17 / 45
1章
17話
しおりを挟む
「クレアさんのサイズはここで測っておきましょう。綺麗なドレスを作るには大切ですから」
「あー、うん。よく分からないから全部任せた」
腐っても男性なだけあってクレアはドレスには全く興味が無いのか、私に全て丸投げするような言葉を放った。
だがその言葉は私に一番言ってはいけない言葉だ。
その言葉は私の中の欲望を解放してしまう。
どんなドレスにしよう。クレアは脚が長くて綺麗なので、それを活かすようなデザインにしたい。
胸元はあまり強調せず、平らでも綺麗に見えるようにして……。
私が頭の中で妄想を広げているとクレアの採寸が終わったようで、衝立の向こうから出てくる。
「女性じゃ無いのになんでこんなに綺麗なんですか……」
「くびれまであったし……」
採寸した女性デザイナーたちがショックを受けたような顔になった。
ずるい何それ。私も見たかった。
くびれ、というワードに気を取られながらなんとか私は話に意識を戻す。
「私の希望としてはクレアさんのドレスに──」
私はデザイナーにクレアのドレスをどんなものにして欲しいか、という要望を説明していく。
デザイナーは私の要望をメモ用紙にまとめると、設計図にデザインを描き起こしていく。
普通のデザイナーは持ち返って考えてくるのだろうが、私の商会のデザイナーは一味違う。その場でデザインすることが出来るのだ。
このやり方は直に客の要望を聞きながら修正していけるので、とても評判がいい。
ホワイトローズ商会がドレスを大量に受注できるのもこれが理由の一つだ。
「出来ました。これはどうですか? 今回はモデルがいいので私も興が乗りました! 今回は自信作です……!」
私は出来たデザイン案を見る。
自信作というだけあって、とてもいい。それに私の要望であった脚も見えている。
「うん。とてもいいですね。クレアさんはどう思いますか?」
隣で興味なさそうにしているクレアにデザイン案を見せる。
「これでいい」
特に拘ることは無いようでクレアは頷いた。
「ではこれを元にドレスを作らせていただきます」
私はクレアの気が変わらないうちにデザイン案を鞄に直す。
そして同時に心の中でガッツポーズをした。
これでパーティーでは私の好きを詰め込んだ最高のクレアを見ることが出来る。
「なんな邪悪な笑みが溢れてるぞ」
「ハッ……! コホン」
私は咳払いをして誤魔化す。
幸いにもクレアは私の考えに気づいた様子は無かった。
「あー、うん。よく分からないから全部任せた」
腐っても男性なだけあってクレアはドレスには全く興味が無いのか、私に全て丸投げするような言葉を放った。
だがその言葉は私に一番言ってはいけない言葉だ。
その言葉は私の中の欲望を解放してしまう。
どんなドレスにしよう。クレアは脚が長くて綺麗なので、それを活かすようなデザインにしたい。
胸元はあまり強調せず、平らでも綺麗に見えるようにして……。
私が頭の中で妄想を広げているとクレアの採寸が終わったようで、衝立の向こうから出てくる。
「女性じゃ無いのになんでこんなに綺麗なんですか……」
「くびれまであったし……」
採寸した女性デザイナーたちがショックを受けたような顔になった。
ずるい何それ。私も見たかった。
くびれ、というワードに気を取られながらなんとか私は話に意識を戻す。
「私の希望としてはクレアさんのドレスに──」
私はデザイナーにクレアのドレスをどんなものにして欲しいか、という要望を説明していく。
デザイナーは私の要望をメモ用紙にまとめると、設計図にデザインを描き起こしていく。
普通のデザイナーは持ち返って考えてくるのだろうが、私の商会のデザイナーは一味違う。その場でデザインすることが出来るのだ。
このやり方は直に客の要望を聞きながら修正していけるので、とても評判がいい。
ホワイトローズ商会がドレスを大量に受注できるのもこれが理由の一つだ。
「出来ました。これはどうですか? 今回はモデルがいいので私も興が乗りました! 今回は自信作です……!」
私は出来たデザイン案を見る。
自信作というだけあって、とてもいい。それに私の要望であった脚も見えている。
「うん。とてもいいですね。クレアさんはどう思いますか?」
隣で興味なさそうにしているクレアにデザイン案を見せる。
「これでいい」
特に拘ることは無いようでクレアは頷いた。
「ではこれを元にドレスを作らせていただきます」
私はクレアの気が変わらないうちにデザイン案を鞄に直す。
そして同時に心の中でガッツポーズをした。
これでパーティーでは私の好きを詰め込んだ最高のクレアを見ることが出来る。
「なんな邪悪な笑みが溢れてるぞ」
「ハッ……! コホン」
私は咳払いをして誤魔化す。
幸いにもクレアは私の考えに気づいた様子は無かった。
64
あなたにおすすめの小説
お前との婚約は、ここで破棄する!
ねむたん
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」
華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。
一瞬の静寂の後、会場がどよめく。
私は心の中でため息をついた。
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ
ゆっこ
恋愛
その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。
「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」
声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。
いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。
けれど――。
(……ふふ。そう来ましたのね)
私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。
大広間の視線が一斉に私へと向けられる。
王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?
鶯埜 餡
恋愛
バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。
今ですか?
めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?
あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす
青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。
幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。
スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。
ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族
物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。
王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。
佐藤 美奈
恋愛
クロエ・エルフェシウス公爵令嬢とガブリエル・フォートグランデ王太子殿下は婚約が内定する。まだ公の場で発表してないだけで、王家と公爵家の間で約束を取り交わしていた。
だが帝立魔法学園の創立記念パーティーで婚約破棄を宣言されてしまった。ガブリエルは魔法の才能がある幼馴染のアンジェリカ男爵令嬢を溺愛して結婚を決めたのです。
その理由は、ディオール帝国は魔法至上主義で魔法帝国と称される。クロエは魔法が一番大切な国で一人だけ魔法が全然使えない女性だった。
クロエは魔法が使えないことに、特に気にしていませんでしたが、日常的に家族から無能と言われて、赤の他人までに冷たい目で見られてしまう。
ところがクロエは魔法帝国に、なくてはならない女性でした。絶対に必要な隠された能力を持っていた。彼女の真の姿が明らかになると、誰もが彼女に泣いて謝罪を繰り返し助けてと悲鳴を上げ続けた。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる