駒として無能なお前は追放する?ええ、どうぞ?けど、聖女の私が一番権力を持っているんですが?

水垣するめ

文字の大きさ
3 / 3

3話

しおりを挟む

「エミリー、そんなに大きい声をだしてどうしたの?」

 レベッカが遅れてやって来た。
 扉から顔を覗かせて喜んでいる私を不思議そうに見ている。
 私はレベッカに駆け寄って抱きついた。

「ど、どうしたの?」
「やったの! 私、これでついに解放されるわ!」
「まさか……! ついにやったのねエミリー!」
「ええ、ありがとうレベッカ。協力してくれて」
「いいのよ。あそこで協力しないと聖女の名折れだわ」

 レベッカも笑顔で私に抱きつく。
 すると安心したのか、体から力が抜けてきた。
 次第にとても眠たくなってくる。
 レベッカはそんな私を見てくすりと笑った。

「ずっと気を張ってたものね。ゆっくりと寝るといいわ。これからが一番の頑張りどころだもの」
「ええ、ありがとうレベッカ……」

 レベッカの助けでベットに横たわる。
 私はゆっくりと眠りへ落ちていった。



 夕方、目を覚した。
 私は空の色を見て一瞬心臓が飛び上がりそうになったが、手元にある手紙を見て安心した。

 そしてあることに気づいた。
 教会の中が騒がしい。

 私は部屋を出てその音のもとへと向かった。

 音の元は礼拝堂だった。
 そこで誰かが騒いでいる。
 扉を開ける。

 そで騒いでいたのは父のトーマスだった。
 近くにいる修道女に怒鳴りつけている。

「おい! エミリーはどこだ! 早く出せ!」

 私は思い出した。
 そう言えば今日は父から聖女としてパーティーに来いと命令されていたのだった。
 私はすぐに父の元へと向かう。

「私はここです」

 父が私を見る。そしてすぐに怒りの形相で怒鳴り始めた。

「お前っ! 何を考えているんだ! 今日はパーティーについてこいと命令しただろう! おかげで私が恥をかいたのだぞ!」

 父は怒りのまま私を怒鳴りつける。

「絶対に許さんぞ! 貴様の飯を一週間抜いてやる! 水もだ! 私に恥をかかせたことを悔みながら聖女として働け!」

 私は絶句した。
 こんな父親がいるのだろうか。
 子供をただの道具としてしか見ず、見下す親が。

 絶対に許せないのはこっちだ。

 私はさっきの手紙を取り出して父に突き出した。

「私、エミリー・ヘミングスは王家から爵位を頂き、伯爵家として独立します!」
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

Conanlove
2025.06.14 Conanlove

さあ、ざまぁ〜の時間ね~(笑)ワクワクですね~(笑)

解除
Vitch
2021.07.26 Vitch
ネタバレ含む
解除

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

王子が元聖女と離縁したら城が傾いた。

七辻ゆゆ
ファンタジー
王子は庶民の聖女と結婚してやったが、関係はいつまで経っても清いまま。何度寝室に入り込もうとしても、強力な結界に阻まれた。 妻の務めを果たさない彼女にもはや我慢も限界。王子は愛する人を妻に差し替えるべく、元聖女の妻に離縁を言い渡した。

結婚するので姉様は出ていってもらえますか?

基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。 気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。 そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。 家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。 そして妹の婚約まで決まった。 特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。 ※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。 ※えろが追加される場合はr−18に変更します。

冤罪で処刑されることになりましたが、聖女の力で逆に断罪してあげます

霜月琥珀
恋愛
一話で完結します。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します

青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。 キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。 結界が消えた王国はいかに?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。