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SS:竜を見送りに(中堅女性神官視点)
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「神官長、ここにおいででしたか?」
神殿の庭に出てみると、神官長が空を見上げながら佇んでいた。その目線の先から、桃色の花びらが一枚舞い落ちてくる。ルシアの結婚式の時に竜騎士が撒いた花びらと同じもののようだった。
「竜騎士団筆頭竜のアウレリオが今日竜の里へ帰るようです。この花びらはルシアの夫であるカイオ殿が撒いているのでしょう」
神官長は感慨深げにそう言った。私も空を見上げてみると、小さな花びらが落ちてきて私の掌に載った。
「竜騎士団長が引退されるのですね」
貴婦人と異名をとるほど美しいアウレリオは、長きに亘りこの国を守護してきた竜であり、国民からとても親しまれてきた。竜の土産物では未だに一番人気を誇っている。そんなアウレリオがこの国を去ることは、竜騎士団だけではなく、この国の人々にとってもとても寂しいことだった。
「アウレリオにお別れをしたいと思う。君も一緒に竜騎士団へ行きませんか?」
顔を上に向けたまま、神官長は飛び去って行く瑠璃色と黒の二頭の竜を目で追っていた。
神官長も私もかつて巡回神官を務めていたことがある。その当時、今や竜騎士団の団長となったフェルナンが駆るアウレリオに随分と助けられたものだ。
「私もご一緒させていただきます」
アウレリオが竜の里へと帰っていくのを近くで見送り、竜騎士団長に直接労いの言葉をかける機会が与えられるのは、とても喜ばしいことだと私は思った。
「アウレリオが哨戒飛行から帰還するのは夕方でしょうね。その前に竜騎士団へ出発しましょう。馬車を用意するように頼んでおいてもらえますか?」
竜騎士団と神殿は敷地を接している。そうはいっても、竜騎士団の敷地は広大なので、お互いの正門間の距離はそれほ近くない。徒歩ではかなり時間がかかってしまうだろう。
「かしこまりました」
私は神殿お抱えの馬丁に馬車の用意をしてもらうため、厩舎に方へ向かおうとした。
「ルシアにも会いたいと思っています。彼女を神殿に連れてきたのは私なのです。私は彼女が本当に幸せになっているのか確かめなければならない。ルシアが王都へ出発する日、彼女の弟がルシアにすがって泣いていました。彼にしてみれば、私は大事な姉を無理やり連れて行く悪魔のような男に見えたでしょうね」
神官長は後悔しているのかもしれない。ルシアを神殿に連れてきたこと。十六年も神殿に留め置いたこと。そして、年齢を重ねるルシアを、他の年若い聖乙女と同じ扱いにしたことを。
「私も神殿に入ったのは八歳でした」
聖なる力を持つ者は女性に限られているが、神官の力は男女ともに現れる。割合はやや男性が多いが、女性がそれほど少ないわけではない。しかし、聖なる力を持つ聖乙女が強制的に神殿に連れてこられるのとは違い、神官になるのは自由意思であるので、神官を志望する女性は男性より圧倒的に少なかった。
神官長以外の男性神官は聖乙女と顔を合わすことを許されていないので、聖乙女の体調の管理や祝福の立ち合い等は女性神官の仕事である。女性神官の需要は多いはずだが、女性の結婚年齢の低さを考えると、かなりの女性が二の足を踏む。我慢強くて無垢だと男性に人気がある聖乙女と違い、女性神官を妻にしたいと思う男性は多くない。ましてや、巡回神官を経験した私は男性から避けられていたようだ。
「そうでした。神官の仕事は世間が思っている以上に激務だから、幼い子供には大変だったでしょう?」
結婚をしないで三十年以上神官を続けている私を見る神官長の目には、哀れみが含まれていると感じるのは卑屈すぎるだろうか。
「いいえ。巡回神官も、聖なる力の壁を維持することも、聖乙女との係わりも、全てやりがいがある仕事です。辛いと思ったことなどありません。王都にはもっと悲惨な子供たちがいるのです。親に売られたり、家族を亡くしたりした子どもは、まだ幼いうちから重労働を強いられています。粗末な食べ物だけで命をつなぎ、不潔な環境で生活せざるを得ないのです。王都の最下層に生まれた私は、もし神官の力がなかったら、きっとそんな生活を送っていたでしょうし、今頃生きていないかもしれません。聖乙女の出身地は辺境の村が多いですが、飢饉にでもなればそこも同じような状況になるでしょう。話が逸れましたが、ルシアを神殿に連れてきたことを神官長が気に病むことはないと思います。責任があるとすれば、それは聖乙女を犠牲にしても生き残ろうとしているこの国の全ての人々です」
「そうかもしれません。しかし、あの若き竜騎士が本当にルシアを幸せにしてくれるのか、私は見極めたいと思います」
神官長は遠い目をしながら、竜騎士団の方を見ていた。
少しきつめの顔つきだが整った容姿の若き竜騎士。おそらく我が国では王子より人気がある彼が、四歳も年上のルシアをいつまでも妻として扱ってくれるのか、神官長は不安に思っているのだろう。私もやはり不安だった。
夕方近くになり、私たちは馬車に乗って神殿を後にした。
竜騎士団の正門をくぐり、正門から続く大通りを竜舎の方へと向かって馬車は走っていく。
竜舎の前にはたくさんに人が集まっていた。その中に一際背の低いルシアがいる。本日彼女は聖女として竜騎士団で勤務していたらしい。
神官長と私は馬車を降りてその人混みに近づいていった。
「団長のアウレリオが帰って来たぞ!」
竜騎士の一人が叫んだ。
「あっ! カイオのライムンドも一緒よ」
ルシアが嬉しそうに手を振っている。
空には瑠璃色の小型の竜と、黒い大型の竜が現れた。そして、螺旋を描くように舞い降りてきて、竜舎前の広場に着地する。
竜が少し屈んで背を水平にすると、団長のフェルナンとカイオが竜の背から地上へ飛び降りた。
カイオが乗っていたライムンドは竜舎に戻されたが、アウレリオはそのまま広場で装備が外されていく。
それを見守っているルシアの大きな目は既に潤み始めていた。そんな彼女の横に背の高いカイオが並んだ。
全ての装備を外されたアウレリオが瑠璃色の美しい翼を広げ、再び空に舞い上がる。
「くぉぉん」
まるで皆に挨拶するようにアウレリオは高く鳴いた。竜舎にいる他の竜もそれに応えるように鳴き始める。辺りには竜の鳴き声が響き渡っていた。
竜騎士や竜騎士団の職員たちは敬礼をしてアウレリオを見送っている。
私はアウレリオの前途が幸せであるようにと、両手を組み合わせ祈りを捧げた。
「ルシア、もう泣くな」
「だって、アウレリオがいなくなってしまうのよ。ライムンドだって寂しいはずだもの」
アウレリオの姿が完全に見えなくなると、そんな声が聞こえてきた。そちらの方を見ると、カイオがルシアの顔を覗き込んでいる。
「アウレリオは役目を終えて、自分の里に帰ったんだぞ。喜んでやろうぜ。記録ではな、色や特徴が似ている竜が度々この国にやってきているんだ。同じ竜かもしれないが、もしかしたら、子供かもしれない」
「竜の里でアウレリオは結婚して、子どもを産むかもしれないの?」
「竜の性別はわかっていないので、アウレリオが産むのか産ませるのかはわからないけどな」
聖獣である竜の生態は殆どわかっていないらしい。それでも、竜がこの国にやってくる以上、繁殖はしているのだろう。
「それなら、おめでたいことなのね」
涙を流していたルシアがやっと微笑んだ。
「そうだ。ライムンドの時は笑って見送ってやれよ」
そうカイオが言った途端、ルシアは再び声をあげて泣き始める。
「ライムンドが帰ってしまうと、本当に寂しいから」
「心配しなくてもライムンドが竜の里へ帰ってしまうのはまだずっと先の話だ。俺はまだ二十歳だからな」
「わかっているもの。今のうちに泣いておくのよ。そしたら、その時に笑顔でライムンドを見送ることができるでしょう?」
「それはどうかな? ルシアは絶対に泣くと思うけどな」
「私は泣いたりしないもの」
泣きながらそう言うルシアは唇を尖らせている。それを見たカイオが微笑んだ。しかし、彼の目も潤んでいるのを、私は見逃さなかった。
「思った以上にカイオ殿とルシアは仲が良さそうですね。安心しました」
神官長はほっとしたように呟いた。私も二人はとても微笑ましいと感じていた。
神殿の庭に出てみると、神官長が空を見上げながら佇んでいた。その目線の先から、桃色の花びらが一枚舞い落ちてくる。ルシアの結婚式の時に竜騎士が撒いた花びらと同じもののようだった。
「竜騎士団筆頭竜のアウレリオが今日竜の里へ帰るようです。この花びらはルシアの夫であるカイオ殿が撒いているのでしょう」
神官長は感慨深げにそう言った。私も空を見上げてみると、小さな花びらが落ちてきて私の掌に載った。
「竜騎士団長が引退されるのですね」
貴婦人と異名をとるほど美しいアウレリオは、長きに亘りこの国を守護してきた竜であり、国民からとても親しまれてきた。竜の土産物では未だに一番人気を誇っている。そんなアウレリオがこの国を去ることは、竜騎士団だけではなく、この国の人々にとってもとても寂しいことだった。
「アウレリオにお別れをしたいと思う。君も一緒に竜騎士団へ行きませんか?」
顔を上に向けたまま、神官長は飛び去って行く瑠璃色と黒の二頭の竜を目で追っていた。
神官長も私もかつて巡回神官を務めていたことがある。その当時、今や竜騎士団の団長となったフェルナンが駆るアウレリオに随分と助けられたものだ。
「私もご一緒させていただきます」
アウレリオが竜の里へと帰っていくのを近くで見送り、竜騎士団長に直接労いの言葉をかける機会が与えられるのは、とても喜ばしいことだと私は思った。
「アウレリオが哨戒飛行から帰還するのは夕方でしょうね。その前に竜騎士団へ出発しましょう。馬車を用意するように頼んでおいてもらえますか?」
竜騎士団と神殿は敷地を接している。そうはいっても、竜騎士団の敷地は広大なので、お互いの正門間の距離はそれほ近くない。徒歩ではかなり時間がかかってしまうだろう。
「かしこまりました」
私は神殿お抱えの馬丁に馬車の用意をしてもらうため、厩舎に方へ向かおうとした。
「ルシアにも会いたいと思っています。彼女を神殿に連れてきたのは私なのです。私は彼女が本当に幸せになっているのか確かめなければならない。ルシアが王都へ出発する日、彼女の弟がルシアにすがって泣いていました。彼にしてみれば、私は大事な姉を無理やり連れて行く悪魔のような男に見えたでしょうね」
神官長は後悔しているのかもしれない。ルシアを神殿に連れてきたこと。十六年も神殿に留め置いたこと。そして、年齢を重ねるルシアを、他の年若い聖乙女と同じ扱いにしたことを。
「私も神殿に入ったのは八歳でした」
聖なる力を持つ者は女性に限られているが、神官の力は男女ともに現れる。割合はやや男性が多いが、女性がそれほど少ないわけではない。しかし、聖なる力を持つ聖乙女が強制的に神殿に連れてこられるのとは違い、神官になるのは自由意思であるので、神官を志望する女性は男性より圧倒的に少なかった。
神官長以外の男性神官は聖乙女と顔を合わすことを許されていないので、聖乙女の体調の管理や祝福の立ち合い等は女性神官の仕事である。女性神官の需要は多いはずだが、女性の結婚年齢の低さを考えると、かなりの女性が二の足を踏む。我慢強くて無垢だと男性に人気がある聖乙女と違い、女性神官を妻にしたいと思う男性は多くない。ましてや、巡回神官を経験した私は男性から避けられていたようだ。
「そうでした。神官の仕事は世間が思っている以上に激務だから、幼い子供には大変だったでしょう?」
結婚をしないで三十年以上神官を続けている私を見る神官長の目には、哀れみが含まれていると感じるのは卑屈すぎるだろうか。
「いいえ。巡回神官も、聖なる力の壁を維持することも、聖乙女との係わりも、全てやりがいがある仕事です。辛いと思ったことなどありません。王都にはもっと悲惨な子供たちがいるのです。親に売られたり、家族を亡くしたりした子どもは、まだ幼いうちから重労働を強いられています。粗末な食べ物だけで命をつなぎ、不潔な環境で生活せざるを得ないのです。王都の最下層に生まれた私は、もし神官の力がなかったら、きっとそんな生活を送っていたでしょうし、今頃生きていないかもしれません。聖乙女の出身地は辺境の村が多いですが、飢饉にでもなればそこも同じような状況になるでしょう。話が逸れましたが、ルシアを神殿に連れてきたことを神官長が気に病むことはないと思います。責任があるとすれば、それは聖乙女を犠牲にしても生き残ろうとしているこの国の全ての人々です」
「そうかもしれません。しかし、あの若き竜騎士が本当にルシアを幸せにしてくれるのか、私は見極めたいと思います」
神官長は遠い目をしながら、竜騎士団の方を見ていた。
少しきつめの顔つきだが整った容姿の若き竜騎士。おそらく我が国では王子より人気がある彼が、四歳も年上のルシアをいつまでも妻として扱ってくれるのか、神官長は不安に思っているのだろう。私もやはり不安だった。
夕方近くになり、私たちは馬車に乗って神殿を後にした。
竜騎士団の正門をくぐり、正門から続く大通りを竜舎の方へと向かって馬車は走っていく。
竜舎の前にはたくさんに人が集まっていた。その中に一際背の低いルシアがいる。本日彼女は聖女として竜騎士団で勤務していたらしい。
神官長と私は馬車を降りてその人混みに近づいていった。
「団長のアウレリオが帰って来たぞ!」
竜騎士の一人が叫んだ。
「あっ! カイオのライムンドも一緒よ」
ルシアが嬉しそうに手を振っている。
空には瑠璃色の小型の竜と、黒い大型の竜が現れた。そして、螺旋を描くように舞い降りてきて、竜舎前の広場に着地する。
竜が少し屈んで背を水平にすると、団長のフェルナンとカイオが竜の背から地上へ飛び降りた。
カイオが乗っていたライムンドは竜舎に戻されたが、アウレリオはそのまま広場で装備が外されていく。
それを見守っているルシアの大きな目は既に潤み始めていた。そんな彼女の横に背の高いカイオが並んだ。
全ての装備を外されたアウレリオが瑠璃色の美しい翼を広げ、再び空に舞い上がる。
「くぉぉん」
まるで皆に挨拶するようにアウレリオは高く鳴いた。竜舎にいる他の竜もそれに応えるように鳴き始める。辺りには竜の鳴き声が響き渡っていた。
竜騎士や竜騎士団の職員たちは敬礼をしてアウレリオを見送っている。
私はアウレリオの前途が幸せであるようにと、両手を組み合わせ祈りを捧げた。
「ルシア、もう泣くな」
「だって、アウレリオがいなくなってしまうのよ。ライムンドだって寂しいはずだもの」
アウレリオの姿が完全に見えなくなると、そんな声が聞こえてきた。そちらの方を見ると、カイオがルシアの顔を覗き込んでいる。
「アウレリオは役目を終えて、自分の里に帰ったんだぞ。喜んでやろうぜ。記録ではな、色や特徴が似ている竜が度々この国にやってきているんだ。同じ竜かもしれないが、もしかしたら、子供かもしれない」
「竜の里でアウレリオは結婚して、子どもを産むかもしれないの?」
「竜の性別はわかっていないので、アウレリオが産むのか産ませるのかはわからないけどな」
聖獣である竜の生態は殆どわかっていないらしい。それでも、竜がこの国にやってくる以上、繁殖はしているのだろう。
「それなら、おめでたいことなのね」
涙を流していたルシアがやっと微笑んだ。
「そうだ。ライムンドの時は笑って見送ってやれよ」
そうカイオが言った途端、ルシアは再び声をあげて泣き始める。
「ライムンドが帰ってしまうと、本当に寂しいから」
「心配しなくてもライムンドが竜の里へ帰ってしまうのはまだずっと先の話だ。俺はまだ二十歳だからな」
「わかっているもの。今のうちに泣いておくのよ。そしたら、その時に笑顔でライムンドを見送ることができるでしょう?」
「それはどうかな? ルシアは絶対に泣くと思うけどな」
「私は泣いたりしないもの」
泣きながらそう言うルシアは唇を尖らせている。それを見たカイオが微笑んだ。しかし、彼の目も潤んでいるのを、私は見逃さなかった。
「思った以上にカイオ殿とルシアは仲が良さそうですね。安心しました」
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