【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜ドレス汚し犯(侯爵子息)の行き着いた先〜

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兆し

第12話 たった一本の藁を、躊躇なく彼は掴む(2)



「あくまでも私の考えです、そもそも手助けになるかどうかは分からないし、今後の貴方次第でもありますが……」

 これからする助言は、必ずしも彼の助けになるとは限らない。

 助言をする。
 そう言った以上、セシリア自身が手を抜く事は絶対にしない。
 しかしセシリアだって、自分の考えが100%的を射ているという保証はしかねる。

 それほど自分が万能だとはセシリア自身思っていないし、そう思う事は自身に対する奢りでしかない。
 そして奢れるほど、傲慢にはなれない。

 それでも助言を聞く気はあるか。
 セシリアは、彼にそう尋ねた。


 それは彼にとってはまさに、『藁』だったに違いない。
 そして例えそれが不確定な要素があり100%は信頼できないものだとしても、彼にとってはたった一本。
 周りから除け者にされて以降、初めて明確に伸ばされたたった一本だ。

 そんな『藁』を、彼は。

「聞くっ」

 躊躇なく握りしめた。

 この機を逃すまいとする彼の声の必死さに、セシリアは「分かりました」と、一度柔らかく微笑んだ。
 そして目を伏せ一つ息を吐いた後で、クラウンを見据えて「一つ目」と人差し指を突き立てる。

「まず、一つの事象に対して、問題点が必ずしも1つとは限らないという事を肝に銘じる事です」

 何をするにも、固定観念は大きな敵だ。
 そして何かトラブルが起きた時、そのトラブルの原因は必ずしも一つではない。

「例えば今回みんなが貴方の元を離れた理由には、少なからず『王族案件』が絡んでいます。しかしもしかしたら、根本原因はそこではないかもしれません」

 確かに中には「厄介事には巻き込まれたくない」という理由の家があるだろう。
 しかし、例えば元々侯爵家やクラウン個人と距離を置きたいと思っていたとしたらどうだろう。

(今回の『王族案件』は離れるキッカケに過ぎない。あくまでも原因は別のところにあるという事になる)

 しかしここまで深く話してしまえば、それは彼が考える事を阻害する。
 ここでは他の理由の存在に気づかせるくらいでいい。

 後は彼自身が考え,自覚し、それを正すかを決断する。
 そうでなくてはこれを方策ではなく助言とした意味がない。


 だから彼にするのは提起だけに留め置いて、「次に」とまた立てる指を一本増やす。

「状況が分かって成したい結果があるけれど、それを成す為の方法が分からない。そういう時は、まず『問題提起』を細分化してみてください」

 今まで大した『問題』に自力でぶち当たってこなかったクラウンが、問題解決のコツなんてものを知る筈がない。
 どうしていいか分からない。
 だから思考が「どうしよう」で止まるのだ。

 そんな彼に、そのコツは『問題点をより細分化する事』だとセシリアは告げる。

「例えばクラウン様は、現在「この状況をどうにかしたい」と思っていますが、状況がどう変われば解決できるか。それをまずは考えてみてください」

 例えば、友人たちが自分の元に帰ってくる。
 自分のせいでついてしまった家の悪評を禊ぐ。
 事が『王族案件』になってしまう事を防ぐ。
 
 そうやって大きな目標の下に小さな目標を立て、それを実現させる為にはどうしたら良いかを考える。
 漠然とした目標よりも、具体的な目標の方が分かりやすい。
 
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