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SS:嫁姑の会話
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「お義母様、お義父様はツェーザルさんを次期将軍にしようとしていらしたのでしょうか?」
ツェーザルを次期将軍にしようとしていた父の思いを裏切ったと、ディルクは辛そうに言っていた。ディルクが将軍の器でないとリーナにはとても思えない。優しくて強くて大好きなディルクがあのように苦しむのは理不尽な気がして納得できない。
「夫は決めかねていたわ。ディルクは我慢強くて心優しい子だったから。将軍になったら潰れてしまうかもしれないと考えていたの。でもね、夫が死んでからのディルクを知れば、将軍に相応しくないなどとは思うはずない。騎士団にもディルクを将軍と認めないなんていう者は一人もいない」
「お義母様、そのことをディルクに伝えてください。自分は死んでツェーザルさんに将軍を渡すべきだったけれど、私のために生きたいとディルクは言いました」
父に許されるとは思っていなかったディルク。だから、許しの言葉を口にしなかった。ただ生きたいと辛そうに言っただけだった。
リーナは生きることにすら罪悪感を覚えているディルクの心を少しでも軽くしたい。
「私の言葉はディルクには届かない。だから、リーナさん本当にありがとう。あの子を救ってくれて。あの子を愛してくれて」
騎士服を着た長身の母が、片膝をついてリーナの手を取り口付けを落とす。世のご婦人たちの心を乱している美しくも凛々しい母の姿に、リーナも後ろに控えているアリーゼも頬を赤く染める。
「お義母様に最後までやりきれと言われたから、ディルクは将軍を続けていると聞きました。お義母様こそ、本当にありがとうございます。ディルクを産み育ててくれて。そして、生きるように説得してくださったから、私はディルクに助けてもらえました。ディルクがいなければ私は確実に死んでいましたから」
リーナは女性にしては硬く大きい母の手を握り返した。
「ディルクはこの国の歴史に名を残すでしょうけれど、リーナさんも最強の女性として名を残しそうですね」
立ち上がった母は微笑みながらそう言った。リーナはその言葉の意味が理解できずに首を傾げている。
「それはお義母様のことではないですか? 私はこの屋敷で一番弱いですから」
十五歳の侍女のアリーゼさえ、護衛を務めている父親から護身術を習っている。強すぎる人が多いハルフォーフ家では披露する機会がないと嘆いているけれど。
「残念ながら私ではディルクに勝つことはできない。でも、リーナさんは違うでしょう? 貴女が『伏せ』と命じればディルクはいつまでも地面に這いつくばるし、棒切を投げて『取ってこい』と言えば、喜んで拾いに行くわよ」
「お義母様! ディルクは犬ではありませんから」
「とにかく、ディルクはリーナさんに勝てる気がしないわ」
声を上げて楽しそうに笑う母を、我が子を犬に例えることに呆れながらも、ディルクが伏せをしている姿を思い描き、リーナは笑みをこぼさずにはいられなかった。
「そうそう、可愛い侍女服を注文していたのだけど、先程届いたのよ。本日の変身標的は侍女のアリーゼ。目標は世界一可愛い侍女に仕立てること。リーナさん、気合を入れるわよ」
母は子どもを産み育てながら騎士として勤務していた。そのため、ハルフォーフ家は既婚女性の勤労に対して理解があり、古参の侍女が多い。アリーゼ以外の侍女はリボンを多用した可愛い侍女服を拒否したので、アリーゼが着用することになったのだ。
「はい。お義母様!」
拳を握りしめるリーナは、かなり義母の影響を受けている。
ツェーザルを次期将軍にしようとしていた父の思いを裏切ったと、ディルクは辛そうに言っていた。ディルクが将軍の器でないとリーナにはとても思えない。優しくて強くて大好きなディルクがあのように苦しむのは理不尽な気がして納得できない。
「夫は決めかねていたわ。ディルクは我慢強くて心優しい子だったから。将軍になったら潰れてしまうかもしれないと考えていたの。でもね、夫が死んでからのディルクを知れば、将軍に相応しくないなどとは思うはずない。騎士団にもディルクを将軍と認めないなんていう者は一人もいない」
「お義母様、そのことをディルクに伝えてください。自分は死んでツェーザルさんに将軍を渡すべきだったけれど、私のために生きたいとディルクは言いました」
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リーナは生きることにすら罪悪感を覚えているディルクの心を少しでも軽くしたい。
「私の言葉はディルクには届かない。だから、リーナさん本当にありがとう。あの子を救ってくれて。あの子を愛してくれて」
騎士服を着た長身の母が、片膝をついてリーナの手を取り口付けを落とす。世のご婦人たちの心を乱している美しくも凛々しい母の姿に、リーナも後ろに控えているアリーゼも頬を赤く染める。
「お義母様に最後までやりきれと言われたから、ディルクは将軍を続けていると聞きました。お義母様こそ、本当にありがとうございます。ディルクを産み育ててくれて。そして、生きるように説得してくださったから、私はディルクに助けてもらえました。ディルクがいなければ私は確実に死んでいましたから」
リーナは女性にしては硬く大きい母の手を握り返した。
「ディルクはこの国の歴史に名を残すでしょうけれど、リーナさんも最強の女性として名を残しそうですね」
立ち上がった母は微笑みながらそう言った。リーナはその言葉の意味が理解できずに首を傾げている。
「それはお義母様のことではないですか? 私はこの屋敷で一番弱いですから」
十五歳の侍女のアリーゼさえ、護衛を務めている父親から護身術を習っている。強すぎる人が多いハルフォーフ家では披露する機会がないと嘆いているけれど。
「残念ながら私ではディルクに勝つことはできない。でも、リーナさんは違うでしょう? 貴女が『伏せ』と命じればディルクはいつまでも地面に這いつくばるし、棒切を投げて『取ってこい』と言えば、喜んで拾いに行くわよ」
「お義母様! ディルクは犬ではありませんから」
「とにかく、ディルクはリーナさんに勝てる気がしないわ」
声を上げて楽しそうに笑う母を、我が子を犬に例えることに呆れながらも、ディルクが伏せをしている姿を思い描き、リーナは笑みをこぼさずにはいられなかった。
「そうそう、可愛い侍女服を注文していたのだけど、先程届いたのよ。本日の変身標的は侍女のアリーゼ。目標は世界一可愛い侍女に仕立てること。リーナさん、気合を入れるわよ」
母は子どもを産み育てながら騎士として勤務していた。そのため、ハルフォーフ家は既婚女性の勤労に対して理解があり、古参の侍女が多い。アリーゼ以外の侍女はリボンを多用した可愛い侍女服を拒否したので、アリーゼが着用することになったのだ。
「はい。お義母様!」
拳を握りしめるリーナは、かなり義母の影響を受けている。
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