次はきっと貴方の番です。

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第一章:都市伝説

第1話 深夜に届いたメールには

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 午前1時を回った頃、俺はドサリと布団に倒れ込んだ。

「あー……疲れた」

 思わず漏れたその声は、きっと連日行われている残業のせいだろう。

 俺の仕事は、システム開発。
 IT業界のエンジニアである。


 物作り系の職には共通する事なのだろうが、こういった仕事には必ず『納期』というものが存在する。
 そしてその期日が近づくと、少なからず間に合わせの為の残業が発生するものだ。

 いやまぁ間に合うように予定はきちんと組まれているのだが、大抵予定通りになんて事は進まない。
 いつも何かしらのトラブルやら何やらがあって、いつも納期ギリギリにしわ寄せが行くのだ。


 俺は、今まさにその期間に突入している最中だ。

 それこそ昼休みの時間さえ惜しんで仕事をしてるというのに、会社から物理的に追い出される午前0時まで残業しても終わらない。
 そんな仕事苦の真っ只中にいるのである。


 幸か不幸か、情報漏洩対策の一貫でうちの会社は仕事を家に持ち帰ることが許されていない。
 だから、0時以降は一応は仕事から解放される。
 まぁその変わり、明日も仕事が山積み確定ではあるのだが。

 あぁホント、世知辛い世の中だ。

「誰でも良いから、明日行ったら俺の仕事を全部片付けてくれてた、なんて事があれば良いのに」

 そんな事などある筈が無いという事は分かっている。
 しかしこうして自分にとって都合の良い願望を口にしたりして甘い夢を見る時間もないと、ぶっちゃけ会社員なんてやってられない。


 あぁそうだ、確か都市伝説的なやつに「ちっさいオッサン」ってのが居たな。

「俺の仕事、変わりにやってくれないかな。ちっさいオッサン」

 そんな俺の声は、一人きりの室内にぽつりと浮かんですぐに消えた。



 ・・・・・・いかん、なんだかとっても悲しくなってきた。
 この辺で辞めとこう。


 そう思った時だった。
 背広のポケットが、メールの着信音と共に揺れる。



 俺は緩慢な動きで背広のポケットを漁った。
 そして音の元凶を引っ張りだし、目前へと持ってくる。

 ディスプレイにはメールのお知らせ通知が入っていた。
 俺は慣れた手つきで通知から本文を呼びだし、その内容を確認してーー。

「・・・・・・なんじゃこりゃ」

 どういう意味だ?
 そんな気持ちを込めて、俺は思わず首を傾げた。


 メール本文に書かれているのはたった一言。

<次はきっと貴方の番です。>

 それだけだった。



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