追放殿下は隣国で、セカンドライフを決意した。 〜そしてモフっ子と二人、『ずっとやりたかった10の事』を叶える事にします〜

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とある商人との出会い編

第13話 めっちゃ良い人!(2)

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「ダンノさんは、ノーラリアの方なんですか?」

 今度は俺が聞いてみた。
 すると彼は快く答えてくれる。

「えぇ、私はノーラリアで商会を開いているんですよ」
「商会を!」
「この国には進出の下見に来ていたのですが、ちょっと色々と折り合いがつかなくてですね。結局手ぶらで帰る途中です」
「それはそれは……残念でしたね」

 せっかくはるばるやってきたのに何も収穫が無いなんて、さぞかし残念な事だろう。
 そう思って言った言葉だったが、思いの外彼の表情は明るかった。

「まぁこういうのはご縁ですし、それに初めてこの国に来る事が出来たメルティーはとても楽しそうでしたから」
「なるほど」

 そう聞いて、何だかホッとしてしまう。

 それは別にこの国の思い出が決して悪いものではなかったから……という訳ではない。
 彼が仕事の成功よりも子供の幸せを選べる人間なのだと分かったからである。


 今度は顔が引きつるような事は無かった。
 頬を綻ばせて自然に笑うと、彼もまた何故か安堵したような顔になる。
 そしてこう言ってくれた。

「あぁそうだ。もし何かご入用な物がありましたら、是非『ダンリルディー商会』を頼ってください。街で聞けば場所はすぐに分かるでしょうから」
「ありがとうございます。土地勘も頼れる相手も全く居ないので、とてもありがたい」

 是非とも頼らせてもらおう。
 そう思って、俺は『ダンリルディー商会』『ダンリルディー商会』と名前を忘れてしまわないように心の中で数回唱える。


 と、その時だ。
 馬車がゆっくりと停車した。
 
 少し身を乗り出して外を見れば、前が行列になっている。

「あぁ、国境に着きましたね」

 その一言で、俺の背中にピシリと緊張が駆け抜けた。

 遂に国境。
 正体を悟られてはならないクイナにとっては、最後に立ちはだかる関門だ。

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