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SS:くるくる回るルシア(中堅女性神官視点)
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「ルシアさん、何をしているのですか!」
聖乙女としては神殿最年長のルシアだが、八歳から十五年間も聖乙女として祈るだけの生活をしてきたので、彼女は今でも少女のように無邪気だった。しかし、婚期を逃しそうになっている最近はかなりやさぐれているようで、神官長をはじめ、神殿の者たちは心配をしていた。それでも、国のためにルシアを神殿から解放できずにいる。
そんなルシアが、新しく竜騎士となった若きカイオが持参した三十本の矢を放射状に並べている。鏃《やじり》を中に向けた矢の中央には手を伸ばしたぐらいの径の円ができていた。その円の中にルシアが立っている。
「だって、普通に祝福してもつまらないもの。ちょっとぐらい楽しんで祝福したいわ」
聖乙女の祝福とは、銀でできた武器や装備に聖なる力を込めることである。魔物には魔法による攻撃も、通常の武器による攻撃も全く通用しない。聖乙女に祝福された武器のみが魔物を倒すことが出来るのだ。
「竜騎士がどれほど努力してきたか、貴女はご存知なのですか? この国の人々を守るという崇高な想いで長年の厳しい鍛錬に耐え抜き、命をかけて竜に挑み、そして、ようやく竜に認められた気高き方たちなのですよ。そして、聖乙女が祝福したものだけが彼らの武器となるのです。ぞんざいに扱っていい筈はありません」
「わかっているわ。だから、手なんか抜かない。でも、その竜騎士はまだ十九歳で、私とは違ってこれからの未来はとても明るいのよね。こんな気持で祝福するより、踊りながら楽しく祝福したほうがいいでしょう? 自棄になっているわけではないから」
そう言いながらルシアは無理に笑った。
私はくるくると回転しながら矢を祝福する彼女を止めることはできなかった。
ルシアの祝福は相変わらず見事だ。銀にこれほど聖なる力を込めることができる聖乙女は他にいないだろう。
他の聖乙女が祈ることにより放出できる聖なる力は糸のように細いが、ルシアは全身から聖なる力を放出する。例えるのならば大樹のようだ。そして、彼女の聖なる力を貯めておく容器もとてつもなく大きい。
本当に規格外の聖乙女であるが、その力は彼女を幸せにするどころか苦しめていた。
「神官長。新しく竜騎士になられたカイオ殿の武器の祝福が終了いたしました」
神官長の部屋を訪れた私はそう報告した。
「まだ、カイオ殿が神殿に来て二日しか経っていないぞ」
予想できていたこととはいえ、神官長もうろたえている。
「ルシアの祝福は初日に済み、今まで神官による魔法での保護を施しておりました」
神官の魔法は聖なる力を扱うことができる。魔物に触れた時のみ聖なる力を放出するように、銀の武器を魔法で覆うのだ。そうして効力を長引かせている。
「とりあえず、倉庫に一ヶ月近く保管しておこう。ルシア以外にこんな芸当ができる聖乙女はいないのだから、彼女がいなくなった後のことを考えると、竜騎士団に祝福は簡単だと思わるのは望ましくない」
それしかないだろうと私も思う。
「ルシアさんを神殿から解放することはできませんでしょうか?」
彼女は十分国のために働いた。もう自由になってもいいと思う。
「ルシアは未だに他の聖乙女より倍ほどの聖なる力を作り出す能力を有している。しかも、朝の聖なる力が弱い時間帯に一気に聖なる力を放出できるので、最果ての膜の維持への貢献度は計り知れない。今、神殿から彼女が抜けると非常に困るのだ。本当に申し訳ないと思うが、せめて他の聖乙女と同等ぐらいに力が落ちてくるまで、神殿に留まってもらいたい」
この世界は本当に残酷だ。聖乙女がいなければ、人も動物も息絶えてしまうのだから。
この国はたった三十人ほどの聖乙女が作り出す聖なる力で維持されている。彼女たちは精神を集中することで聖なる力を体外に放出できるが、ルシア以外の聖乙女は一度に放出できる量が限られているため、一日八時間ほど祈りに費やさなければならない。
聖なる力の膜の維持を担っている神官たちは、三交代の体制で二十四時間働いているが、幼い少女である聖乙女たちに夜の祈りをさせるのは非情すぎるので、祈りの時間は朝から夕方までと決められている。そのため、朝方になると聖なる力が少なくなってくるのだった。
ルシアは祈りの最初に夜に溜まった聖なる力を一気に放出するので、神官にとってこれほどありがたい存在はいない。
それにしても、聖乙女の日常は残酷までに変化がない。
嫉妬や物欲という世俗的な感情は祈りを妨げるので、聖乙女たちは男性の神官にも会わせず、私物も与えない。痛みや苦しみの感情も祈りの邪魔となるので、怪我をしそうなことや、疲れさせることもさせることができない。許されるのは文字や計算を習うことと、午後の散歩、限られた本を読むことぐらいだ。
淡々とした祈るだけの毎日を聖乙女たちはただ耐え忍ぶ。彼女たちの献身には本当に頭が下がる思いだ。
聖乙女たちの役割は国民全体が知っている。もちろん、彼女たち自身も理解しているからこそ、家族を含む国の人たちを守るため、彼女たちは祈るだけの生活に耐えていた。
そんな辛い毎日も、普通の聖乙女ならば五、六年で終わる。十六歳ぐらいで神殿を出た聖乙女は多額の報奨金を受け取ることになる。すぐに実家に帰る者もいれば、王都に残ることを希望する者もいるが、いずれにしても二年間ほどの花嫁修業を受けることができる仕組みが整っている。
数年間を清く正しく献身的に生きてきた元聖乙女は男性にとても人気があり、殆どの者が幸せな結婚をしていく。
少女時代を男性と会わずに過ごしたので、稀に男性恐怖症になる者もいるが、元聖乙女が未婚のまま生涯を過ごせる施設も充実している。
しかし、規格外なほど聖なる力に恵まれたルシアは、神殿の外に出ることも叶わず、十五年もただ耐え忍んできたのだ。彼女は幸せになることが出来るのだろうか?
武器を神殿に納めて二十八日後、再びカイオがやって来た。
「カイオ殿。貴方の武器は歴代最高の聖乙女と讃えられるルシア様が全て祝福いたしました。敬意をもって受け取るように」
そう言うと、まだ少年のように初々しい十九歳の竜騎士は、本当に嬉しそうに顔を上げた。そして、恭しく三十本の矢と剣を受け取る。
「自分のような新米の武器をルシア様に祝福していただき、本当にありがとうございます。どうか、竜騎士カイオがルシア様に最大の感謝を捧げていたとお伝え下さい」
竜騎士はその魂さえ自由といわれ、国王陛下であっても彼らに礼をとることを強制できない。彼らには国の法律さえ適応されない。神さえも彼らを縛ることはない。
竜を得る。そのことが彼らの全てを担保する。
そんな竜騎士がルシアに感謝を捧げた。
彼女が祝福した武器は必ずやこの若き竜騎士の助けとなるだろう。
聖乙女としては神殿最年長のルシアだが、八歳から十五年間も聖乙女として祈るだけの生活をしてきたので、彼女は今でも少女のように無邪気だった。しかし、婚期を逃しそうになっている最近はかなりやさぐれているようで、神官長をはじめ、神殿の者たちは心配をしていた。それでも、国のためにルシアを神殿から解放できずにいる。
そんなルシアが、新しく竜騎士となった若きカイオが持参した三十本の矢を放射状に並べている。鏃《やじり》を中に向けた矢の中央には手を伸ばしたぐらいの径の円ができていた。その円の中にルシアが立っている。
「だって、普通に祝福してもつまらないもの。ちょっとぐらい楽しんで祝福したいわ」
聖乙女の祝福とは、銀でできた武器や装備に聖なる力を込めることである。魔物には魔法による攻撃も、通常の武器による攻撃も全く通用しない。聖乙女に祝福された武器のみが魔物を倒すことが出来るのだ。
「竜騎士がどれほど努力してきたか、貴女はご存知なのですか? この国の人々を守るという崇高な想いで長年の厳しい鍛錬に耐え抜き、命をかけて竜に挑み、そして、ようやく竜に認められた気高き方たちなのですよ。そして、聖乙女が祝福したものだけが彼らの武器となるのです。ぞんざいに扱っていい筈はありません」
「わかっているわ。だから、手なんか抜かない。でも、その竜騎士はまだ十九歳で、私とは違ってこれからの未来はとても明るいのよね。こんな気持で祝福するより、踊りながら楽しく祝福したほうがいいでしょう? 自棄になっているわけではないから」
そう言いながらルシアは無理に笑った。
私はくるくると回転しながら矢を祝福する彼女を止めることはできなかった。
ルシアの祝福は相変わらず見事だ。銀にこれほど聖なる力を込めることができる聖乙女は他にいないだろう。
他の聖乙女が祈ることにより放出できる聖なる力は糸のように細いが、ルシアは全身から聖なる力を放出する。例えるのならば大樹のようだ。そして、彼女の聖なる力を貯めておく容器もとてつもなく大きい。
本当に規格外の聖乙女であるが、その力は彼女を幸せにするどころか苦しめていた。
「神官長。新しく竜騎士になられたカイオ殿の武器の祝福が終了いたしました」
神官長の部屋を訪れた私はそう報告した。
「まだ、カイオ殿が神殿に来て二日しか経っていないぞ」
予想できていたこととはいえ、神官長もうろたえている。
「ルシアの祝福は初日に済み、今まで神官による魔法での保護を施しておりました」
神官の魔法は聖なる力を扱うことができる。魔物に触れた時のみ聖なる力を放出するように、銀の武器を魔法で覆うのだ。そうして効力を長引かせている。
「とりあえず、倉庫に一ヶ月近く保管しておこう。ルシア以外にこんな芸当ができる聖乙女はいないのだから、彼女がいなくなった後のことを考えると、竜騎士団に祝福は簡単だと思わるのは望ましくない」
それしかないだろうと私も思う。
「ルシアさんを神殿から解放することはできませんでしょうか?」
彼女は十分国のために働いた。もう自由になってもいいと思う。
「ルシアは未だに他の聖乙女より倍ほどの聖なる力を作り出す能力を有している。しかも、朝の聖なる力が弱い時間帯に一気に聖なる力を放出できるので、最果ての膜の維持への貢献度は計り知れない。今、神殿から彼女が抜けると非常に困るのだ。本当に申し訳ないと思うが、せめて他の聖乙女と同等ぐらいに力が落ちてくるまで、神殿に留まってもらいたい」
この世界は本当に残酷だ。聖乙女がいなければ、人も動物も息絶えてしまうのだから。
この国はたった三十人ほどの聖乙女が作り出す聖なる力で維持されている。彼女たちは精神を集中することで聖なる力を体外に放出できるが、ルシア以外の聖乙女は一度に放出できる量が限られているため、一日八時間ほど祈りに費やさなければならない。
聖なる力の膜の維持を担っている神官たちは、三交代の体制で二十四時間働いているが、幼い少女である聖乙女たちに夜の祈りをさせるのは非情すぎるので、祈りの時間は朝から夕方までと決められている。そのため、朝方になると聖なる力が少なくなってくるのだった。
ルシアは祈りの最初に夜に溜まった聖なる力を一気に放出するので、神官にとってこれほどありがたい存在はいない。
それにしても、聖乙女の日常は残酷までに変化がない。
嫉妬や物欲という世俗的な感情は祈りを妨げるので、聖乙女たちは男性の神官にも会わせず、私物も与えない。痛みや苦しみの感情も祈りの邪魔となるので、怪我をしそうなことや、疲れさせることもさせることができない。許されるのは文字や計算を習うことと、午後の散歩、限られた本を読むことぐらいだ。
淡々とした祈るだけの毎日を聖乙女たちはただ耐え忍ぶ。彼女たちの献身には本当に頭が下がる思いだ。
聖乙女たちの役割は国民全体が知っている。もちろん、彼女たち自身も理解しているからこそ、家族を含む国の人たちを守るため、彼女たちは祈るだけの生活に耐えていた。
そんな辛い毎日も、普通の聖乙女ならば五、六年で終わる。十六歳ぐらいで神殿を出た聖乙女は多額の報奨金を受け取ることになる。すぐに実家に帰る者もいれば、王都に残ることを希望する者もいるが、いずれにしても二年間ほどの花嫁修業を受けることができる仕組みが整っている。
数年間を清く正しく献身的に生きてきた元聖乙女は男性にとても人気があり、殆どの者が幸せな結婚をしていく。
少女時代を男性と会わずに過ごしたので、稀に男性恐怖症になる者もいるが、元聖乙女が未婚のまま生涯を過ごせる施設も充実している。
しかし、規格外なほど聖なる力に恵まれたルシアは、神殿の外に出ることも叶わず、十五年もただ耐え忍んできたのだ。彼女は幸せになることが出来るのだろうか?
武器を神殿に納めて二十八日後、再びカイオがやって来た。
「カイオ殿。貴方の武器は歴代最高の聖乙女と讃えられるルシア様が全て祝福いたしました。敬意をもって受け取るように」
そう言うと、まだ少年のように初々しい十九歳の竜騎士は、本当に嬉しそうに顔を上げた。そして、恭しく三十本の矢と剣を受け取る。
「自分のような新米の武器をルシア様に祝福していただき、本当にありがとうございます。どうか、竜騎士カイオがルシア様に最大の感謝を捧げていたとお伝え下さい」
竜騎士はその魂さえ自由といわれ、国王陛下であっても彼らに礼をとることを強制できない。彼らには国の法律さえ適応されない。神さえも彼らを縛ることはない。
竜を得る。そのことが彼らの全てを担保する。
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