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第9話 女嫌いにも理由があるらしい(2)
しおりを挟む「話を聞く中で、ケルビン様のお話も幾つか聞きました。基本的にあまりしゃべらない人のためジョンさん以外と話している所を見る事の方が珍しいようではありますが、だからと言って別に嫌っている事もないようです。あとあの方の女嫌いについてですが、そうなる理由の方がいらっしゃるのだと」
「理由の方?」
「えぇ。何でも他家の令嬢で、一応親戚筋に当たる方らしいのですが、少し我儘な方だったようで幼少期に振り回されたとか」
ケルビン様について、私が持っている情報は少ない。
私以上に露出が少ない人だから、彼にそのような間柄の人がいらっしゃるという事も今初めて知った。
「あとは、義務などに関係はなく剣をふるうのが好きみたいですね。週に二日は騎士たちに交じって鍛錬をしたり連携の確認をしたりと、熱心に活動しているようです」
「そういえば昨日、模擬用の剣を片手に外を歩いていたけど、じゃあもしかしたら騎士たちに交じる予定だったのかもしれませんね」
「使用人たちとは違い、騎士団ではかなり慕われているみたいですよ。強さはもちろん人柄も、との事だったので、騎士団では比較的口数も多いのかもしれません。――必要であれば、騎士団の辺りをうろついてもう少し情報を集めましょうか?」
涼しげな紫色の瞳で、彼女がそう聞いてくる。
私は一瞬驚いて、しかしすぐにプッと噴き出した。
「別にいいわよ、密偵じゃあるまいし」
クスクスと笑いながら言えば、彼女は「そうですか」と言葉を落とした。
心なしか残念そうに見えるのだけど、きっと気のせいだろう。
「しかしケルビン様の女嫌いに理由があるのであれば猶の事、女の私は近寄らない方がお互いのためでしょうね」
「つまり今まで通りですね」
「まぁそういう事になるかしら」
結局朝食は私が抜く事が多く、昼食と夕食は彼が食堂に来ないので、基本的に真正面から顔を合わせることは稀だ。
それは私にとっても実にいい環境で、何の不満もないどころか何気に現状に大満足している。
だから私はこれからも、好きに生活して――。
コンコンコン。
「マリーリーフ様」
「どうしたの? ジョン」
扉の向こうから聞こえてきた声にすぐさま答えると、彼は驚きの言葉を言い放った。
「執務室にお越し頂けないでしょうか。ケルビン様がお呼びです」
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