銀狼公子の導き手

竜胆 琳

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二部 

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「うーん。じゃあお嬢は俺と養子縁組します?」

 ジェメイがいとも簡単に提案する。

「ダメよ。そんなことをすれば私が長子になってしまうでしょ。リンメイがかわいそうじゃない。州民権を購入するお金はあるんだからそれでいいわ。平民でも魔力があれば小学も大学も通えるんでしょう? 私学校楽しみなの。やっと魔術について勉強できるんだもの」

 メイファは帝都にある帝国立小学の一般教養コースから大学の医官コースに進学したが、婚姻のため中途退学している。
 物心ついたころから学校の話を母親から聞いていたファルナは、自分も医官コースに進みたいと思っていた。

「え、文官コースじゃないんですか? 魔道具研究は文官の専門ですよ」
「魔道具研究も面白そうだけど、私は治療術を学びたいの」
「お嬢様には治療魔法の才能がありますからね」

 幼いうちは魔術を行使することは制限されるが、十歳を越えれば魔力の扱いと魔術を教えられる。
 幼い子供の身体で魔力を使うと、身体に不調を起こすのだ。十歳はあくまで目安せあり、を済ませたのちが望ましいとされている。

「お嬢は春生まれでしたっけ?」
「帝国暦で言えば春になりますね」
「歳の数え方も違うから間違えそうだわ」

 プリステラ王国では生まれた日に歳を増やすが、スーシェン帝国では歳が開けた1月1日に歳を増やす。
 プリステラの暦で今は10月になったばかりで秋になる。ファルナは冬の2月生まれなので14歳になるにはあと5ヶ月(1ヶ月は32日)あるのだが、スーシェンの暦では冬に入ったばかりで、あと3ヶ月(スーシェンでは4ヶ月、1ヶ月24日)で感覚では2ヶ月早く14歳になる。

「2ヶ月のズレでよかったわ。年末の生まれだとすぐ歳が増えるからなんだか一年損をした気分になるもの」
「学舎の始まりも違いますよ。プリステラ王国では夏に年度が終わり、秋に始まりますが、スーシェンでは一月から始まりますからね」

 スーシェン帝国の学舎は年明けて新年度が始まる。来年度の入学試験の受付は秋の終日に終わっていた。

「ええ、じゃあ来年まで受験できないってこと? 学校はお預け?」

 思わず身を乗り出すファルナ。

「お嬢様。スーシェン帝国では使う文字も違います。多少は学んできましたがこの一年はスーシェン帝国についてきっちり家庭教師をつけて勉強し来年に備えるべきですよ」
「そうですよ。まだまだ知識も常識も不足してます」

 ジェメイとロンメイ姉弟に声を揃えて勉強不足を指摘された。

「通常は十五歳で大学入学ですから、小学はやめて一年勉強して来年大学を受ければどうですか」
「一年で小学五年分詰め込み勉強ですね」
「むぅ……、仕方ないわ。一年で六年分勉強して来年は大学に行くから」

 それがどれほど大変なことか、スーシェン帝国出身のものは承知していたが、ファルナには不可能なことではないとそれぞれが思っていた。
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