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お引越し
閑話2 クイナの女子力モッフモフ (4)
しおりを挟む金色の毛並みが白い泡に埋もれつつあるのを見つつ一人密かにその感覚を楽しんでると。
「ふふふふっ」
「ん? 何だ、どうした?」
「くすぐったいの」
尻尾にも感覚があるって事は知ってたけど、ふーんそうか。
この力の入れ具合でくすぐったいのか。
そんな小さな発見をしつつ「我慢しろ。ちゃっちゃと済ませるから」と言えば、「ん~、我慢するの」と言いつつクイナは何かに耐えるように目をきつく瞑った。
こうして俺は尻尾も入念に洗い、あとはクイナに任せて浴室を出る。
そしてやがてお風呂から上がってきたクイナの髪と耳と尻尾をすべて、魔法で作った熱風でふんわりと乾かして……。
「出来たのぉーっ!」
自分で尻尾を見、耳を探るように確認した後。
スクッと立ち上がって腰に手を当てて、クイナは顔だけこちらを振り返りエッヘンと胸を張ってみせた。
「出来たのぉーっ!」ってお前、仕上げたのはほぼ俺だけど……。
なんて言葉は飲み込み、俺も「おぉー」と拍手する。
しかしコレ、お世辞を抜きにしても目で見てわかるくらい顕著な変化がある。
確か『天使の輪っか』って言うんだっけか。
髪も尻尾もつやが出て、部屋の電気を反射して光の環っかが出来ている。
なるほど確かに、これは魅力が上がったかもしれない。
何というか、今まであったモフモフへの欲求に加えツルサラも味わえそうなこの一石二鳥。
かなりモフりたい欲を掻き立てられる。
「ねぇねぇクイナさん」
ちょっと勇気を出しておねだりを試みてみると、クイナは待ってましたと言わんばかりの笑顔になって、その後すぐにわざとらしくムンッと口を引き結ぶ。
「……仕方がないの。明日はプリン、二つなの」
ふーん、なるほど。
どうやら交換条件という事らしい。
が、多分触ってみてほしいっていう気持ちもあるんだろう。
口元で『仕方がない感』を演出するのはかなり無理があるように見える。
そんなクイナに「分かった、明日だけな」と言いつつ、その分のスライムおやつは量をコッソリ減らすとするかと俺は密かに考えた。
こうして俺は、魅惑のモフモフを味わう事に相成った。
そしてミランに心の底から感謝する。
確かにそれはフッワフワで、魅惑のモッフモフな上にツルサラ最高な触り心地だった。
それは翌日、いつもなら夜中のトイレに行った帰りに寝ぼけて俺のベッドに潜り込み、朝起きれば必ず俺の腕を抱き枕にしているクイナが、その日の朝は自分の尻尾を抱き枕にしていたくらいに凄かった。
ミランには、このシャンプーが売ってる場所を今度聞いてみようと思う。
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