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第四章:お披露目の日がやってきました。
第40話 全て殿下が仰った事です。
しおりを挟む思わず目を鋭くし、私はそう問いかけます。
しかし私のその不満顔に気がついていないのか、それともそれさえ楽しめてしまうのか。
私の反応に悦を感じた様な顔になり、余裕綽々でいかにも当たり前の事を聞き分けのない子供に諭す親の様な塩梅で、こちらを見下して今度はこんな言葉を吐いてきました。
「お前達は、我が国が掛けてやった温情もすっかり忘れて勝手に国を起こした反逆者だ。それを我が国が優しくも罰せず国として認めてやったのだ。我が属国なのは明白だろう?」
「たったそれだけの根拠で、我が国を貴国の『属国』と?」
「それだけで十分だろう?」
彼はどうやらそんな子供の言い訳にもならない理由で、我が国を『属国』と宣い下に見ているようでした。
しかもそんな自分の言動の正当性を全く疑う様子が無いのですから、救いようがありません。
まぁそもそも、そんな彼が統治する未来の王国を見限って私達は国を起こしたのです。
今更彼を救う気など無いのですから、もしかすると無駄に余地があるよりは良かったのかもしれませんが。
「私達は、独立しました」
「そう、こちらの善意を裏切ってな」
「殿下……」
ハァと息を吐いてから、私はニコリと笑いました。
「殿下も一国の王子ならば、もう少し言葉をお勉強なさった方がいいと思います」
「なっ、お前――」
「『属国』とは、他国に下り独立出来ない国の事を言うのです。我が国は貴国から何の援助も侵略も受けていなければ、そんなものになる事を了承した覚えも記録もありません。ですから殿下は、言葉の使い方を間違えていらっしゃる。つまりは勉強不足です」
彼はきっと、私を貶める為にこの言葉を使ったのでしょう。
しかし本当に言葉の意味を理解しているのかは疑わしい……というか、理解していないのでしょう。
出なければ先程、容易に「我が国は独立している」という言葉に肯首する筈がありませんから。
それに、です。
「我が国は誰でも無い殿下、貴方から頂いた言葉によって建国・独立したのです。だって『掃いて捨てるほど居る男爵家程度、邪魔で不要』なのでしょう?」
「事実を言って何が悪い。それに俺は『独立しろ』とは言ってない! よって、勝手に独立した事実は変わらない!」
その言葉で、周りがザワリと揺れました。
それもそうでしょう。
軽率にも、彼は認めてしまったのですから。
自分が吐いた暴言を、何の躊躇も悪気もなく。
もちろん今回の主席者全員が、清廉な思想の持ち主な訳ではありません。
中には男爵位の人間の事を『掃いて捨てるほど居る』『邪魔で不要』と思っている方は居るでしょう。
しかし、それを口には出しません。
為政者ならば誰だって、少なからず王族の手足となって領地を収める貴族の恩恵を、毎年納められる領地からの税を燃料にして国を舵取りしている事を正しく理解していますから。
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