冷徹王太子の愛妾

月密

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二十二話

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「どうした、レアンドル。今日も顰めっ面して随分と機嫌が悪そうだな。いや、顰めっ面は生まれつきか」
「……」

 自分で言って自分で突っ込み豪快に笑っている。
 朝から面倒な人物に遭遇してしまった、といっても目的地は同じ訳でどの道顔を合わせる事にはなるのだが。
 
 早朝登城したレアンドルが、騎士団の稽古場へと向かい城の廊下を歩いていると大柄の男に呼び止められた。
 明るい金色の短髪が窓から射し込む朝日に照らされている。頭だけ見れば実に爽やかな人物に思えるが、騙されてはいけない後のパーツは厳つく巨漢だ。レアンドルも割合身長は高い方だが、その自分と比較してもかなり高い。彼と話す時は視線を上げなくてはならないし、縦だけでなく横にも大きい。だが無駄な肉は一切ついておらず略筋肉というのだから、そこは素直に凄いと思う。レアンドルは体質の所為かどんなに鍛えてもそれなりに筋肉はつくものの、こうはならない。それに実際は割とガッチリとしているが、衣服を着用していれば細身に見られる事も多い。そんな程度だ。たまに羨ましいやら嫉妬心が湧く。

「どうした、最近はずっと機嫌が斜めらしいな? ルネから聞いたぞ」

 相変わらず余計な事を報告しているルネに呆れる。

「貴方こそ、暫く休んで何していたんですか」

 人にあんな物を押し付けて何が快気祝いだと文句の一つでも言ってやるつもりだったが、レアンドルが復帰後、色々とあり失念していた。それに彼はこの一ヶ月ずっと休んでおり会わず仕舞いだった。今に始まった事ではないが、自由奔放過ぎて正直レアンドルの手に余る。
 それにしてもこれで騎士団副団長なのだから聞いて呆れる。しかもレアンドルが団長に就任する以前は彼が騎士団長を務めていた。ジークハルト・フォートリエ公爵。王弟でありレアンドルの叔父だ。そして彼もまた剣豪と呼ばれ、その腕は確かだ。

「まあお子様なお前には分からない大人の事情ってやつだ。それよりどうだ? ちゃんとやってるか?」

 国中探してもレアンドルの事を未だにお子様扱いするのは彼くらいだろう。反論したいが話が進まなくなるので我慢して聞き流した。

「はい。お借りしたは確り仕事をこなしてくれています」
「だがその道の専門家ではないからなぁ。役に立っているならいいが、余り無理させないでやってくれよ」
「分かっています」

 ガサツで気遣いなんて無縁そうな人だが、意外と面倒見のいい所がある。そんな人だから皆、彼に一目置いているのだろうと改めて思った。レアンドルも随分彼には救われてきた。自分も何時か彼の様になれるだろうか……。

「あぁそういえば、あれはどうだ?」
「あれとは」
「あれだよ、あれ。ルネに預けて置いただろう? 快気祝い」

 彼の人柄に感服した矢先、実に下らない話をされて現実に引き戻された。流石に苛ついてくる。

「凄かっただろう? 一晩じゃおさまらなかったんじゃないか? だが女性に無理強いはダメだぞ。嫌われてしまうからな。を少しは休ませてやれよ」
「……」

 前言撤回する、彼の様には絶対にならない。
 

 
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