追放殿下は隣国で、セカンドライフを決意した。 〜そしてモフっ子と二人、『ずっとやりたかった10の事』を叶える事にします〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!

文字の大きさ
100 / 105
お引越し

閑話2 クイナの女子力モッフモフ (4)

しおりを挟む


 金色の毛並みが白い泡に埋もれつつあるのを見つつ一人密かにその感覚を楽しんでると。

「ふふふふっ」
「ん? 何だ、どうした?」
「くすぐったいの」

 尻尾にも感覚があるって事は知ってたけど、ふーんそうか。
 この力の入れ具合でくすぐったいのか。
 
 そんな小さな発見をしつつ「我慢しろ。ちゃっちゃと済ませるから」と言えば、「ん~、我慢するの」と言いつつクイナは何かに耐えるように目をきつく瞑った。

 こうして俺は尻尾も入念に洗い、あとはクイナに任せて浴室を出る。
 そしてやがてお風呂から上がってきたクイナの髪と耳と尻尾をすべて、魔法で作った熱風でふんわりと乾かして……。

「出来たのぉーっ!」

 自分で尻尾を見、耳を探るように確認した後。
 スクッと立ち上がって腰に手を当てて、クイナは顔だけこちらを振り返りエッヘンと胸を張ってみせた。

 「出来たのぉーっ!」ってお前、仕上げたのはほぼ俺だけど……。
 なんて言葉は飲み込み、俺も「おぉー」と拍手する。

 
 しかしコレ、お世辞を抜きにしても目で見てわかるくらい顕著な変化がある。

 確か『天使の輪っか』って言うんだっけか。
 髪も尻尾もつやが出て、部屋の電気を反射して光の環っかが出来ている。
 なるほど確かに、これは魅力が上がったかもしれない。
 
 何というか、今まであったモフモフへの欲求に加えツルサラも味わえそうなこの一石二鳥。
 かなりモフりたい欲を掻き立てられる。

「ねぇねぇクイナさん」

 ちょっと勇気を出しておねだりを試みてみると、クイナは待ってましたと言わんばかりの笑顔になって、その後すぐにわざとらしくムンッと口を引き結ぶ。

「……仕方がないの。明日はプリン、二つなの」

 ふーん、なるほど。
 どうやら交換条件という事らしい。
 が、多分触ってみてほしいっていう気持ちもあるんだろう。
 口元で『仕方がない感』を演出するのはかなり無理があるように見える。

 そんなクイナに「分かった、明日だけな」と言いつつ、その分のスライムおやつは量をコッソリ減らすとするかと俺は密かに考えた。


 こうして俺は、魅惑のモフモフを味わう事に相成った。

 そしてミランに心の底から感謝する。
 確かにそれはフッワフワで、魅惑のモッフモフな上にツルサラ最高な触り心地だった。

 それは翌日、いつもなら夜中のトイレに行った帰りに寝ぼけて俺のベッドに潜り込み、朝起きれば必ず俺の腕を抱き枕にしているクイナが、その日の朝は自分の尻尾を抱き枕にしていたくらいに凄かった。

 ミランには、このシャンプーが売ってる場所を今度聞いてみようと思う。
 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

処理中です...