が侵犯してきたに違いない。
「あの史上最高の聖乙女と謳われたルシア様が本日神殿を出られたそうだ。この十数年は彼女のお陰で侵入してくる魔物の数も少なかったが、これからは過酷な戦いが俺たちを待っている。カイオ、気合を入れろ。そして、必ずこの地へ帰ってくるぞ」
竜舎へ向かう途中で竜騎士団の団長フェルナンと出会った。新米の俺は団長と組んで行動している。今年四十八歳になる団長だが衰えを一切感じさせず、瑠璃色の竜アウレリオを操る手捌きは惚れ惚れするほど格好良い。
「団長、了解しました」
俺は走りながら敬礼をした。
それにしても、ルシアが神殿を出てすぐに影響が出るなんて、やはりルシアはもの凄い聖乙女だったんだ。
竜舎前の広場には既にライムンドが竜舎より連れ出されていた。ライムンドは俺の顔を見ると唸るのを止め、俺を乗せるため背を水平近にするように屈む。
装備班の手によってライムンドに鞍と固定式の弓が既に取り付けられていた。矢筒に三十本の矢が入っている。
緊急発進の準備は完璧だ。
俺は身体強化を行い、地面を蹴って一気にライムンドの背に乗り、鞍に座ってベルトで体を固定した。
「第十二番竜ライムンド、緊急発進」
俺が大声でそう言うと、装備をつけるための梯子が外され、装備班が慌てて走り去る。
ライムンドが大きく羽ばたきふわっと浮上した。そして、急加速していく。
大空に舞い上がり十分な高度を確保すると、俺はライムンドを更に加速させた。他の八頭の竜も同じように加速している。本日第三班の二人は完全休養日であるのでこの作戦には参加していない。
徐々にライムンドを加速させてついに音速を突破した。ライムンドは殆ど三角形の板状になって飛行している。俺は身体強化を行い、周りの風を魔法で制御しながら、それでも受ける激しい衝撃波に身を屈めて耐えていた。
この状態で一時間ほど飛行すると、国の果てに着く予定だ。
国土の広さは聖乙女に依存している。
神殿に集められた聖乙女の聖なる力は、神官たちの魔法で国の果てまで送られ国を覆う膜を形成する。その膜で、外部の黒魔素を白魔素に変換して国内に供給するのが神官たちの役目だ。
聖乙女の能力を超えて範囲を広げすぎると膜の聖なる力が薄まり、魔物が国内へと侵入してしまう事態になる。聖なる力が魔物を構成する黒魔素を分解する速度より、魔物が黒魔素を生成する速さの方が勝ってしまうのだ。一旦魔物に侵入を許すと、膜の内部は聖なる力は弱まるので、魔物は人里までやってくる。それを未然に防ぐために魔物を狩るのが俺たち竜騎士の主な仕事だ。
国の最果では虹色に変化している光がカーテンのように国を覆っている。それは、黒魔素を分解して白魔素を生成する時に光を発するからだ。
そして、百匹ほどの鳥のような魔物がこちらに飛んできているのが目視できた。竜よりは小さいが、人の三倍は下らない大きさだ。速度は音速は出ていない。それでも、十分に速い。
魔物本体は黒魔素でできているので黒いが、表面の黒魔素が白魔素に変わっていくのできらきらと輝いている。その中にあって闇のように黒く見える部分が魔物の核だ。核の部分を矢で撃ち抜けば魔物は消滅する。
俺は緊急発信を過去四回経験しているが、これほど多くの魔物を一度に見たことはない。しかし、絶対に負けるわけにはいかない。
編隊飛行していた俺たちは速度を落として散開する。そして、立ち上がって弓に矢をつがえた。俺たちの使う弓は片手で操作できるようになっている特殊なボーガンだ。
魔物になるべく接近してから矢を射なければならない。矢の数は限られている。
魔物を引きつけるために速度を落とすと、俺の左手首が眩しいほどに輝きだす。
そして、いつもより楽に身体強化の魔法が展開できることに気がついた。
魔物からやってくる黒魔素を認識票に込められた聖なる力が白魔素へと変化させているに違いない。いつもは呼吸のための白魔素を確保しながら魔法を使用しなければならないが、今は無尽蔵に白魔素が使える状態だ。
俺はルシアの馬鹿げたほどの能力に笑うしかなかった。
俺たちの使う武器は聖なる力が漏れ出さないように神官によって覆いをされている状態なので、こんな現象は起きない。
魔法を連続で使っても息苦しくない。
身体強化も使い放題で自由に動くことができる。
白魔素を消費するライムンドの動きもきれがある。
弓の照準も合わせやすい。
俺たちは魔物がいるほど強くなれるんだ。
高速で八の字を描きながらライムンドが空を行く。俺は魔物が二匹重なった一瞬に弓を射る。二匹が同時に消えてなくなった。
ライムンドは楽しそうに一回転。今度も魔物を二匹やっつけた。
魔物と戦うためには祝福された銀の武器が必須だ。俺たち竜騎士の主力武器は鏃が銀でできている矢である。その他に接近戦用の長剣を持つ。
それらを祝福してもらうためには、神殿に納めてから一ヶ月ほどかかると聞いていた。長期に渡って聖乙女たちが祈りを捧げ、少しづつ聖なる力を武器に込めてようやく祝福は完成するのだと。
事実、俺が竜騎士になった時に神殿へ持っていった三十本の矢と剣は、二十八日目にやっと戻ってきた。その時に祝福してくれたのはルシア一人だったので、他の竜騎士のものより俺の武器は明らかに性能がいい。歴代最高の聖乙女が新米の俺のために祈りを捧げてくれたと、当時の俺はとても感激したものだ。
俺は左手首につけた楕円形の認識票を見る。今までと変化はないように感じるが、ルシアは本当に聖なる力をこの認識票に込めたのだろうか? あんなにも簡単に。それともただの気休めなのか?
神殿の神官たちは聖なる力を見ることができるらしいが、俺にはそんな能力はないのでどちらとも判断がつかない。
辺りには竜の唸り声が鳴り響いている。うだうだ悩んでいる暇はない。俺はひたすら竜舎を目指し走った。
竜騎士が乗る十二頭の竜は、どれほど離れていてもお互いに意思の疎通ができる。それが聖獣とも呼ばれる竜の能力の一つだ。
十二人の竜騎士は常に二人一組で行動することになっている。国内上空を哨戒飛行していた第二班が魔物を発見、自分たちだけでは対処できない規模だと判断して、竜を通じて緊急発進の要請をしてきたのだ。
二人とも三十代という手練の第二班が対処できない事態ということは、かなりの数の魔物が侵犯してきたに違いない。
「あの史上最高の聖乙女と謳われたルシア様が本日神殿を出られたそうだ。この十数年は彼女のお陰で侵入してくる魔物の数も少なかったが、これからは過酷な戦いが俺たちを待っている。カイオ、気合を入れろ。そして、必ずこの地へ帰ってくるぞ」
竜舎へ向かう途中で竜騎士団の団長フェルナンと出会った。新米の俺は団長と組んで行動している。今年四十八歳になる団長だが衰えを一切感じさせず、瑠璃色の竜アウレリオを操る手捌きは惚れ惚れするほど格好良い。
「団長、了解しました」
俺は走りながら敬礼をした。
それにしても、ルシアが神殿を出てすぐに影響が出るなんて、やはりルシアはもの凄い聖乙女だったんだ。
竜舎前の広場には既にライムンドが竜舎より連れ出されていた。ライムンドは俺の顔を見ると唸るのを止め、俺を乗せるため背を水平近にするように屈む。
装備班の手によってライムンドに鞍と固定式の弓が既に取り付けられていた。矢筒に三十本の矢が入っている。
緊急発進の準備は完璧だ。
俺は身体強化を行い、地面を蹴って一気にライムンドの背に乗り、鞍に座ってベルトで体を固定した。
「第十二番竜ライムンド、緊急発進」
俺が大声でそう言うと、装備をつけるための梯子が外され、装備班が慌てて走り去る。
ライムンドが大きく羽ばたきふわっと浮上した。そして、急加速していく。
大空に舞い上がり十分な高度を確保すると、俺はライムンドを更に加速させた。他の八頭の竜も同じように加速している。本日第三班の二人は完全休養日であるのでこの作戦には参加していない。
徐々にライムンドを加速させてついに音速を突破した。ライムンドは殆ど三角形の板状になって飛行している。俺は身体強化を行い、周りの風を魔法で制御しながら、それでも受ける激しい衝撃波に身を屈めて耐えていた。
この状態で一時間ほど飛行すると、国の果てに着く予定だ。
国土の広さは聖乙女に依存している。
神殿に集められた聖乙女の聖なる力は、神官たちの魔法で国の果てまで送られ国を覆う膜を形成する。その膜で、外部の黒魔素を白魔素に変換して国内に供給するのが神官たちの役目だ。
聖乙女の能力を超えて範囲を広げすぎると膜の聖なる力が薄まり、魔物が国内へと侵入してしまう事態になる。聖なる力が魔物を構成する黒魔素を分解する速度より、魔物が黒魔素を生成する速さの方が勝ってしまうのだ。一旦魔物に侵入を許すと、膜の内部は聖なる力は弱まるので、魔物は人里までやってくる。それを未然に防ぐために魔物を狩るのが俺たち竜騎士の主な仕事だ。
国の最果では虹色に変化している光がカーテンのように国を覆っている。それは、黒魔素を分解して白魔素を生成する時に光を発するからだ。
そして、百匹ほどの鳥のような魔物がこちらに飛んできているのが目視できた。竜よりは小さいが、人の三倍は下らない大きさだ。速度は音速は出ていない。それでも、十分に速い。
魔物本体は黒魔素でできているので黒いが、表面の黒魔素が白魔素に変わっていくのできらきらと輝いている。その中にあって闇のように黒く見える部分が魔物の核だ。核の部分を矢で撃ち抜けば魔物は消滅する。
俺は緊急発信を過去四回経験しているが、これほど多くの魔物を一度に見たことはない。しかし、絶対に負けるわけにはいかない。
編隊飛行していた俺たちは速度を落として散開する。そして、立ち上がって弓に矢をつがえた。俺たちの使う弓は片手で操作できるようになっている特殊なボーガンだ。
魔物になるべく接近してから矢を射なければならない。矢の数は限られている。
魔物を引きつけるために速度を落とすと、俺の左手首が眩しいほどに輝きだす。
そして、いつもより楽に身体強化の魔法が展開できることに気がついた。
魔物からやってくる黒魔素を認識票に込められた聖なる力が白魔素へと変化させているに違いない。いつもは呼吸のための白魔素を確保しながら魔法を使用しなければならないが、今は無尽蔵に白魔素が使える状態だ。
俺はルシアの馬鹿げたほどの能力に笑うしかなかった。
俺たちの使う武器は聖なる力が漏れ出さないように神官によって覆いをされている状態なので、こんな現象は起きない。
魔法を連続で使っても息苦しくない。
身体強化も使い放題で自由に動くことができる。
白魔素を消費するライムンドの動きもきれがある。
弓の照準も合わせやすい。
俺たちは魔物がいるほど強くなれるんだ。
高速で八の字を描きながらライムンドが空を行く。俺は魔物が二匹重なった一瞬に弓を射る。二匹が同時に消えてなくなった。
ライムンドは楽しそうに一回転。今度も魔物を二匹やっつけた。
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