9 / 39
9.帰ってきてくれてありがとう(ルシア視点)
しおりを挟む
「とにかく、腹減った」
カイオは何故か私の祝福は最高だと言い張り、彼の武器を雑に祝福してしまったことを謝ろうとした私と言い争いになっていたけれど、私を言い負かすことを諦めたのか、彼はぼろぼろの上着を脱いで疲れたように椅子に座り込んでそう言った。
カイオは今までこんなにぼろぼろになるほど魔物と激しく戦っていて、やっと帰ってきたのだった。私がするべきことは祝福のことを謝るより、まずは食事の用意だ。
「えっと、ゆで卵ぐらいなら作れると思うの。焜炉に火をつけてほしい。水もいるわ」
作ったことはないけれど、食べたことはある。お鍋に水と卵を入れて火にかければいいはず。
立ち上がったカイオがランプを持って台所へ向う。私も後に続いた。
台所の壁に固定されている二つのランプにカイオが火をつけると、辺りは昼のように明るくなった。
「焜炉に火をつけるのは魔法だが、水はレバーを何回か押していると水が出てくる方式で、魔力がなくても使えるようになっている。ほら」
カイオが水道のレバーを五回ぐらい押し下げると水が出てきた。しばらくすると止まる。
「凄い! 私もやってみる」
神殿の水道は栓を回すと水が出る方式だけど、この家の水道は違ったので魔力がなければ水が出せないと思っていた。
私はキコキコとレバーを押す。
「見て、見て! 水が出たわ」
「水が出るようになっているのだから当然だろう。鍋はあれを使え」
カイオが小さめの鍋を指差した。私はその鍋に二個の卵と水を入れて焜炉の上に置いた。するとカイオが焜炉に火をつけてくれる。
「これでゆで卵ができるはず」
わくわくしながら眺めていると、卵の殻にひびが入った。そして、中身が漏れ出てきている。これは止めなきゃ。
「熱!」
「馬鹿! 湯に指を突っ込んでどうする!」
カイオが慌てて私の手を掴んで鍋から出した。
「全く、何でそんなことをするんだよ。俺は癒し系の魔法は苦手なのに。とにかく先に魔法で冷やしてから、回復魔法をかけるからな」
カイオが私の人差し指を睨んでいる。ずきずきと熱くなっていた指先がすっと冷たくなった。そして、痛みが一瞬で消える。
「もう痛くないか?」
「うん、大丈夫」
カイオは苦手だと言ったけれど、指は全く痛くない。やはりカイオは凄い人だった。
「あんたは座っていろ。邪魔されるといつまでも食えなさそうだ」
カイオは私を横抱きにして食事室につれていき、強制的に椅子に座らせる。
そして、パンを盛ったかごをテーブルに置いて、陶器のコップに牛乳を入れた。私の分もちゃんとある。
「おとなしく待ってろな」
台所に消えたカイオは二個のゆで卵とちぎった野菜を持ってきた。
「卵、割れちゃったわね。不格好なゆで玉子になっちゃった」
「食ったら一緒だ。気にするな。ほれ、食うだけのパンを皿に取れ。魔法で温めてやるから」
カイオが牛乳の入ったコップを二つ並べて手をかざすと、コップから湯気が上がってくる。一つのコップを私の前に置いた。
私は小さめのパンをひとつだけ皿に取ると、それもカイオが温めてくれた。
塩味の柔らかいパンはとても美味しかった。牛乳は温かくて幸せな気分になる。
殻が割れて少し不格好になった卵だって、素朴で美味しい。
カイオはかなりの量のパンを取って魔法で温めていた。そして、豪快に食べ始める。
こんな遅い時間になったけれど、カイオの帰りを待っていて本当に良かったと思った。
「明日からは家政婦を雇う。一人で火は使うな」
凄い勢いで食べていたカイオが一息ついたのか、突然そんなことを言い出した。
「駄目よ。私は居候させてもらう代わりに、貴方の食事を作ることに決めたから」
だって、役立たずのままじゃ嫌だもの。
「はぁ? ゆで卵もろくに作れないのにか? 無謀にも程があるだろう」
「見てなさいよ。そのうち、私の作った食事が美味しすぎて、『ずっとこのまま食事を作ってください』と貴方は泣いて頼むようになるのよ」
「それは百年後か? 俺はそんなに生きられないぞ」
「そんなにかからないわよ。すぐにそうなるから。楽しみにしてなさい」
私だって百年も生きられないからね。
「まぁ、その挑戦受けてやってもいいけど、とりあえず家政婦には来てもらって料理を教えてもらえ。でないと、俺たちは飢え死しそうだ」
「わかったわ。私が家政婦さんから料理の技を盗み終わるまでお願いする」
やはり一人で料理の腕を磨くのは無理があるような気がしてきたので、不本意だけど家事の師匠として家政婦さんに来てもらうことにする。
「これで、明日からはまともな物を食えるな」
カイオは安心したように笑うと、殻をむいたゆで卵を二口で食べてしまった。そして、温めた牛乳を飲み終わると、疲れが一気に出たのか、眠そうにまぶたを閉じる。
カイオは自分の前にある皿とコップを脇にどけて、テーブルの上に頭を置いた。
しばらくすると小さな寝息が聞こえてくる。
「ちょっと、カイオ? こんなところで寝てしまっても、私には運べないから。ちゃんとベッドで寝て」
少し揺すってみたけれど、カイオは全く反応しない。カイオはとっても疲れて帰ってきたうえに、私が火傷をして苦手な魔法まで使わせてしまったから、彼の体力や魔力が底をついてしまったのだろう。
本当は部屋まで運べるといいのだろうけれど、大柄なカイオを持ち上げるなんてとても無理だった。
魔力のない私は本当に役立たずだ。でも落ち込んでいる訳にはいかない。
私は二階の自室から二枚の毛布を持ち出した。そして一枚の毛布をカイオにかける。もうひとつの毛布は私が座っていた椅子の背にかけておく。
パンのかごにふきんをかけて、使った食器を台所に運んだ。
神殿でも使った食器は自分たちで洗っていたので、食器洗いぐらいは私にもできる。
コップと皿がそれぞれ二つだけなので、洗い物はすぐに済んだ。ゆで卵に使った鍋はカイオが洗ってくれたらしい。
食事室に戻っても、カイオはぐっすりと寝ていた。
「帰ってきてくれて本当にありがとう。それに、火傷を治してくれて嬉しかった」
私はカイオの手を握りながら心を込めて礼を言う。もちろん返事はない。
私は椅子に座って毛布をかぶった。そして、カイオのようにテーブルの上に置いた腕を枕にして眠ることにした。
明日からも頑張ろうと誓いながら、私は眠りに落ちていく。
カイオは何故か私の祝福は最高だと言い張り、彼の武器を雑に祝福してしまったことを謝ろうとした私と言い争いになっていたけれど、私を言い負かすことを諦めたのか、彼はぼろぼろの上着を脱いで疲れたように椅子に座り込んでそう言った。
カイオは今までこんなにぼろぼろになるほど魔物と激しく戦っていて、やっと帰ってきたのだった。私がするべきことは祝福のことを謝るより、まずは食事の用意だ。
「えっと、ゆで卵ぐらいなら作れると思うの。焜炉に火をつけてほしい。水もいるわ」
作ったことはないけれど、食べたことはある。お鍋に水と卵を入れて火にかければいいはず。
立ち上がったカイオがランプを持って台所へ向う。私も後に続いた。
台所の壁に固定されている二つのランプにカイオが火をつけると、辺りは昼のように明るくなった。
「焜炉に火をつけるのは魔法だが、水はレバーを何回か押していると水が出てくる方式で、魔力がなくても使えるようになっている。ほら」
カイオが水道のレバーを五回ぐらい押し下げると水が出てきた。しばらくすると止まる。
「凄い! 私もやってみる」
神殿の水道は栓を回すと水が出る方式だけど、この家の水道は違ったので魔力がなければ水が出せないと思っていた。
私はキコキコとレバーを押す。
「見て、見て! 水が出たわ」
「水が出るようになっているのだから当然だろう。鍋はあれを使え」
カイオが小さめの鍋を指差した。私はその鍋に二個の卵と水を入れて焜炉の上に置いた。するとカイオが焜炉に火をつけてくれる。
「これでゆで卵ができるはず」
わくわくしながら眺めていると、卵の殻にひびが入った。そして、中身が漏れ出てきている。これは止めなきゃ。
「熱!」
「馬鹿! 湯に指を突っ込んでどうする!」
カイオが慌てて私の手を掴んで鍋から出した。
「全く、何でそんなことをするんだよ。俺は癒し系の魔法は苦手なのに。とにかく先に魔法で冷やしてから、回復魔法をかけるからな」
カイオが私の人差し指を睨んでいる。ずきずきと熱くなっていた指先がすっと冷たくなった。そして、痛みが一瞬で消える。
「もう痛くないか?」
「うん、大丈夫」
カイオは苦手だと言ったけれど、指は全く痛くない。やはりカイオは凄い人だった。
「あんたは座っていろ。邪魔されるといつまでも食えなさそうだ」
カイオは私を横抱きにして食事室につれていき、強制的に椅子に座らせる。
そして、パンを盛ったかごをテーブルに置いて、陶器のコップに牛乳を入れた。私の分もちゃんとある。
「おとなしく待ってろな」
台所に消えたカイオは二個のゆで卵とちぎった野菜を持ってきた。
「卵、割れちゃったわね。不格好なゆで玉子になっちゃった」
「食ったら一緒だ。気にするな。ほれ、食うだけのパンを皿に取れ。魔法で温めてやるから」
カイオが牛乳の入ったコップを二つ並べて手をかざすと、コップから湯気が上がってくる。一つのコップを私の前に置いた。
私は小さめのパンをひとつだけ皿に取ると、それもカイオが温めてくれた。
塩味の柔らかいパンはとても美味しかった。牛乳は温かくて幸せな気分になる。
殻が割れて少し不格好になった卵だって、素朴で美味しい。
カイオはかなりの量のパンを取って魔法で温めていた。そして、豪快に食べ始める。
こんな遅い時間になったけれど、カイオの帰りを待っていて本当に良かったと思った。
「明日からは家政婦を雇う。一人で火は使うな」
凄い勢いで食べていたカイオが一息ついたのか、突然そんなことを言い出した。
「駄目よ。私は居候させてもらう代わりに、貴方の食事を作ることに決めたから」
だって、役立たずのままじゃ嫌だもの。
「はぁ? ゆで卵もろくに作れないのにか? 無謀にも程があるだろう」
「見てなさいよ。そのうち、私の作った食事が美味しすぎて、『ずっとこのまま食事を作ってください』と貴方は泣いて頼むようになるのよ」
「それは百年後か? 俺はそんなに生きられないぞ」
「そんなにかからないわよ。すぐにそうなるから。楽しみにしてなさい」
私だって百年も生きられないからね。
「まぁ、その挑戦受けてやってもいいけど、とりあえず家政婦には来てもらって料理を教えてもらえ。でないと、俺たちは飢え死しそうだ」
「わかったわ。私が家政婦さんから料理の技を盗み終わるまでお願いする」
やはり一人で料理の腕を磨くのは無理があるような気がしてきたので、不本意だけど家事の師匠として家政婦さんに来てもらうことにする。
「これで、明日からはまともな物を食えるな」
カイオは安心したように笑うと、殻をむいたゆで卵を二口で食べてしまった。そして、温めた牛乳を飲み終わると、疲れが一気に出たのか、眠そうにまぶたを閉じる。
カイオは自分の前にある皿とコップを脇にどけて、テーブルの上に頭を置いた。
しばらくすると小さな寝息が聞こえてくる。
「ちょっと、カイオ? こんなところで寝てしまっても、私には運べないから。ちゃんとベッドで寝て」
少し揺すってみたけれど、カイオは全く反応しない。カイオはとっても疲れて帰ってきたうえに、私が火傷をして苦手な魔法まで使わせてしまったから、彼の体力や魔力が底をついてしまったのだろう。
本当は部屋まで運べるといいのだろうけれど、大柄なカイオを持ち上げるなんてとても無理だった。
魔力のない私は本当に役立たずだ。でも落ち込んでいる訳にはいかない。
私は二階の自室から二枚の毛布を持ち出した。そして一枚の毛布をカイオにかける。もうひとつの毛布は私が座っていた椅子の背にかけておく。
パンのかごにふきんをかけて、使った食器を台所に運んだ。
神殿でも使った食器は自分たちで洗っていたので、食器洗いぐらいは私にもできる。
コップと皿がそれぞれ二つだけなので、洗い物はすぐに済んだ。ゆで卵に使った鍋はカイオが洗ってくれたらしい。
食事室に戻っても、カイオはぐっすりと寝ていた。
「帰ってきてくれて本当にありがとう。それに、火傷を治してくれて嬉しかった」
私はカイオの手を握りながら心を込めて礼を言う。もちろん返事はない。
私は椅子に座って毛布をかぶった。そして、カイオのようにテーブルの上に置いた腕を枕にして眠ることにした。
明日からも頑張ろうと誓いながら、私は眠りに落ちていく。
14
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる