悪役令嬢の取り巻きBから追放された私は自由気ままに生きたいと思います。

水垣するめ

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1章

21話

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 そして放課後。

「というわけで、放課後デートをしましょう」

「なんだデートって?」

 クレアは聞き慣れない単語に首を捻った。

「知らないんですか? 男女でお出かけすることです。最近若い層で流行ってる言葉ですよ。遅れてますね」

「最後の一言は余計だろ。なんで急にそんなことをするんだ?」

「さっきの話を聞いてませんでしたか? 私たちは派閥に見えないそうです! だから放課後に学園通りで一緒に過ごすことで派閥アピールをするんです!」

 学園通りとは学園の正門から続く大通りのことで屋台や飲食店、ブランド品が並ぶ高級店など様々な層の店が並んでいる。
 セントリア学園の生徒は放課後この大通りで買い食いをしたりショッピングを楽しんだりするのが日常になっていた。

 ブランド品なんて誰が買うのかと最初は疑問だったが、ここに通う生徒は貴族も多いので結構儲かるらしい。マーガレットのショッピングに付き合わされた時にとんでもない金額のバッグを買っているのを目撃したので間違い無い。

「いや、派閥のアピールをするのは賛成だが、お前と仲がいいフリをするなんて嫌なんだが」

「私だって嫌です。遊んでたら急に変なポーズで自画自賛し始めそうですし」

「おい。俺をナルシストか何かと勘違いしてないか?」

「え?違うんですか?」

「ぶっ飛ばすぞお前」

 クレアが怒りに拳を振るわせている。
 どうやら自分がナルシストだとは微塵も思っていないらしい。
 え? 自覚なかったの……?

「まあそんなどうでもいいことは置いといて」

「どうでも良くないが」

「私たちが仲がいいフリをするのは意味があります」

「……」

 クレアが私のことを睨んでいた。

「派閥なのに遊ぶなんて、意味あるのか?」

「いいえ違います。派閥だからこそ遊ぶんですよ。私がマーガレットさんの派閥にいた頃も派閥の人を連れてよく遊んでいましたし」

 私はマーガレットの派閥にいた時のことを思い出す。
 まぁ、遊ぶというよりは付き人をしていたと言う方が正しいだろうけど。
 実際に効果はあると思う。
 私達が一緒に遊んでいることで仲がいい、という印象を植え付けることが出来るしコミュニケーションを取ることで派閥としての結束度も上がる。

「そんなものか……」

「はい。なので今から行きましょう」

 私はクレアを席から立たせて連れ出した。
 まぁ、本当は「女装男子と放課後デート」という前の世界からの長年の夢を叶えたいだけだが。

 いや、ほら、現実に女装してる人なんて中々いないし、この機会だからついでに、ね?

 本当の目的は隠しているがクレアにも利益は十分にあるはずなので問題ないだろう。
 そして私はクレアの背中を押しながら上機嫌に正門へと向かった。
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