冷徹王太子の愛妾

月密

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三十二話(閲覧注意)

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「んっ……」

 温もりが逃げていく感覚に、ベルティーユはゆっくりと目を開けた。

「す、すまない、起こしてしまったな」
「レアンドル、さま……?」

 まだ覚醒しきらない頭で彼が離れて行ってしまうと漠然と思い寂しさから思わずしがみついた。

「ベルティーユ……」

 目を丸くするレアンドルに、迷惑なのだと分かりおずおずと身体を離そうとすると彼は抱き締め触れるだけの口付けをしてくれた。

「身体は平気か?」
「はい……」
「無理はしなくて良い。俺はこれから出掛けなくてはならないが、君はゆっくり過ごしていろ。ヴェラに湯浴みの支度をさせておく。それまではまだ寝ているといい」

 もう一度触れるだけの口付けをして、それだけ言うとレアンドルは部屋を出て行ってしまった。ベルティーユは一気にしゅんとなるが、彼が多忙な事は理解しているので致し方がないと我慢する。


「っ⁉︎」

 レアンドルからはもう少し寝ている様に言われたが、自分だけだらけている訳にはいかないと身体を起こそうとするも、余りの気怠さに起き上がる事が出来ずベッドに逆戻りしてしまった。

「……ダメ、動けないみたい」

 更にそれだけではなく、下半部に違和感を感じて手を添える。思い出すだけで奥がきゅっと疼く気がした。

(私、本当にレアンドル様と……)

 改めて実感するとまた羞恥心が込み上げてくると同時に嬉しくなる。
  
 起きるつもりだったが身体の怠さも手伝いまた眠気に襲われたベルティーユは、まだ仄かに彼の匂いが残るベッドや枕に身体を擦り寄せ瞳を伏せた。

 


◆◆◆


 不審に思われてしまっただろうか……。

 ベルティーユが目を覚ます少し前ーーレアンドルはベルティーユより先に目を覚ました。繋がったままで寝ていた為、無論そのままの状態だった。
 数時間前にしたばかりだというのに、即座にレアンドルの陰茎は元気を取り戻し彼女のなかで怒張し固くなった。流石にまずいと思い慌てて引き抜くと、彼女のなかからドロりと白濁した液体が溢れてきた。思わず喉を鳴らしレアンドルは見入ってしまう。
 自分の出した精子が彼女の身体から溢れている……そんな淫猥な光景に言い知れぬ喜びと、彼女を自分のものにしたという事実に昂りが抑えきれない。レアンドルは気付けば彼女の秘部に手を伸ばし指を挿れていた。
 溢れ出てしまった精子を押し戻す様にして指で蓋をし、ぐちゅぐちゅっと水音を立てながらゆっくりと掻き混ぜる。

「う、んっ……」

 僅かに開いた彼女の唇から愛らしい声が洩れ、一瞬心臓が跳ね手を止めた。だがまだぐっすりと眠っている。此処で止めなくては……頭ではそう分かってはいるが理性が働かない。
 自分の下半部に視線を向ければ、陰茎は先程よりも更に大きく膨らみ固く反り上がっていた。もう一度、このまま彼女のなかに挿入出来ればどんなにいいか……。だが己の欲の為に彼女の身体に負担は掛けられない。されどこんな状態のままでは、情けないが服もまともに着る事は出来ないだろう……。自業自得だが処理はしなくてはならないと、逆手で陰茎を握り擦り始めた。

「ベルティーユっ、はぁっ…、うッ……ベル、ティーユッ」
「ん、ぁ……」

 彼女の寝顔を見ながらなかを弄り、己の陰茎を扱く。
 眠っているのにも関わらず時折りベルティーユの唇からは甘い声が洩れ、レアンドルの興奮は最高潮に達した。

 
 その直後ベルティーユが目を覚まし、レアンドルは何事もなかった様に平静を装いながらガウンを羽織り部屋を出た。

 湯浴みを済ませ、寝室は使えないので執務室で支度を済ませているとやたらとホレスからの視線を感じた。思わず顔を顰める。

「何だ。何か言いた気だな」
「いえ、その様な事は」
「……あぁ、そうだ。ベルティーユが目を覚ましたら、シーツなどは全てヴェラに交換する様に言ってくれ」

 レアンドルの意図を即座に理解したホレスは含み笑いをする。それが無性に腹が立つ。こんな風に言えば自分の稚拙な考えがホレスにバレてしまうと分かっていたが、それでも譲れなかった。
 普段レアンドルの寝室のシーツ交換や清掃などは全てホレスに任せている。だが今日はレアンドルのベッドをベルティーユも使用した。それだけでもシーツなどにはきっと彼女の匂いや温もりが移っている筈だ。そんな中、そのベッドで昨夜は彼女とまぐわったのだ。シーツには彼女の破瓜の痕や愛液などがたっぷりと染み込んでいる。幾らホレスだろうが、他の男に触れさせるなど絶対に許せる筈がない。

「承知致しました」

 未だ自分のベッドで眠っているベルティーユを想像し、もう少し彼女とゆっくり過ごしたかったと内心溜息を吐く。だがそうも言っていられないのが実情だ。

「夕刻には戻る」

 レアンドルは邪念を振り払い気持ちを切り替え馬車に乗り込むと、フォートリエ家へと向かった。
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