真夜中の独り言

papiko

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やらかしたこともいろいろ…

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 デイケアを利用する前に、やっちゃいけないとわかっててやらかしたKちゃんの黒歴史。自傷行為にオーバードーズ。人生初の、ネゲロ。自暴自棄なんて意識はなく、まるでマッドサイエンティストが人体実験でもしてるような感覚は、<ジキルとハイド氏>のようだった。

「できたら、墓場までもっていきたい!」
 いや、それはそれで今後に悪影響及ぼしそうだから、教訓として話してよ。
「…妹子とか音くんにもかなりの衝撃与えちゃったし、長子にはご立腹されちゃったけど。それぞれの反応で、それぞれのキャパシティーは、見えたかもな」
 家族の反応も対処力も、それぞれの性格や経験値、情報量でかなり違ったよね。まずやらかしたのが、通院して間もないくらいの時の、自傷行為。Kちゃん、痛みとかなかったの?
「痛いって感覚がわからないって感じかな。夜中に血管眺めてる自分がいて、そういえば、手首切って死ぬのはかなり難しいってことをぼんやり思い出してて…」
 <自殺マニュアル>だね。血管って柔らかいから、相当深く切らないと切れないみたいなこと、書いてあったね。
「そうそう、で、それって本当かなぁみたいな感覚があって、カッターをザックっと刺したんだよ。あ、思ってたほど痛くないなって思いながら、血があふれてくるのを眺めてて…意外と血が黒っぽいだとか、静脈切れたか?とか…」
 完全に人体実験の感覚ね。ご丁寧に、部屋を汚さないようにティシュを大量に用意してたし。
「まあ、あの感覚は今思うとかなり気持ち悪い!異様な冷静さが、めちゃくちゃ怖い!」
 ホラー映画を何の感情も持たずに見てるような感じだったね。
「かもね。で、やらかしてから、血が徐々に止まり始めるとこんなもんかってちょっと失望しながら、絆創膏貼って寝るんだけど、朝起きてぎょっとするんだよ。何でこんなことを!って自責に苛まれて…」
 三回くらい繰り返して、このままではまずいなって自覚がでたのよね。
「そう。だから、音くんに事情話して、カッター預かってもらった。あの時も、感情がそぎ落ちてるというか、異様な冷静さに支配されてる感があって…幸い、音くんは落ち着いて対応してくれて、<じゃあ、預かっとく>って言ってくれたんだよ」
 あれ、怒られたり、取り乱されてたら、自分をとめられなくなってたかもしれないね。
「うん、だから、音くんに話したんだと思う。それに、話し終わって寝ようとしたら、パジャマがやたら冷たくて、なんだ?って思ったら、失禁してたんだよ」
 体は、ものすごい恐怖を感じてたわけね。
「みたいだね。とりあえず、着替えて寝て。数日寝込んだ」
 それからしばらくは、何事もなくって感じだったよね。
「うん、だけど、勝手に薬をためてた」
 そうね。毎日少しずつ。あれは何のためにやってたんだと思う?
「わかんない。勝手に減薬しちゃダメってことは、頭で解ってたけど。毎日、一錠とか二錠とか、捨てないでためていく感じだったね」
 オーバードーズの引き金って覚えてる?
「いや、覚えてない。けど、確か不眠が続いてて、夏場だったかな。まだ、部屋にクーラーなくて。親と何かあったような気もするけど、記憶がないし、思い出せない。ただ、その日はお酒のみながら、溜めた薬を飲んでて…これで眠れるはずみたいな感覚はあった気がする」
 死にたいとかいう感覚じゃなかったわけ?
「うん、ただもう眠りたいって感じだったし、オーバードーズで死ぬのは手首切るより難しいとかいう話も知ってたから。ベクトルとしては、そっちに向いてるつもりはなかったんだろうけど。もしかしたら、どっかで眠るように死ねたら楽かみたいなのは、あったかもしれない」
 ないとはいえないわけね。で、結果として丸一日寝てたわけだけど。
「そう、ただ寝てたわけじゃなくて、あとからおかんに聞いた話だと、ゾンビのように這いつくばってどこかにいこうとしてて、妹子がそれ見て<救急車呼ばなきゃ!>って言ったらしいんだけど、おかんは拒否して、なんか言いながらどこかに行こうとしてるのも無視して、自分の部屋に連れってったらおねしょしたから、着替えさせたのよって言って怒ってたけど」
 目が覚めたら、自分の部屋にいてトイレに行った夢をみたなぁって感じだったのよね。
「そう。だから、普通に起きて居間にいったら、すっごい不安そうな妹子がいて、プリプリ怒ってるおかんがいて、どうしたんだろうとか思ってたら、<あんたね!>みたいな感じでおかんに怒られた」
 怒られて反省した?
「いや、まったく。むしろ、妹子には怖い思いさせたな。ごめんな。って感じで、自責とか申し訳なさってのは、あんまりなかった。ただただ、妹子に怖い思いさせちゃったよ、悪いことしたなぁってだけ」
 その後は、オーバードーズはしなかったけど、やっぱり妹子のことが気になった?
「うん。だって、想像してみてよ。ゾンビだよ。怖いよ。そんでもって、非常に常識的に反応したのに、救急車呼べないってなったら…気持ち的に物凄く不安感残るし、しばらくは気持ちの切り替えが難しかったんじゃないかな」
 確かにそれはあるかも。おかんに対してはあんまり気にしてない感じだけど。
「ああ、だって、世間体優位の人だから。今でも、そこは変わらないし、それでよくおやじと喧嘩になってるみたいだけどねw」
 じゃあ、その時点で薄々感づいてはいたわけね。おかんの行動基準がどこにあるかってことに。
「だろうね。あ、この人、自分に何かあっても、世間体が悪かったら助けてくれないな、みたいな感覚はあったかも」
 じゃ、最後にネゲロはなぜ起こったわけ?
「年末にみんな帰省してて…音くんが焼酎買ってきてて、みんな居間にいてテレビみてて、なんか自分だけ、そこにいるのにいない感覚があって、黙々と焼酎呑んでたんだよね。誰も気にしてないし、止める気配もないから、ひたすら呑んでて…一回、トイレに行って、リバーズして、また呑んでたら意識が急にとんだ。気がついたら、ネゲロ吐いてておやじに<俺への当てつけか?>って言われたんだけど、なんのことかわかんないまま、ごふごふ寝たまま吐き続けたんだよね。で、正月そうそう長子に怒られた。<あんた何やってんのよ!お父さん、ずっと後始末してたんだからね>って」
 でも、反省してないよね。
「うん。してない。一番理解してくれてると思ってた長子は、意外に親に甘かったんだなって感じただけ。あと、おやじも当てつけかって言った割には、自己を振り返ることも、反省もしなかったから、ああ、そういうもんねって感じだった。ま、ネゲロはさすがにもう二度とやらかしたくないので、お酒はちゃんとセーブして呑んでるけどねw」
 むしろ、お酒に失礼な呑み方はしたくないって感じかしら?
「そう!そこは反省しました。作り手の皆様、大事に呑まなくてごめんなさいってw」
 Kちゃんにとっては、家族よりお酒の作り手さんが勝ったわけだ(苦笑)
「ま、そうね。誰だって呑みすぎれば、ネゲロのひとつやふたつはあるものさ。ただ、お酒に罪はない。だから、これからもおいしいお酒と巡り合うべく、反省したってことですw」
 ところで、呑みすぎてることを止めて欲しかったとかはないの?
「うーん。それはなかったような気がする。気分的には透明人間になってる感じだったし、ゆっくり呑んでたつもりだったから…あ、でも度数のことは考えてなかったかも」
 日本酒派だもんね。基本的に。焼酎はあんまり合わない人だよね。
「そうそう。でも、あの日はずっと焼酎だったな。なぜかw」
 ま、肝臓労わりながら美味しいお酒を呑みたいものですね。ってことで、お時間ですね。いってらっしゃいw

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