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第七話 手紙
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傑《すぐる》へ
こんにちは。
伝えたい事が沢山あるから、いつか来てしまう別れの為に、貴方に手紙を残します。
でもなんか、手紙を書くのって変な感じ。
今思えば貴方に手紙を書いた事って、実は一度も無かったかもしれないね。
ちょっと照れくさくてくすぐったいけど、頑張って書くから最後まで読んでよ。
まず最初に、一つ必ず約束してほしい事。
どうか笑って生きてほしい。
貴方の笑顔が好きだったから、私の好きな貴方でいて。
とは言っても、すぐにケロッとされちゃったら私もちょっと悲しいし、貴方の隣にすぐに誰かが並んで立つのはそれはそれで焼けてきちゃうから、ちょっとの間は貴方の心を独占させて?
一年後には、二日に一回。
二年後には、三日に一回。
そのくらいの頻度で、私の事を思い出して?
そしたら私は嬉しいです。
あ、思い出すのは出来れば可愛い私にしてよ?
口を開けて寝てた所とか、くしゃみが出そうで出ない顔とか、そういうのは思い出すの禁止。
そっちを思い出したら私、多分怒って化け出てるから。
あとね、ブブちゃんは大切にして欲しい。
あれは私の、とっても大事な宝物だから。
でももし将来貴方がそれを手元に置けなくなる日が来たら、その時はお墓に入れに来て欲しい。
貴方がいずれもし誰かともう一度人生を歩むと決めたその時には、私はそのぬいぐるみと一緒に、貴方との思い出を守っていくから。
貴方はいつだって、私の為を思ってくれた。
毎日のようにお見舞いに来て、毎日のように笑わせてくれた。
貴方のお陰で、楽しかった。
貴方と出逢えて、本当に良かった。
私はとっても幸せだった。
とっても幸せな奥さんだった。
最期に私は、貴方にちゃんと『ありがとう』って言えたかな。
直接言えてれば良いんだけど、もしダメだったら多分今頃、貴方の周りをグルグル回って『ありがとう』を連呼してる筈。
そのくらい感謝してるって事、忘れないで欲しいです。
結局叶えられなかった、バーベキューの約束。
例えばもしも生まれ変わったら、今度は絶対一緒に行こうね。
『もしも生まれ変わったら』なんてちょっと子供っぽい気もするけれど、根拠も何もないくせに、何故か今とっても「また会える」って気がしてる。
もしそうだったらいいなって、そう思うのは自由だよね?
最後に。
元気で、体にはちゃんと気を付ける事。
お肉ばっかり食べないで、ちゃんと野菜も食べる事。
年を取ると贅肉ついてきちゃうんだから、休みの日にはちゃんと外に出て運動をするようにする事。
そして――私の分も、長生きする事。
それが私の願いです。
書いている内にいつの間にか、願い事ばっかりになっちゃったけど、きっとどこかで見てるから、私の願いをゆっくり叶えていきながら歳を重ねてカッコいいおじいちゃんになってください。
じゃぁ、またね。
結奈より。
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