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SS:カイオの初めてのお仕事(竜騎士団団長視点)
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嬉しそうに武器を抱えて本部棟まで走ってくる、新しく竜騎士となったカイオの姿が窓から見えた。
「俺の武器は全てルシア様が祝福してくださった」
あまりに嬉しかったのか、カイオは魔法で声を飛ばしてくる。
カイオのその言葉に他の竜騎士が驚いた。
「何だと! それは反則だ」
「羨ましすぎる」
「カイオが若いからって、えこひいきじゃないですか?」
最近新調した俺たちの武器はルシア様が祝福してくださっているが、その性能は明らかに以前のものとは違う。私も二本の矢を新たに作ったが、その矢で射れば魔物の核を少し外しても魔物は消滅する。複数の魔物を一本の矢で仕留めることもできた。聖なる力の放出量が桁違いに多いに違いない。
カイオの全ての武器をルシア様が祝福したとなれば、皆が羨ましがるのも無理もない。
「こんなの理不尽だ。俺の武器はルシア様が祝福してくださらなかった」
カイオの次に若いジャイルはかなり落ち込んでいる。彼の武器はまだ初期装備のままだ。
「壊れたり聖なる力を使い果たしたりすれば、武器を新調してルシア様に祝福してもらえる。せいぜい頑張れ」
そうジャイルを励ますしかなかった。
翌日は快晴だった。ひよっこの初飛行としては上々だろう。
竜騎士が十二人になったので班替えを行い、カイオは私と組むことになった。
王都周辺での訓練飛行は経験してきたカイオだが、祝福された武器を持っての哨戒飛行は初めてだ。カイオは少し緊張しているようだった。
「ルシア様が聖乙女となられてから、魔物と出くわすことも少なくなった。気楽に長距離飛行を楽しめ」
「団長、わかっています」
その声はやはり硬い。
カイオは自身の竜ライムンドを見上げた。ライムンドは竜騎士団で一番大きな黒竜だ。それでも、筆頭竜は私の美しい瑠璃色の竜アウレリオだ。私もアウレリオを見上げる。
「筆頭竜の実力をひよっこたちに見せてやろうぜ」
アウレリオは咆哮で私の言葉に答えた。
私は身体強化を行い一気にアウレリオの背に乗る。カイオも同じようにライムンドに乗った。
「竜騎士団筆頭竜アウレリオ、発進」
俺の合図を受けてアウレリオは大きく羽ばたいた。
「第十二番竜ライムンド、発進」
カイオが声を張り上げると同じようにライムンドも羽ばたく。
二頭の竜は空に舞い上がった。アウレリオの美しい瑠璃色の鱗が太陽の光に輝いている。金属のような深い光沢を持つアウレリオは地上からでもよく目立ち、王都でも美しいと評判の竜だ。
しばらく飛行していると、ライムンドがアウレリオの前に出た。カイオは速度を出すのが楽しいらしい。やつらの初飛行だ。先頭は譲ってやろう。
「町や村から狼煙が上がっていないかよく見るんだ。信号の意味は覚えているな? 特に聖乙女が見つかった合図は見逃すなよ」
聖なる力を目視できる神官は、国内の町や村を巡回して聖乙女を探している。そして、聖乙女を発見すると狼煙を上げるのだ。発見される聖乙女は年に数人なので、それほど遭遇することはないが、聖乙女発見の狼煙が上がれば、順位の低い竜騎士が護衛としてその場所に留まることになる。
聖乙女が誕生するのは辺境の町や村の場合が多い。国の中央に位置する王都より辺境の方が黒魔素の濃度が高いせいだと言われている。聖乙女は魔物に襲われる危険が高く、他国の略奪も心配されるので、王都まで竜騎士が護衛することになる。今日聖乙女が発見されると、彼女の護衛はカイオだ。初任務のひよっこには荷が重いが、カイオも竜騎士である以上、任務を全うしなければならない。
光が目立つ夜と違い、昼間の狼煙は見逃しやすい。町や村の上空では視力を魔法で強化して目を凝らす。
「団長、狼煙です。聖乙女発見の知らせです」
カイオが魔法で声を届けてきた。遙か前方を見ると、確かに狼煙が見える。聖乙女発見の信号に間違いない。
起こってほしくないと思っていることほど、実現してしまうのはなぜなのだろうか?
「カイオ、ライムンドの高度を下げろ。村の近くに着陸だ」
私達は高度を下げて狼煙を上げている小さな村の近くに降り立とうとした。
「団長。あれは魔物ですよね。俺、初めて見ました」
興奮したようなカイオの声が届く。間の悪いことに飛行型の魔物まで現れた。その数は十匹ほど。
「カイオ、やつらを迎撃するぞ。聖乙女は絶対に守りきれ。だが、村に被害を出しては駄目だからな。ライムンドの高度に気をつけろ。あまり村に近づき過ぎると風圧で村が壊滅する」
「了解しました」
そう言うやいなや、ライムンドは魔物の群れの方へと突っ込んでいった。
「俺の武器は全てルシア様が祝福してくださった」
あまりに嬉しかったのか、カイオは魔法で声を飛ばしてくる。
カイオのその言葉に他の竜騎士が驚いた。
「何だと! それは反則だ」
「羨ましすぎる」
「カイオが若いからって、えこひいきじゃないですか?」
最近新調した俺たちの武器はルシア様が祝福してくださっているが、その性能は明らかに以前のものとは違う。私も二本の矢を新たに作ったが、その矢で射れば魔物の核を少し外しても魔物は消滅する。複数の魔物を一本の矢で仕留めることもできた。聖なる力の放出量が桁違いに多いに違いない。
カイオの全ての武器をルシア様が祝福したとなれば、皆が羨ましがるのも無理もない。
「こんなの理不尽だ。俺の武器はルシア様が祝福してくださらなかった」
カイオの次に若いジャイルはかなり落ち込んでいる。彼の武器はまだ初期装備のままだ。
「壊れたり聖なる力を使い果たしたりすれば、武器を新調してルシア様に祝福してもらえる。せいぜい頑張れ」
そうジャイルを励ますしかなかった。
翌日は快晴だった。ひよっこの初飛行としては上々だろう。
竜騎士が十二人になったので班替えを行い、カイオは私と組むことになった。
王都周辺での訓練飛行は経験してきたカイオだが、祝福された武器を持っての哨戒飛行は初めてだ。カイオは少し緊張しているようだった。
「ルシア様が聖乙女となられてから、魔物と出くわすことも少なくなった。気楽に長距離飛行を楽しめ」
「団長、わかっています」
その声はやはり硬い。
カイオは自身の竜ライムンドを見上げた。ライムンドは竜騎士団で一番大きな黒竜だ。それでも、筆頭竜は私の美しい瑠璃色の竜アウレリオだ。私もアウレリオを見上げる。
「筆頭竜の実力をひよっこたちに見せてやろうぜ」
アウレリオは咆哮で私の言葉に答えた。
私は身体強化を行い一気にアウレリオの背に乗る。カイオも同じようにライムンドに乗った。
「竜騎士団筆頭竜アウレリオ、発進」
俺の合図を受けてアウレリオは大きく羽ばたいた。
「第十二番竜ライムンド、発進」
カイオが声を張り上げると同じようにライムンドも羽ばたく。
二頭の竜は空に舞い上がった。アウレリオの美しい瑠璃色の鱗が太陽の光に輝いている。金属のような深い光沢を持つアウレリオは地上からでもよく目立ち、王都でも美しいと評判の竜だ。
しばらく飛行していると、ライムンドがアウレリオの前に出た。カイオは速度を出すのが楽しいらしい。やつらの初飛行だ。先頭は譲ってやろう。
「町や村から狼煙が上がっていないかよく見るんだ。信号の意味は覚えているな? 特に聖乙女が見つかった合図は見逃すなよ」
聖なる力を目視できる神官は、国内の町や村を巡回して聖乙女を探している。そして、聖乙女を発見すると狼煙を上げるのだ。発見される聖乙女は年に数人なので、それほど遭遇することはないが、聖乙女発見の狼煙が上がれば、順位の低い竜騎士が護衛としてその場所に留まることになる。
聖乙女が誕生するのは辺境の町や村の場合が多い。国の中央に位置する王都より辺境の方が黒魔素の濃度が高いせいだと言われている。聖乙女は魔物に襲われる危険が高く、他国の略奪も心配されるので、王都まで竜騎士が護衛することになる。今日聖乙女が発見されると、彼女の護衛はカイオだ。初任務のひよっこには荷が重いが、カイオも竜騎士である以上、任務を全うしなければならない。
光が目立つ夜と違い、昼間の狼煙は見逃しやすい。町や村の上空では視力を魔法で強化して目を凝らす。
「団長、狼煙です。聖乙女発見の知らせです」
カイオが魔法で声を届けてきた。遙か前方を見ると、確かに狼煙が見える。聖乙女発見の信号に間違いない。
起こってほしくないと思っていることほど、実現してしまうのはなぜなのだろうか?
「カイオ、ライムンドの高度を下げろ。村の近くに着陸だ」
私達は高度を下げて狼煙を上げている小さな村の近くに降り立とうとした。
「団長。あれは魔物ですよね。俺、初めて見ました」
興奮したようなカイオの声が届く。間の悪いことに飛行型の魔物まで現れた。その数は十匹ほど。
「カイオ、やつらを迎撃するぞ。聖乙女は絶対に守りきれ。だが、村に被害を出しては駄目だからな。ライムンドの高度に気をつけろ。あまり村に近づき過ぎると風圧で村が壊滅する」
「了解しました」
そう言うやいなや、ライムンドは魔物の群れの方へと突っ込んでいった。
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