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《sentimentalism》
【凛:秋の憂鬱】
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触れて、擦って、舐めて、溶かして。
汗に濡れる体が絡まるのが好きだ。
首筋をなぞる息遣いが心地いい。
気付けば外は明るくて、今日も抜け殻になった二つの体が離れることを拒否して眠りに落ちる。
碧人の肌は温かい。
「ん、眩し……」
カーテンの隙間から差し込む日差しを手のひらで遮る。
身体中に渇きを覚え、ローテーブルからペットボトルを引き寄せて水を喉に流し込んだ。
ぬるくてまずい。
「凛、おれも」
掠れ声と気怠げな手がベッドから垂れる。
「ちゃんと起きないとこぼすぞ」
「おきてる」
「……てない、よな」
水を口に含み、片膝をベッドに乗せて碧人に顔を寄せる。
重ねた唇からぬるい液体を通してやると、代わりに舌が絡んできた。
「んっ」
大きな手に腰骨を撫でられ、体がびくりと跳ねる。
「もっとちょうだい」
「水ならそこにあるから」
「水じゃない」
重そうな瞼が開き、微睡む瞳に俺が映った。
「凛、もっと」
呂律の回らない声が甘えてねだる。
色素の薄い碧人の前髪は、無防備なまつ毛の上をさらりと滑り落ちた。
油断しきった顔が可愛い。
「いいよ」
碧人の髪をかきあげ、舐めるようなキスをする。
しっとり吸い付く肌と肌は体温を上昇させ、熱のこもった感情を昂らせていく。
ずっとこうしていたい。
いっそ碧人が俺なしでは息ができなくなればいいのに。
散々受けた愛撫を真似て碧人の快楽部を探る。
このまま攻めていたかったのに、呼吸が乱れ始めた碧人はいつものように体勢を入れ替え組み敷いてきた。
「碧……んぁっ」
首筋に吸い付かれ全身が痺れる。
「ま、待って」
返事の代わりにざらりとした感触が耳を這い、碧人の膝が俺の両足を割った。
「待ってってば!俺も、まだしたい……」
「凛の体力が残ってたらね」
滑りを良くした碧人の中指が内臓を探るように体内まで侵入してくる。
腹部を内側から擦られ星のように理性が散った。
「んっ!ぁ、お……と、それ、やめ……」
「大分柔らかくなったよなぁ。凛の中うねって吸いつくのすごい気持ちいい」
耳朶を食みながらこぼす吐息が挿入の許可をねだる。
それは別に嫌じゃない。
時間をかけて慣らされた体は、もはや碧人を受け入れることに何も抵抗がないから。
でも、俺は。
碧人は今日もやんわり握った主導権を離すことなく、俺が力尽きるまで抱いた。
***
薄暗いリビングで一人膝を抱える。
碧人がいなくなると古い一軒家には静けさだけが満ちていた。
目を閉じ、自分に残された香りで慰めても得体の知れない孤独がじわりと湧く。
今日も、俺には最後までさせてくれなかった。
なんでだろう。
やっぱり碧人は自分がされるのは嫌なのかな。
俺だってもっと、もっと深く碧人に刻みつけたいのに。
「はぁ」
何度目か分からないため息がこぼれ落ちる。
俺は、どこか焦っていた。
秋が過ぎ、冬を迎えれば周りは受験一色に染められていく。
そうして春になれば誰もがそれぞれの未来へ向けて羽ばたくのだろう。
俺以外は。
碧人も大学に受かれば県外へ行ってしまう。
新しい環境で、新しい人に囲まれて、少しずつ知らない人になっていく。
この場所から一歩も出られない俺だけが、きっと一人で色褪せ朽ちていく。
繋ぎ止める自信なんかカケラもない。
今は盲目的な碧人も、俺と離れればいつか目が覚めて眩しい方へと消えてしまうんだ。
「……だめだ、焦るな、焦るな」
パニックを起こしそうな頭を抱えこみ、速まる心拍数を抑えながら呼吸に集中する。
不安で。
不安で、不安で。
碧人が好きだ。
たったそれだけの想いは、いったいどこまで胸を掻き乱すのだろう。
指に絡んだ黒髪を握りしめながら、そろそろ切らなきゃ長いなと、ぼんやり思った。
汗に濡れる体が絡まるのが好きだ。
首筋をなぞる息遣いが心地いい。
気付けば外は明るくて、今日も抜け殻になった二つの体が離れることを拒否して眠りに落ちる。
碧人の肌は温かい。
「ん、眩し……」
カーテンの隙間から差し込む日差しを手のひらで遮る。
身体中に渇きを覚え、ローテーブルからペットボトルを引き寄せて水を喉に流し込んだ。
ぬるくてまずい。
「凛、おれも」
掠れ声と気怠げな手がベッドから垂れる。
「ちゃんと起きないとこぼすぞ」
「おきてる」
「……てない、よな」
水を口に含み、片膝をベッドに乗せて碧人に顔を寄せる。
重ねた唇からぬるい液体を通してやると、代わりに舌が絡んできた。
「んっ」
大きな手に腰骨を撫でられ、体がびくりと跳ねる。
「もっとちょうだい」
「水ならそこにあるから」
「水じゃない」
重そうな瞼が開き、微睡む瞳に俺が映った。
「凛、もっと」
呂律の回らない声が甘えてねだる。
色素の薄い碧人の前髪は、無防備なまつ毛の上をさらりと滑り落ちた。
油断しきった顔が可愛い。
「いいよ」
碧人の髪をかきあげ、舐めるようなキスをする。
しっとり吸い付く肌と肌は体温を上昇させ、熱のこもった感情を昂らせていく。
ずっとこうしていたい。
いっそ碧人が俺なしでは息ができなくなればいいのに。
散々受けた愛撫を真似て碧人の快楽部を探る。
このまま攻めていたかったのに、呼吸が乱れ始めた碧人はいつものように体勢を入れ替え組み敷いてきた。
「碧……んぁっ」
首筋に吸い付かれ全身が痺れる。
「ま、待って」
返事の代わりにざらりとした感触が耳を這い、碧人の膝が俺の両足を割った。
「待ってってば!俺も、まだしたい……」
「凛の体力が残ってたらね」
滑りを良くした碧人の中指が内臓を探るように体内まで侵入してくる。
腹部を内側から擦られ星のように理性が散った。
「んっ!ぁ、お……と、それ、やめ……」
「大分柔らかくなったよなぁ。凛の中うねって吸いつくのすごい気持ちいい」
耳朶を食みながらこぼす吐息が挿入の許可をねだる。
それは別に嫌じゃない。
時間をかけて慣らされた体は、もはや碧人を受け入れることに何も抵抗がないから。
でも、俺は。
碧人は今日もやんわり握った主導権を離すことなく、俺が力尽きるまで抱いた。
***
薄暗いリビングで一人膝を抱える。
碧人がいなくなると古い一軒家には静けさだけが満ちていた。
目を閉じ、自分に残された香りで慰めても得体の知れない孤独がじわりと湧く。
今日も、俺には最後までさせてくれなかった。
なんでだろう。
やっぱり碧人は自分がされるのは嫌なのかな。
俺だってもっと、もっと深く碧人に刻みつけたいのに。
「はぁ」
何度目か分からないため息がこぼれ落ちる。
俺は、どこか焦っていた。
秋が過ぎ、冬を迎えれば周りは受験一色に染められていく。
そうして春になれば誰もがそれぞれの未来へ向けて羽ばたくのだろう。
俺以外は。
碧人も大学に受かれば県外へ行ってしまう。
新しい環境で、新しい人に囲まれて、少しずつ知らない人になっていく。
この場所から一歩も出られない俺だけが、きっと一人で色褪せ朽ちていく。
繋ぎ止める自信なんかカケラもない。
今は盲目的な碧人も、俺と離れればいつか目が覚めて眩しい方へと消えてしまうんだ。
「……だめだ、焦るな、焦るな」
パニックを起こしそうな頭を抱えこみ、速まる心拍数を抑えながら呼吸に集中する。
不安で。
不安で、不安で。
碧人が好きだ。
たったそれだけの想いは、いったいどこまで胸を掻き乱すのだろう。
指に絡んだ黒髪を握りしめながら、そろそろ切らなきゃ長いなと、ぼんやり思った。
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