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2話

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 私は信じられなかった。
 まさか証拠も無いのに私に婚約破棄だとか、追放だとか言っているのだろうか。
 私は困惑しているレイ王子と父アーノルドへ質問する。

「いや、私がフローラを虐めていたかどうかは証拠がないと分からないですよね? 何か無いんですか?」
「貴様! 言い逃れは大概にしろ!」

 アーノルドが私に怒鳴った。

「え? 言い訳ではないですよね? 証拠が無いと私がフローラを虐めていたかどうかは分からない、と言っただけで」
「黙れ! 証拠なんていらない! フローラがそう言っているのだからそれで十分だ!」

 レイ王子がそんなことを言い始めた。
 私は頭が痛くなった。

「いや、だからそれは証拠にならないですってば」
「何故だ!」

 え? まさかそんなことも分からないの?

「フローラが嘘をついて虐められてないのに、私を貶めるために虐められたと嘘をついた可能性があるでしょう?」
「はぁ!? 純真なフローラがそんなことをするわけないだろう!」
「えぇ……」

 いや、まさに今しているんですけど。
 それに私の話はあくまで可能性の話なんですが。
 もしかしてレイ王子は話が通じない人物なのだろうか。

 私がした仮定の話に、アーノルドとレイ王子は憤慨する。

「貴様! 私のフローラを愚弄しているのか!」
「やはりお前はフローラを虐めていた! その証拠に正に今こうやってフローラを嘘で貶めようとしているじゃないか!」

 レイ王子は『証拠』という部分を強調しそう言った。
 そしてその穴だらけの論理で私に勝ったつもりなのだろう。勝ち誇ったような笑顔を私に向けている。
 そしてアーノルドも鬼の首を取ったように話し始めた。

「やはりお前は根性が腐っている! そんな奴はどちらにせよ罪を犯すに決まっている!」
「そうだ! それに、お前は前々からフローラを虐めていそうな奴だったんだ! フローラを虐めているに決まっている!」

 レイ王子はついには根拠の無い印象論で語り始めた。
 ここにいる人たちは冤罪だとかいう可能性は考えないのだろうか。

「感情論に印象論、全部デタラメですね。正当性皆無じゃないですか」
「なっ、なんだと!」

 レイ王子とアーノルドが私の言葉に反応して怒る。
 そしてレイ王子がこんなことを言い始めた。

「こちらに正当性があるに決まっている! 裁判所に訴えてやってもいいんだぞ!」

 レイ王子の発言に、私はニヤリと笑った。
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