夏だから君を

うづきあお

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《蝶に堕ちる》

【碧人:綺麗な人】

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衝撃的だった。
拒絶さえ覚悟したのに、凛がくれたのはそれとは真逆の言葉だったから。
大切にしたい。
大切に、大切に抱いて、凛の全てを優しく包み込んでしまいたい。
でも、そんな思いとは裏腹に体を突き動かすのは激情だ。
本能のままに言えば、食い尽くしたい。
凛が俺を絶対に忘れないように滅茶苦茶に刻み込んで、全てをバラバラにして、一滴の体液さえ逃さず飲み干してしまいたい。
鬩ぎ合う感情に、もはや頭がおかしくなりそうだ。
なんてアンバランスで、心地よい衝動なのだろう。
ぎりぎり引き返せる最後の一線を、凛の一言は粉々にした。
本人に自覚はないだろうし、きっとまだ覚悟も甘い。
それを証拠に、長袖のシャツを脱がせた時はまだ身じろぎしながら耐えていたが、下に手をかけると縋るように見上げて俺の手を掴んできた。

「ちょ、ま、待って。俺だけ脱ぐのは嫌だ」
「そう?」

悪戯心のままに、仰向けで見上げてくる凛の頬に指を這わせる。

「じゃあ、俺のは凛が脱がして」
「え……」
「できる?」

我ながら挑発的な声だ。
凛は硬直したが、無言のまま俺の服に手をかけた。
ゆっくりと、布が肌を滑りベッドの下へと落とされていく。
人に脱がせてもらうのは羞恥心を刺激されるが、それよりも唇をキュッと引き締める凛が今何を考えているのかと思うと、背徳的な悦びが湧き上がった。
その顔を見下ろす事につい熱中してしまう。

「これでいい?」
「ありがとう」

凛の髪をひと撫でしてからキスをする。
そうやって動きを封じながら、今度は俺が凛を覆い隠す布を最後まで脱がせた。
素肌と素肌の触れ合いになると気持ちよさは何倍にも跳ね上がる。
足を絡め、無意識に動く腰を押し付けながら、今度は生で凛の快楽部を攻め立てる。
凛は体を震わせ唇を噛んだ。

「んぅ、や、やだ」
「気持ちいい?」
「分か、んな……」
「嘘。自分でする時はいつもどうやって触んの?」
「し、知らな……ぃ、は、はぁ」
「へぇ。じゃあ知らないのにここはこんなに正しく反応しちゃうんだ」
「んっ、んん!」
「声、我慢しないで」

乱れる凛が、一種のやましさと快感で顔を歪める。
すごい。
すごい可愛い。
もっと、もっと欲しい。
凛。残念だけど、そうやってしがみついても俺は今理解あるお前の友だちなんかじゃないよ。
ぎしりと音を立て、凛の首筋から胸へ、腹筋から腰骨をたどり口付けていく。
何をされるか気付いた凛は悲鳴を飲み込んだ。

「うそ、あお…!」
「しー」

凛を黙らせてから聳り立つ先に舌を這わせる。
こんな奉仕は初めてだけど、凛になら尽くしたい。
咥えたものに熱を込めれば込めるほど、凛の細い体は上手に反応して今まで以上に打ち震えた。

「あ、や、もう……無理っんぅ……!」

惜しいのはこのままじゃ絶頂時の顔が見えない事。
髪を微かに掴んでくる手が堪らなく可愛いから、いいけど。
舌に凛の味をじわりと感じると、大切な人の身も心も全てを犯している満足感にぞくぞくした。

「イッていいよ」
「や……、いやだ」

ここまでされても漏れる言葉が凛らしくていい。
繊細で、潔癖で、手放せないプライドを隠し持つ、綺麗な人。
そんな凛の手を取り、俺のを一緒に握らせる。

「じゃあ、凛もしてよ」

また泣かせてしまうかと思ったが、意外にも凛に浮かんだのは僅かな安堵の表情だった。
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