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手がかりを拾って。
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さて、それでは実況見分だ。
まず、足の踏み場も無いほどに、無造作に床へと物が晒されている。
机や棚の上の物はそのほぼ全てが根こそぎ落とされており、卓上の花瓶さえも倒されて、中にあった筈の水がポタポタと床に滴り落ちていた。
カーテンには刃物のようなもので切り裂かれた跡もあり、本棚代わりにしていた三段ボックスに至っては、ソファーにもたれかかる形で半ば倒れている始末だ。
(……随分と酷いな)
部屋を物色するにしたって、果たしてこんな過激にする必要があるだろうか。
ふむ、これはもしかすると。
(物取りよりも、怨恨の線で捜査を進めた方がいいかもしれない)
顎に手を当てながら、私はそう考える。
そこでふと、手掛かりになりそうなものが目に止まった。
壁に貼られているカレンダーだ。
何の変哲もないただのカレンダーだが、下半分が不自然に破り取られている。
しかもその片割れは、どこ探しても見当たらない。
(犯人が持ち去った可能性がある、か……?)
犯人にとって、何か不都合なことでも書かれていたのだろうか。
それとも、何かもっと別の理由があったのか。
ーーもしかしたら、これがこの事件の謎を解くカギかもしれない。
そんな事を思いながら足元の障害物を巧みに避けて、今度は窓際へと近寄っていく。
事件当時、玄関の鍵は閉まっていた。
ピッキングなどの形跡もない事から、無理やりこじ開けて押し入った訳ではないと分かる。
ふむ、窓にもきちんと施錠はされている様だ。
こちらにも何か細工をした様子は見られない。
つまり、この部屋は密室だったという事だ。
合鍵の持ったものの犯行か、何かトリックを使ったか。
もしくは。
(まだ室内に犯人が潜伏しているか)
私が部屋に入ってから、この部屋から誰かが外に出た気配は無い。
玄関の鍵を開けたのは私だ。
そしてそれまでは密室だったのだから、犯人がまだ室内に居る可能性は十分にある。
と、その時だった。
私の視界の端を、何かが素早く通り過ぎる。
「っ! こら待てっ!!」
私は身を翻し、その影を追った。
まず、足の踏み場も無いほどに、無造作に床へと物が晒されている。
机や棚の上の物はそのほぼ全てが根こそぎ落とされており、卓上の花瓶さえも倒されて、中にあった筈の水がポタポタと床に滴り落ちていた。
カーテンには刃物のようなもので切り裂かれた跡もあり、本棚代わりにしていた三段ボックスに至っては、ソファーにもたれかかる形で半ば倒れている始末だ。
(……随分と酷いな)
部屋を物色するにしたって、果たしてこんな過激にする必要があるだろうか。
ふむ、これはもしかすると。
(物取りよりも、怨恨の線で捜査を進めた方がいいかもしれない)
顎に手を当てながら、私はそう考える。
そこでふと、手掛かりになりそうなものが目に止まった。
壁に貼られているカレンダーだ。
何の変哲もないただのカレンダーだが、下半分が不自然に破り取られている。
しかもその片割れは、どこ探しても見当たらない。
(犯人が持ち去った可能性がある、か……?)
犯人にとって、何か不都合なことでも書かれていたのだろうか。
それとも、何かもっと別の理由があったのか。
ーーもしかしたら、これがこの事件の謎を解くカギかもしれない。
そんな事を思いながら足元の障害物を巧みに避けて、今度は窓際へと近寄っていく。
事件当時、玄関の鍵は閉まっていた。
ピッキングなどの形跡もない事から、無理やりこじ開けて押し入った訳ではないと分かる。
ふむ、窓にもきちんと施錠はされている様だ。
こちらにも何か細工をした様子は見られない。
つまり、この部屋は密室だったという事だ。
合鍵の持ったものの犯行か、何かトリックを使ったか。
もしくは。
(まだ室内に犯人が潜伏しているか)
私が部屋に入ってから、この部屋から誰かが外に出た気配は無い。
玄関の鍵を開けたのは私だ。
そしてそれまでは密室だったのだから、犯人がまだ室内に居る可能性は十分にある。
と、その時だった。
私の視界の端を、何かが素早く通り過ぎる。
「っ! こら待てっ!!」
私は身を翻し、その影を追った。
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