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3話
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私は実家であるギブソン伯爵家へと帰ってきた。
最初の頃、初めての結婚に胸が踊っていた私は、こんなに早く帰ってくるとは思っていなかった。
しかし結果は情けなくも浮気をされ、離婚。
父や母はなんと言うだろうか。
私は憂鬱な気持ちで屋敷の扉を開けた。
いきなり帰ってきた私を不思議な顔で迎える使用人に挨拶をして、私は父のもとへ向かう。
談話室の扉をコンコン、とノックした。
「私です。メアリーです」
「メアリー? 入ってくれ」
父は突然帰ってきた私の名を不思議そうに呼んだ。
「どうしたんだ、こんな夜更けに突然帰ってきて」
談話室の中には母もいた。
「実は……」
私は父と母にどんな経緯で帰ってきたのかを説明する。
アイクの浮気を見たこと。
そしてそれをアイクが認めたこと。
父と母は話を聞いているうちにどんどんと表情に怒りが混ざっていった。
「そ、そんなふざけたことを言われたのか……!」
「まさか彼がそんな人間だったなんて……!」
そして父は私の肩を強く叩いた。
「安心しろ! ギブソン家の全てを使ってアイクを追い込んでやる! たとえどんな手を使ったとしても──」
「やめて、父さん」
「メアリー?」
「父さんの気持ちは嬉しいけれど、私はもうあの人とは関わりたくないの。離婚もして慰謝料がとれるならそれで十分だから」
父は不服そうだったが、当人である私がそう言うなら、と聞きいてれて矛を収めてくれた。
「分かった。メアリーがそこまで言うならやめておこう。ただ、慰謝料はしっかりともぎ取ってやる!」
「そうよ! 任せてちょうだい!」
「ありがとう、父さん、母さん」
私は父と母に抱きつく。
そして離婚された私を温かく迎え入れてくれた二人に感謝するのだった。
◯
そして夜が明けて。
父と母は早速アイクから慰謝料をもぎ取るために奔走し始めた。
そのため、屋敷に私は一人残ることとなった。
私も手伝おうとしたのだが、二人から今は心を休めなさい、と諭された結果、家に残ることになったのだ。
食事をしたり、庭を散歩したりしながら時間を潰す。
何もすることがなく、手持ち無沙汰になっていたところ、来客があった。
「お、久しぶりだな、メアリー」
私が出迎えると、そこには幼馴染のハルト・シュインがいた。
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