1 / 24
第1章
プロローグ
しおりを挟む
そっと目を開けると、そこはぼんやりとした世界が広がっている。
水の中では人間の目は正確性を失って、ピントは合わずぼやけて見える。それは、角膜による光の屈折が水中ではほとんど起こらないからだ。
太陽の輪郭は溶けている。深く深く、海中へ落ちていくと太陽は淡く小さくなっていく。その溶けた明るい丸は、海上への目印。口から溢れるポコポコと浮かび上がる気泡は、身体から空気が抜けていっていると錯覚する。己が海に溶けているように。しかしそれは、飽くまで自分の願望でしかないのだ。
息が苦しい。ゴボリ、とかなり大きな泡が浮かんでいった。肺で呼吸する生き物は、水の中では生きれない。
とうとう限界を悟る。くるり、と海中で身体を起こして足で水を蹴り、ゆっくりと太陽の元へ向かう。小さかった丸い光はだんだんと大きくなってきた。
そして、勢いよく海面から顔を出して、大きく息を吸った。精一杯肺を膨らませて空気を取り込み、世界と同調する。水に溶けていた己の形を取り戻す。早かった呼吸もだんだんと落ち着いていき、ぼんやりと、遠くに飛んでいる海猫を見た。
初夏の海は、まだ冷たい。
水の中では人間の目は正確性を失って、ピントは合わずぼやけて見える。それは、角膜による光の屈折が水中ではほとんど起こらないからだ。
太陽の輪郭は溶けている。深く深く、海中へ落ちていくと太陽は淡く小さくなっていく。その溶けた明るい丸は、海上への目印。口から溢れるポコポコと浮かび上がる気泡は、身体から空気が抜けていっていると錯覚する。己が海に溶けているように。しかしそれは、飽くまで自分の願望でしかないのだ。
息が苦しい。ゴボリ、とかなり大きな泡が浮かんでいった。肺で呼吸する生き物は、水の中では生きれない。
とうとう限界を悟る。くるり、と海中で身体を起こして足で水を蹴り、ゆっくりと太陽の元へ向かう。小さかった丸い光はだんだんと大きくなってきた。
そして、勢いよく海面から顔を出して、大きく息を吸った。精一杯肺を膨らませて空気を取り込み、世界と同調する。水に溶けていた己の形を取り戻す。早かった呼吸もだんだんと落ち着いていき、ぼんやりと、遠くに飛んでいる海猫を見た。
初夏の海は、まだ冷たい。
2
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる